34 舞い降りた女神
アラマンダの再訪は、ナウだけでなく洞穴にいる言葉の通じない人たちにも喜んでもらえた。
「ナウさん。ご紹介致します。こちらが私の夫の……ロックでございます」
「おー! アラマンダの旦那さんは素晴らしく男前な顔つきなんだな。……それで、オレとの婚姻も考えてくれたからこの地に一緒にやってきてくれたのか?」
「初めまして。ロックだ」
ルートロックも一妻多夫の制度はなかなか理解しがたいけれど、彼らの培ってきた制度を否定するつもりもなかった。
「ナウ殿。我が妻、アラマンダの魅力に気が付いてくれたことを嬉しく思っている。……だが、残念ながらナウ殿との婚姻は認められない。申し訳ない」
ルートロックは真っ直ぐとナウの顔を見つめて、アラマンダの良さを認めてくれたところを感謝しつつも、婚姻の件は認められないと伝える。
「そうか……それは、残念だが仕方がないな」
「申し訳ない。私は強欲で独り占めしないと落ち着かない性格だから……アラマンダは自分だけの妻でいて欲しいと願っているんだ」
「はははは。それもそうだな。アラマンダは魅力的だから、毎晩、夫同士で彼女を取り合いになるのが目に浮かんでくるな」
傍で聞いているアラマンダは、ハラハラしながらも途中から気恥ずかしくなって下を向いて顔を真っ赤にしてこの話が終わるのをひたすら待っている。
その後、アラマンダが考えた学校建設に王国が許可してくれたから王国語が学べると伝え、それが実現すると利点が増えることをナウに説明すると、彼は目を瞠って喜び、民族として確固たる居場所を作ろうと尽力してくれたアラマンダの偉業を三つの民族に伝えてくれた。
きっと、アラマンダが本当は村娘ではないと、この会話でバレてしまったようだが、ナウも他のみんなも、別れを告げる時までアラマンダを出会った時と変わらず、村娘として扱ってくれた。
■■■
それから、数年後。
ナウを始めとする三つの山岳民族は王国語が話せるようになったことで、人との交流する機会が増え少しずつ栄えていった。
しかも、逆に王国民が山岳民族の洞穴にある子孫繫栄の神様の力が絶大だという話を聞きつけ、山岳地帯に自ら出向き、洞穴に祀ってある猫の神様を拝みに訪れるという観光業も活発化していったため、猫の神様の作り手は吹雪の中に舞い降りた女神様だったのではないかという神話まででき、子々孫々、山岳地帯の口伝として伝わり続けたとのことだった。
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