41 ファイ国からの手紙
アラマンダの指に指輪をはめたルートロックは、思い出したかのように一通の封筒を執務机の上から持ってきて、アラマンダに意見を聞いてみることにする。
「ちょっと、アラマンダの意見を聞きたいんだが……これについてどう思っているか、一読して意見を聞かせてもらえないだろうか」
「はい、かしこまりました」
アラマンダは、ルートロックから封筒を受け取ると差出人を見て、目を見開く。
なぜ、こんな離れた王国に送られてきたのだろう。
それはシーダム王国の南西にある国で、隣国ではない。他国が間にあるので同じ大陸に位置しているけれど少し離れた南の国からの封書だった。
ゆっくりと封筒から手紙を取り出し、目を通してみる。
「……この手紙の送り主、ファイ国はすでに食糧難に陥っているのでしょうか?」
アラマンダは、顔を上げてルートロックに尋ねてみる。
「おそらく、餓死者が出始めているのかもしれないな」
「でも、なぜ隣国に援助を求めるのではなくて、離れたシーダム王国に助けを求めたのでしょう」
アラマンダの心当たりは一つだけ。
アラマンダの膝の上からゆっくりモソモソと立ち上がって、床の上で大きく伸びをしている真っ白い猫……メオを見つめる。
(私が聖獣を召喚したという話は近隣諸国のどこまで広がっているのかしら)
アラマンダの膝に置かれた手を両手でとって、ルートロックは自分の思っていることを話し出す。
「理由ははっきりとはわからない。恐らくシーダム王国の王太子妃が聖獣を召喚したという話は隣国あたりならもう知れ渡っているだろう」
(そうよね。いつも私が猫を連れて歩いていたら、あれが聖獣かもしれないと気付き始めているわよね)
でも、メオは本当にどこからどう見ても、可愛らしい普通の猫にしか見えない。
アラマンダ自身も、メオの能力を測定した時のレベル9999を上回る強さをこの目で見たことはない。
(人語を話せるのと、私にどこかの地域へ行った方がいいとか助言はいただけるのだけれど、メオ様自身はそんなに派手な振る舞いはしていないから、聖獣が猫だと知られていても大した力は無いと思われているはずなんだけど……)
「正直、私自身まだメオ様の御力がどのようなものか全くわかっていないのですが、このファイ国は私の聖獣が猫だとご存じなのでしょうか?」
「それに関してはまだ何とも言えないな。ひょっとしたら、私の聖獣のドラゴンにどうにかしてもらえないと思って封書を送ってきた可能性もある」
ルートロックもアラマンダもなぜ、離れてあまり交流のないシーダム王国にファイ国が救いを求めてきたのかわからなかった。




