24 救出
その後、ナルモ副団長には駐屯地の人気のない広い場所で、風のない日に毒を発生させる薪を少しずつ燃やして処分するように指示を出しておいた。くれぐれも、燃え尽きるまで近寄らないことも言い含めて。
アラマンダの元に、村での調査に残しておいた護衛騎士が、調査を終えて昨夜報告にやってきた。
不審死を遂げた人は、やはり火を使用している時に亡くなっていたため、アラマンダと聖獣メオ、護衛騎士二名は、駐屯地と同じように有毒な樹木の見分け方を説明をする為に駐屯地から再び村に向かって移動を始めることにした。
「メオ様。これで、事態が収束するといいのですが……、あの手この手でこっそりと混乱を招くような手口はこれからも出てきそうですわよね……」
アラマンダは馬の上でメオに話しかける。
「そうだにゃ。この国は農作物にも鉱物にも恵まれているから、隣国から目を付けられているのは間違いないにゃ」
「うふふふ。でも、私にはメオ様がいらっしゃいますから、何だかとても心強いですわ。今回の件、早期解決できましたのはメオ様のおかげですのよ」
アラマンダはメオ様に北の国境沿いに行くように指示を出されたことを思い出して、感謝を述べた。
ほどなくして、先日、立ち寄った村にもう一度足を踏み入れる。
今回は、王太子妃として村の者を広場に集めてもらい、有毒な樹木の見分け方を説明した後、今、村にあるすべての薪を一か所に集めてもらい、アラマンダと村人と一緒になって選り分けを行った。
始めは王太子妃が訪村したとのことで、村人たちは畏まって会話がぎこちなかったが、アラマンダの気さくな人柄と頼りになる話し方で、村人の心もすぐにほぐれて、いつの間にかアラマンダも村民の一員ではないかと思うほど馴染みながら、廃棄する薪を選り分けることに成功した。
そこに、走り込んでくる年若い女性の姿が見えた。
「た、助けて下さい! 子供が……赤ちゃんがまだ家の中にいるんです!」
涙ながらに村人たちの元にやってきた女性にアラマンダは見覚えがあった。
(あら……あの方……先日、背中に赤ちゃんをおんぶしながら、私と会話して下さった方だわ)
その女性も、アラマンダの顔を見て一度会話したことがあると思い出したように、目を見開いた。
「どうした? 何かあったのか?」
村の男性が、その年若い女性に話を聞く。
「赤ちゃんに熱があったので、室内で寝かして暖かくしてあげようと薪を使用したまま、お医者様を呼びに行っていたのです。それで、お医者様と室内の扉を開けた瞬間、めまいで倒れそうになり、私もお医者様も問題はなかったのですが、まだ家の中に赤ちゃんがいるのです!!」
女性は泣きながらも、自分の家を指し示し、助けを乞うている。
煙突から煙が立ち上っているのが確認できるので、まだ薪が燃焼中なのは間違いなかった。
でも、毒が発生しているのだとわかっていて室内に入れる者は、誰もいない。
「……わかりましたわ。私が参りましょう。赤ちゃんのいる部屋の場所を教えていただけますか?」
「王太子妃殿下!! おやめください!」
さすがに護衛騎士の二人もアラマンダの行動を許容できずに、行動を諫めようとする。
「……私は、毒の耐性がございますから、普通の人にとっての毒であっても、私には効かないのです」
アラマンダは、多少、嘘を織り交ぜながら自分が適任だと申し出る。
(本当は、今回のこの樹木の毒は初めてなのですけれど、この王国の樹木の毒は慣らしてあるので、それと似通っていると仮定するならば……多少、耐性がありますっていうのが正しいのかしら)
でも、今は迷っている暇は無かった。
「メオ様、行って参りますわ」
「にゃー」
(メオ様が止めないということは、私で助け出せるということだわ)
そう判断するや否や、アラマンダはその女性の家の室内に飛び込んだ。
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