第14話
第14話「過去とお隣さん②」
彼を面倒事に巻き込んでしまったのに何も話さずにあの場でバイバイと言って帰るわけにはいかなかった。
「何か飲み物いります?お茶で良いですか?」
「うん、じゃあ貰うよ。ありがとう」
そして文也くんがお茶を持ってきてくれた。
「少し落ち着きました?」
「うん、落ち着いた。少し私の話になるけど聞いてくれる?」
僕は黙って首を縦に振った。
「彼とはね大学生2年生のときに告白されて付き合ってね社会人1年目くらいまでは付き合ってたんだ。私はこの人と結婚するのかなぁ〜なんて考えてたんだ。でもねある日見てしまったんだよ。彼が私の知らない女と一緒に歩いているところを、もちろん追いかけたよ。すると2人でホテルに入っていった。これは完全にアウトだと思った。その日の夜に私は彼にこの事を聞いたの、今日一緒に歩いてた女は誰?そしたらアイツは今日俺誰とも一緒にいなかったよ、なんて言っていたの。だから2人で歩いてる写真を見せたの。するとアイツは一逆ギレして私がしてもない浮気の話をしてきた。もちろん私は浮気なんてしてないよ。だから次の日には今までしていた同棲をやめて今の家に来たの。だからね男の人が信用できなくなっちゃってだから彼氏を作りたくないんだよ。男はまた裏切る。それならもとから関わらなければ私が傷つく事はない。なのに1週間前くらいからアイツからよりを戻さないかって連絡があって「会わないか?」とか言われてさ、会うわけないじゃん。それに最近夜に帰るときとか視線を感じていたの。今思えばアイツだったのかと、まぁそんなとこかな。これが私のすべてかな」
千乃さんにそんな事があったなんて始めて聞いた。
「でも文也くんは私が彼氏を作らない理由を聞いてこなかったのはなんでなの?」
「自分から言うならまだしも僕から聞くのは良くないかと思ったり話したくないのかと思ってたから」
「なんか、文也くんってすごいいいやつだよね」
「まぁ、そんな事ありますね」
「そこは否定しなさい」
「だって事実だし」
「ていうかさ、私達いつの間に付き合ってたの?告白した覚えもないし、告白された覚えもない。何ならOKした覚えもないよ」
「いやいや、あれは千乃さんの元彼を諦めさせる嘘ですよ」
「あははは、知ってる。ただからかいたくなっただけ」
「てか、元彼さんは完全に諦めたのんですかね?」
「どうだろう?アイツは結構諦めが悪いからな〜、また話しかけられるかもね。だからなるべく夜に帰るのはやめておくから」
「だったら、偽彼氏として帰りに駅まで迎えに行こうか?」
「え?本当にいいの?」
「まぁ、朝ご飯とか作ってもらってるし日頃の感謝的な感じ。それにこっちから聞いてるんだからいいに決まってるでしょ」
「本当にありがとう」
こうして私には偽彼氏ができて帰りは迎えに来てくれるらしい。
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