29 洞穴
上空から見ると、確かに集落が確認できる。とはいっても、吹雪いているので、正確には人が住んでいそうな痕跡が見えているだけで本当に人がいるのかは判断できない。
アラマンダはドラゴンにお願いをして、人がいる痕跡のある部分付近で降ろしてもらう。
聖獣ドラゴンに終始「目くらまし」の『隠ぺい魔法』をしてもらっており、他の人からはドラゴンが見えることはないから大騒ぎになることはなかった。
「さ……寒いにゃ……は、早く寒さを防げるところに……」
聖獣のメオは、猫らしく寒さに弱いらしい。ピンと伸びたヒゲにも、雪があたっている。
アラマンダは行ったことはないけれど、ヘルムント辺境伯の令嬢として学習していた時に、この山岳地帯の地図を見たことがある。
「メオ様……恐らく、あちらに洞穴がいくつかあるはずなのです。ひとまず、洞穴まで行って、一旦、暖を取りましょう」
アラマンダも、火に当たりたい。温かい飲み物を飲んでからでないと、動き回れそうになかった。
吹雪の中、ゆっくり一歩ずつ踏みしめて、視界の悪い中にも薄っすらと見えている横穴に向かって歩き続けた。
「ふ~。やっと洞穴に辿り……」
両腕に抱えていた聖獣のメオに話かけようとして、アラマンダは口をつぐむ。
なぜなら、急遽、現れた人間に警戒する人の視線を感じたからだ。
(1,2,3……ざっと15人くらいかしら?)
アラマンダはメオを抱えたまま、頭にかぶっていたフードを外し、ひょっこりと顔を出すと、女性だとわかった数人の人からは、警戒が解けたようだった。
「……あのぅ……雪道で家まで帰る事が難しいので、しばらくここで休ませていただけないでしょうか?」
洞穴の入り口付近から勝手に中に入るのも憚られたので、先にここにいる人たちお邪魔しても良いか許可を得ることにした。
「nbvfyikjghjklngyui?」
「えっと……私もここで暖をとってもいいですか?」
「bgyunb」
(ここの人たちは隣国の言葉とも違う言葉を話すようね。民族独自の言葉かしら。メオ様なら何て言っているのか理解なさっているのかしら?)
アラマンダは、腕に抱いたままのメオと目を合わす。
「にゃ~」
(あぁ。中に入っても良いとおっしゃって下さったのね)
メオは、この民族の人の言葉も理解できているようだ。メオを介してなら、何とか意志疎通ができるかもしれない。
「それでは、お言葉に甘えて、失礼いたします」
アラマンダが中に入っていくと、火のついている傍に座るような仕草をみんながしてくれるので、火に当たるように言ってくれているのだと理解することができた。
(皆様、とても優しい心の方ばかりですわね)
アラマンダは身体を温めながら、どれくらい奥まで洞穴があるのかゆっくりと観察をした。
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