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第66話


 第66話「ありがとうとお隣さん」



 今日は久しぶりに文也くんを起こしに来た。どれくらい起こしてないのだろうか。


「文也くん起きて」

「ん〜、千乃さんあと5分だけ」

「あと5分だけだよ」

「ん、………」


 この感じなんか懐かしい。そろそろ5分たったかな


「文也くん5分たったよ、起きて」


 すると文也くんがすっと立ち上がった。


「おはようございます」

「うん、おはよう」


 あれ?文也くんが固まった?立ったままでいる。そして座っている私をじっと見てくる。


「どうしたの?」

「何してるんですか?」


 いや、こっちのセリフだよそれ


「いや、文也くんが立ち上がってフリーズしてるから何してるのかなって思って」

「そうですか」

「じゃあ、朝ご飯食べよっか。準備するから顔洗ってきて」

「はーい」


 そう言って文也くんが洗面所に行こうとして少し止まった。


「さっき言ったこと嘘です」

「え?じゃあ本当はなんて言おうとしたの?」

「この感じなんか懐かしいなって思いました」

「確かに、懐かしいね」

「そして安心しますわ。千乃さんが近くにいてくれると」

「そっか、そんな事言われるとなんか照れるな~」


 千乃さんといると落ち着くしやっぱ千乃さんは僕にはもうなくてはならない存在になっているのだと自覚した。


 今日は少し文也くんの様子が変だった。今まであって無かったのもあるかもしれないが文也くんが私のことを見ている気がする。朝ごはんの時も、夕食を作っている時も、夕食を食べている時も、夕食の片付けをしている時も私のことを見ている気がした。もしかしたら私の自意識過剰なのかもしれない。そう思って1日を終えた。


 そして次の日。やっぱ見られている。気のせいなんかではない。私は今日の夕食の時に文也くんに聞いてみることにした。


「あ、あのさ文也くん」

「何ですか?」

「なんで最近私のこと見てくるの?」

「え?僕そんなに千乃さんのこと見てますか?」

「うん、見てきてる」

「えーっと、無意識ですね。僕はまったく見ているつもりはないです。これからは気をつけます」

「いや、べつにいいんだけど。どうしたのかなぁ〜って思って聞いただけだから気にしないで」

「そうですか」


 まさか千乃さんの事見ているのがバレているなんて思わなかった。なんか千乃さんが視界にいてくれるだけで安心するなんて言えない。なんか恥ずかしいし言わない。


 







 

今回も読んでいただきありがとうございます。

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