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買い物

「これで、使って減った分の消耗品はだいたい揃ったかな」


 俺は宙に浮いたメモのチェックリストを眺めて再度、確認しておく。


「カイン様はマメですねっ!」

「べ、(便利そうな魔法です。私もほしいかも)」


 アルマが羨ましそうに、俺が魔法で生み出し、宙に浮かせているメモを見ている。


 備品の買い出しには、結局アルマとセシリーの二人がついてきていた。

 せっかくの休みなので、どこか遊びに行っても良いよとは伝えたのだ。だが、パーティーの仕事なら同伴したいという二人の、なぜか熱心な意見に、折角なので一緒に来てもらっていた。


 アルマはソロとして、セシリーもパーティーでの冒険者歴があることもあって、実際のところ品物選びに際してはとても助かっていた。


 ──やっぱり経験者の意見は重要だな……


 そしてレーシュだが、俺たちが正式にパーティーとして活動するための手続きをするといって、今日も冒険者ギルドへと赴いているところだった。


 俺たち四人が正式にパーティーを組むことは今朝の食事の時にレーシュから提案されたことだった。

 どうやらアルマとセシリーとは、事前に相談していたらしい。

 俺もレーシュからの提案ということであれば否はなく、すぐに了承した。


 三人とも、共に戦い、背中を任せるのに十分に信頼できることは、ここ数日で明白だった。


 ──まあ、唯一の懸念点といえば、俺一人だけ冴えないおっさん、という点だな。……まあ、世間からの白い目なんて今さら気にしても仕方ないのだろうけど……


 ちなみにパーティーのリーダーはレーシュだ。レーシュは俺を推してくれたが、人望と人柄では俺より圧倒的にレーシュの方が上だと、俺は思っている。


 その代わり誠心誠意補佐すると伝えると、なぜか嬉しそうにレーシュはリーダーを引き受けてくれたのだった。


「さて、レーシュとの合流の約束の時間までまだ少しあるけど……」

「カイン様! あそこあそこ! 美味しそうですよ!」

「お(お腹、空きました……)」


 俺の言葉に被せるようにしてセシリーが指差したのはケーキのお店のようだった。

 転移前の世界であったような作りのカフェ兼ケーキ屋さんのような佇まいの店舗があった。


「あー、そうだな。行ってみようか」

「わーいですっ!」


 俺は一瞬迷う。

 しかし、折角なのでその店に寄ってみることにする。

 それほ、裏祝詞の話をしたときのセシリーの沈んだ顔がよぎった、というのもある。それに、身体操作スキルを活かして荷物を半分持ってくれているアルマへの労いも必要だろう、という判断だった。


 そうして、俺たち三人は甘い香りの漂う店内へと足を踏み入れたのだった。




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