表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/40

胃もたれ

「うっぷ……」

「カイン様、どうかされました?」

「いや、何でもないよ、レーシュ。それより、パーティーの申請の手続きありがとう」

「あ、(ありがとうございます、レーシュさん)」

「みなさんっ。僕たちの新たな門出を祝して乾杯しましょう!」


 まだ午後の早い時間。レーシュと合流した俺たちはツインリバーでも、一、二の人気とされるレストランに来ていた。


 ──あ、あれだけのケーキを食べて、アルマもセシリーもけろっとしているとは。若さって羨ましいな


 とても美味しそうに食べる二人につられてしまったのが、大きな敗因だった。二人に比べたら俺は半分も食べてはいないはず。しかしこれから乾杯して食事となると、俺の胃の許容量は、かなり心もとなかった。


 しかもレーシュには内緒で、三人でケーキを爆食いしてしまったのだ。そんな泣き言を言ってはいられなかった。


「では、私たちの新たなパーティー『始まりの火種』の門出に」

「「門出に!」」「か、!」


 冷やされたビールによって、まだ口に残っていた甘味が洗い流されていく。


 ──ふう……まだ日のあるうちの酒はうまい。


 注文した食事が運ばれてくる。

 楽しげに話をしながら、美味しそうに食事をするレーシュたち三人。


 アルマとセシリーは、あれほど食べたケーキがどこに消えたのかと驚くほどの健啖っぷりだ。


 三人の話題は俺たちのパーティー名の由来のようだ。

 過去の英雄の逸話に由来するそれを、他の大陸からきたアルマは詳しく知らないようで、レーシュとセシリーが代わる代わる楽しそうに話して聞かせていた。


「カイン様、あまりお食事が進んでいないようですが、お口に合いませんでしたか?」


 ふと、こちらを見たレーシュが声を潜めて聞いてくる。


 ──さすがレーシュ……。付き合いが長いだけあって、鋭いな。さて、なんと誤魔化したものか……


 内心冷や汗をかきながらも、ここぞとばかりに年の功を活かして普段の表情を堅持する俺。


「いや、美味しく頂いているよ。昼から飲む酒が旨くてさー。ついついお酒ばかり飲んでただけだ」

「そう、ですか。追加で注文されます?」

「ああ、そうするかな」


 ──く、この言い訳じゃあ、苦しいか? レーシュ、きづかれた?


 なぜかとても優しげな笑みで俺の方を見ているレーシュ。

 俺の背中を流れる冷や汗の量が増す。


 その時だった。別のテーブルから気になるフレーズが聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ