23 入手経路
「おかしいわ。普通の薪に少しずつ紛れ込ましてパッと見ただけでは、樹種が特定できないようにしてあるように見受けられるわ……悪意を感じるわね」
薪を分類していくと、有毒な木は固まって置いてあるのではなく、縛ってある束の中に意図的に少しずつ混ぜこんであるような印象を受ける。
「我もこれは意図的に仕組まれて持ち込まれた薪だと思うにゃ」
メオはアラマンダの近くにずっといたのだが、周りに人がいなくなったタイミングを見計らい、人語で話しかけてきた。
「やっぱりそうですわよね? いつも仕入れている商団と違う商団を使ったのかしら?」
「入手先を調べた方がいいにゃ」
(そうね。恐らく北の国から持ち込まれたのでしょうけど、どういう経緯でこの駐屯地に入ってきたのかは、ルートロック王太子殿下にご報告する必要があるものね)
アラマンダは、ナルモ副団長に入手経路も併せて調査してもらっているので、それも返事待ちだった。
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「アラマンダ王太子妃殿下。入手経路が判明いたしました」
次の日。
ナルモ副団長はアラマンダ王太子妃の元に報告に訪れていた。
「実は……10日前にこの駐屯地とすぐ南にある街道沿いの小さな村との間に、商団の馬車の車輪が壊れたままの状態で、街道を塞ぐ形で放置されていたことがあります。発見した時に商団の人はおらず、『御者が体調を崩したため、急ぎ人だけ移動することになりました。馬車の荷物は薪しかありませんのでこのまま置いていくので、どうぞ利用してください』という文章が、御者台に置手紙としてあったとのことです」
「では、街道を防いでいた馬車を放置するわけにもいかず、馬車とその荷物を移動させたというわけですね? その行先がこの駐屯地と……南側に位置する街道沿いの村ということですね?」
(これで、原因はわかったわね。この怪しい馬車の荷物だった薪を全て確認したら、ひとまず安心ということかしら。馬車は乗り捨ててあったのだから、犯人の特定は難しいわね……)
アラマンダは、犯人を特定するのは隣国にすでに逃亡している恐れがあるから難しいと判断した。
(でも、きっと意図的に毒を蔓延させて、駐屯地や村の混乱に乗じて侵攻してくる計画だったに違いないわ)
ちらっとメオ様の顔を見てみても、「にゃ」と短くしか鳴かなかった。
おそらく、「その考えで合っているにゃ」ということだろう。




