31 神様作り
翌日。
アラマンダは、聖獣猫のメオと洞穴の外に出て、日光を浴びながら大きく伸びをする。
吹雪は明け方には止んだようだ。
少し、洞穴から離れたところに歩いて行き、メオと会話をする。
「メオ様は、『我の力を必要としている』と思ったから、この山岳地帯に来たかったのでございましょう?」
アラマンダは、私室にいる時にメオと交わした内容のことを思い出していた。
「そうだにゃ。やっぱり必要だったにゃ」
アラマンダが、聖獣の『召喚の儀』を婚儀前に行う時に、猫の神様を召喚したいと望んだのには理由がある。猫の神様は『多産の神』とも言われていると書物に書いてあったからだ。このシーダム王国が繁栄するためには子孫繁栄は無くてはならないものだと考えていたからこそ、アラマンダは猫の聖獣を召喚したいと望んでいた。
(きっとメオ様は、隣国から逃れてきたといっても、今はこの王国にいるこの民族が衰退の一途を辿っていくのを良しとしていないのだわ)
アラマンダは、ここにメオと共にやってきた意味を考えて、メオに提案してみる。
「メオ様。もしメオ様のお力でここを救うとしたらどうしたら良いのでしょうか? 私にお手伝いできることはございますか?」
アラマンダの言葉を待っていましたとばかりの笑顔で、メオは用意して欲しい材料を次々と述べていく。
「今日は、これらの材料を集めたら洞穴に戻って早速作って欲しいにゃ。作り方の手順は……」
メオは、次から次へとアラマンダにやって欲しいことを伝えていく。
(確かに、猫様の御手では難しい作業でございますわね。……それにしても、一気にエイヤー!!と何か力を解き放つ物とばかり想像していましたが、メオ様の力は意外と準備が多いのですね)
アラマンダは、初めての取り組みに胸を躍らせながら、メオの指示通りの材料を手に入れると洞穴に戻り作業を開始した。
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「それは……何を作っているんだ?」
もくもくと黙って作業をしているアラマンダは、背後から人が覗き込んでいることにも気が付かずに夢中になって、メオの要望を叶えることに集中していた。
「あら、ナウさん。お帰りなさい! 今日の狩りはいかがでしたか?」
「あぁ。今日は雉を捕まえたぞ」
そう言うと、洞穴の外を指差して教えてくれる。どうやら、外で血抜き作業を行っているということを意味しているのだろう。
「私はですね、神様作りをしております」
「ほぅ。これが神様になるのか?」
「えぇ」
ナウには、藁を巻き付けた物体に土を塗りたくっているだけの物にしか見えない。
「今、猫の神様を塑像で作っているところです。多産の神様で子孫繫栄の効果がものすごーーーーくございますのよ?」
「へぇ~。それは、完成したら皆、喜ぶだろうな」
「三体お作りしますので、それぞれの部族の方に祀っていただきたいのです」
「わかった。完成したら他の部族の集落にも届けておくことを約束しよう」
この時のアラマンダは塑像の制作に集中しており、部族の繁栄の為に取り組んでくれる姿に心を打たれ、ナウの心に熱を灯したことに全く気が付いていなかった。




