孤児院の子供達と収穫祭-2
唐揚げは醤油、蜂蜜、料理酒、ニンニク、生姜と少しオイスターソースも入れて1晩漬け、片栗粉を纏わせオリーブオイルで揚げている。
衣は薄力粉でも良かったのだが、ザクザク食感に仕上がる片栗粉の方が俺の好みだったので、こちらで伝えたのだ。
久々に食べた唐揚げは美味かったなぁ……
肉は俺がとってきた魔物の肉のミックスなので何が当たるかは分からないのだが、どの種類も噛むとザクっとした衣に中はジュワッと美味い肉の脂が溢れてきて、醤油やニンニクの香りが食欲を掻き立てる。ホーンラビットもポロポロ鳥もブラウンクックもどの肉も唐揚げにピッタリの味だった。部位も色々混ざってるけど、どの部位も美味いんだよなー!
あー、あの冒険者達が美味そうに食うから、また食べたくなってきたぜ……
そういや、蜂蜜を食べたらダメな年齢は1歳未満だそうだ。
ダンジョン産の蜂蜜にナンタラって菌が混入しているかは分からないが、この世界でも1歳未満の子供には蜂蜜は食べさせない方がいいと言われていると院長先生が言っていた。孤児院の子供達は1歳未満の子供はいないから唐揚げの味付けには砂糖ではなく蜂蜜を使う事にした。蜂蜜を揉みこんでおくと肉が柔らかくなるって聞いた事があるしな。まぁ聞いたのは日本での話なので、異世界の魔物の肉も柔らかくなるのかは不明だがな。
フライドポテトは漬け込みは特に無く、細長く切ったじゃがいもを水に数分つけ、水気を切ると、片栗粉と小麦粉を半々で混ぜた粉をつけて揚げるだけだ。
仕上げに塩をパラリと振って完成だ。ケチャップも添えたかったが作るのが手間だからな、今回は無しになったんだ。
ケチャップは無くても、外側がサクッと揚がっており、中はホクホクしっとりのフライドポテトは塩だけで十分に美味い!
美味い!美味い!と何度もおかわりをする冒険者の男2人の様子を見て、そんなに美味いのか?と、人が少しずつ集まってきた。
人が増えてくると、孤児院の子供の1人、イアンという男の子が、最後尾と書かれたプラカードを持ち、列の整理をしに行った。
列の整理の練習もしてたんだな。
客が並んでいたら列の整理もした方が良いと、軽くアドバイスはしたが、ちゃんと練習もしていたようだ。本当に真面目でいい子達だ。
「唐揚げとフライドポテトの列の最後はここでーす!」と、声を張り上げている。
数人が買って、その場で食べ、「うめぇぇぇ!」「うっまぁ!!!」と、声を張り上げると、客足が増えるのはあっという間だった。
並ぶ列は、どんどん、どんどん長くなっている。
……これ、子供達休憩取れるのか……?
出店の出店場所は端で良かったかもしれない。真ん中だったらこの長い行列が他の店舗の前に並び苦情が来ていた事だろう……
あれから、1時間ほどで何処まで続くんだ?!と言うほどの列になっていた。
イアンが変な客に絡まれないように傍にいたが、みんな文句も言わずちゃんと並んでくれているので、少し出店の方の様子を見に行くことにした。
まぁまぁ順調に進んでいるんだけどな……
人が集まる方が早いようで列はどんどん長くなる。
列が伸びるに連れ、出店からはどんどん離れているとは思っていたが、長い……
イアンの位置から店までがかなり遠くなっていた。
出店の場所まで行くと、こんなに大勢の接客をしているのに疲れた様子もなくみんな楽しそうだった。
買ってくれた人には大きな声で「ありがとうございます」と言っている。
みんな頑張ってるな……フフっ、なんか……子供って可愛いな……
ライリーとセクリアと出会うまでは、日本にいた時もあんまり子供と関わることは無かったが、こんなに可愛いもんなんだな……
子供が産まれたからって、仕事が終わると急いで帰っていた同僚もこんな気持ちだったのかな……?
今は午前中休憩で午後から店番をする予定だった子供達もあまりの忙しさに手伝っている。
この様子だと前半休憩組もぬけられなさそうだし、それならもちろん後半組も無理そうだ。
仕込み分の肉や芋が無くなる方が早そうだから、何か差し入れを買ってきてやるか!
昼は交代で取る予定だったのだが、この様子では誰も行けそうにない。
体がない俺は店の事は手伝える事は無いし、みんなしっかり練習通り出来ているので、昼飯に出来そうな物を買いに行くことにした。
屋台や出店の数も凄いが、人も凄い数だ。
俺は人の上をふわふわと飛びながら美味そうな店を探す。
収穫祭の為にわざわざ遠くから出店を出しにやってきた人達も多くいるようで、王都では見かけない服装の人も出店していた。
そういった人達が売っている物は食べ物ではなく織物だったり毛皮だったり武器や工芸品だったりと多種多様だが、珍しい物が多い。
見たい……けど、皆の昼飯が先だな……
あと9日間もあるし、見にこれるタイミングもあるだろ……
今回は泣く泣く諦め、飲食店を探してふわふわと進む。
人混みの上をふわふわと進んでいると一際大きな声で呼び込みをしている店があった。
ん……?なんの店だ?
近寄っていくといい匂いがしている。
並んでいる人はスープが入った器を受け取っているようだ。
おー、スープかぁ!いい匂いだしこれも買ってみるかな!
通行人を捕まえてからだの中に入っていく。
……うん、上手く入れたな。
通行人の体を借りてスープの列に並ぶこと数分で俺の番が回ってきた。
スープは大きな肉の塊がゴロゴロと入っているサラッとした感じのスープのようだ。
色が少し白っぽく濁っている。食欲をそそるいい匂いがしているので味も期待出来そうだ。
何人分頼もうか……孤児院の子供は30人、それから院長先生とリリーと俺と……年が上の子はオカワリする子もいるかもしれないし……余ったら次元収納に入れとけば良いからな、少し多めに50人分くらいにするか!
そう頼むと、店員は驚愕の表情を浮かべ「50人前ですか?!5人前じゃなくて??」と聞き返してきた。
スープが足りないのかと思ったが、あまりの量に驚き心配してくれたのは、どうやって運ぶかのようだ。
それなら大丈夫だ!と軽い返事を返し、受け取ったそばから次元収納に収納していく。
渡しても渡しても次のスープをついで振り返る度にスープが消えている事に店員は怪訝な顔を浮かべている。
全て渡し終わると、「これ50杯だと思うのですが……」と、辺りを見回していた。
「はい、確かに!ありがとうございます!」
お会計を済ますと、色々聞かれないうちにさっさと店を離れるのだった。
この調子で気になる店、気になる店で次々と買い込んでいく。
何かの野菜を肉で巻いた物や、エビを殻ごと焼いたもの、大きなベーコン、肉が挟んであるサンドイッチ等を買った。どれも美味そうだ!
孤児院の子供達が作っているケチャップや焼肉のタレを使って味付けがされた料理も数多くあった。
どれもこれも美味そうな匂いがしていて全部食べてみたかったが、さすがに全部は食べきれない。
断腸の思いで数を絞ってきたぜ……あ、味見して買ったら良かったのか……?
まぁ、絞れたからまぁいいか。
結構買ったな、これくらいでいいかな?
そう思いながら歩いていると、広場の中心にすごい人だかりが出来ている。
なんの人だかりだろう……?
ふわふわと人垣の上を飛んで中心部を見ると……




