第7話
第7話「ハロウィンとお隣さん」③
スマロワをした。俺と姉さんが想像していた以上に千乃さんが強くて千乃さんが1位だった。最下位決定戦は俺と姉さんの意地とプライドをかけて勝負した。結果は負けた。
「姉さんもっかい」
「勝負は一度きり何だよ、弟よ」
「くっそ」
「さあ、千乃ちゃんよ文也にやってやれ」
「ごめんね文也くん」
そう言っているが僕は緊張している。何故なら女性にあーんされるということじたいほぼないからだ。しかも千乃さんみたいな美人にあーんしてもらうことなんて一生無いかもしれない。普通の男子大学生ならこんな事を考えるのかもしれない。がしかしあーんされるのはわさび入りのシュークリームであり、僕は恋をしない男子大学生だから大丈夫だ! きっと……そんな事を考えているうちに僕は覚悟を決めて口を開けた。
私は男の子にあーんなんて人生でしたことがないんだけどと考えながらわさび入りのシュークリームをとった。しかしこれは罰ゲームの一環であり、私は恋をしない社会人だ。だから大丈夫!文也くんは少し緊張しているかもしれないがここはお姉さんとして涼し気にやるだけ。これは罰ゲーム、これは罰ゲームと何度も言い聞かせた。
「じゃあいくね、はいあーん」
来てしまった。僕は自分にこれは罰ゲームこれは罰ゲームと言い聞かせた。
「あーん」
食べた。何にも考えられない。わさび入りのシュークリームのはずなのに味がしない。
「どうよ、弟よわさび入りのシュークリームの感想は?」
「食べれた。辛かったー」
辛かったと言ったが味がしなかった。きっと僕は顔を真っ赤にしているのだろう。自分の顔が鏡で見えた。そこには真っ赤なドラキュラがいた。でもそれは辛かったからだ。僕はそう信じた。
私は顔が熱くなっているのに気がついた。すぐに
「お手洗いに言ってくる」
と言ってトイレに言ったが緊張していた。大きく息を吸って吐いてー吸ってー吐いてー、顔を叩いて鏡で自分の顔を見た。そう顔が赤いのは今自分で叩いたから、うんそうそう私はそう信じた。
私がトイレからでて戻ると2人はまたスマロワをしていた。
「今度こそ千乃ちゃんに勝ちたいからこれ終わったらやろうよ」
「千乃さんとやる前に俺に勝てるかな?」
「勝ったほうが千乃ちゃんへの挑戦券を得るってことでいい?」
「いいだろう。その勝負受けて立つ」
その後も僕たちはスマロワをしてお菓子を食べたりした。あっという間にハロウィンパーティーは終わっていた。
「じゃあ、また今度ね~」
「あれ? 姉さんは帰らないの?」
「私は千乃ちゃんの部屋に泊まっていくから、女子会よ。壁に耳当てて盗み聞きするなよ」
「んなことするかよ、おやすみ」
「おやすみ〜」
「おやすみ」
僕はその日を振り返りながら風呂に入って布団に入っても頭から離れない事があった。
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