14、王女様と異世界の栗-1
誤字報告ありがとうございましたm(_ _)m変換ミスよくあるので、とても助かります!
「でっかぁぁぁ!!!???」
こ、コレがイガ栗か?!
なんてデカさだ!バスケットボールに20cmくらいの棘が無数に生えているようだ……さすが異世界……
俺は今日は大きな栗がなってると聞き、先日来た王都の東の高台を超えた先にある森に来ている。
そう、毒沼が出来ていると大騒ぎになっていた場所から少し離れた場所だ。
ポイズンフロッグも全て討伐され、その後も特に沼は毒化することも無く綺麗な状態を保っているそうだ。
毒の浄化は神殿に頼んでいたが、俺が綺麗にしてしまったので、あの後大騒ぎになっていたようだ。
体をちょろっと拝借したテレンスという名の冒険者が何日も拘束され質問攻めにあっていたとか……これはマジでテレンスにはスマンと思っている……
だが、本人に全く記憶が無いので、これも妖精の仕業だと処理されたと聞いた。
俺は妖精なんて可愛いもんじゃなく体がまだ貰えてないだけのおっさんなんだがな……まぁいいや。
まぁ、そんなこんなで、再びこっち方面に来た訳だが、ようやく見つけたのだ!あのデッカいイガ栗を!いや、大きさは大きいとは聞いていたが、マジで予想の上をいくデカさだった。
鋭い棘先が光に反射してキラリと光る。
黒に近い茶色の棘は磨き抜かれた武器のようだ。
栗と言えば、大きな木に、イガに包まれなっているというイメージだが、この世界の栗、イガが成長すると木からは離れ動き回るようだ。
そして、栗の実を魔物や動物に食べられないよう、イガ部分、つまり棘を飛ばして攻撃してくるそうなのだ。
近づくと攻撃してくるなんて、なんて危険な栗なんだ……
しかもあの針の太さ、針の長さ……何かの映画で見た暗器のようだ。
その危険な暗器、もとい栗の棘だが、色んな意味で飛ばさせてはならない。
もちろん危険だからと言うのもあるが、ただ危険だからという理由だけでなく、棘を飛ばす度、中に入っている栗の栄養を吸い取り新たな棘を作るからだ。
次の棘を作れなくなると体当たりしてくるそうなのだが、その時にはもう中身は空っぽだ。
美味い栗を食べるためには、できるだけ棘を飛ばさせずに中身を取り出すしかない。
大根やりんごで学んだ俺は、ちゃんとギルドで確認をしてきた。
そう、栗の討伐方法を、だ。いや、討伐と言うのも変な言い方かもしれないな、なんせ、栗は魔物でもなく普通の植物だそうだからな。正直、地球の植生の方が慣れている俺からしたら普通ではない、なんなら魔物と大差ないと思っているのだが。
さて、その、弱点なのだが、栗の弱点はなんと水だ。植物は水を浴びると元気になりそうだが、このデカいイガ栗は違うようだ。
水に濡れると棘が柔らかくなるのだそう。
水を浴びると棘を飛ばす速度も落ち、飛ばされた棘も水を吸ってふやけて柔らかくなっているなら怖いもの無しだ。外皮を割って、素早く中身を取り出すと鬼皮に包まれた果肉が出てくる。
この果肉を集めたいのだ。大きいイガ栗だから、中身もかなり大きいのだろう、楽しみだ。
あ、そうそう、かなり危険なので、間違っても火魔法など使ってはならないそうだ。
なぜなら火で加熱されると棘は強度を増し四方八方へ凄い速度で飛び散り、中の栗も外皮を割りあらぬ方向へ飛び出すという、どこへ弾け飛ぶか分からない爆弾に早変わりするそうだ。
これはかなり危険だ。ただでさえ危険な栗がさらに危険な物になる。くれぐれも気をつけるように!
冒険者だろうか?採取専門家だろうか?
かなり沢山の人が栗の木の周りに集まっている。
おー!なんだあの剣、水が出るのか!
スパッと振り下ろした剣の刃から水しぶきが上がった。
キラキラと光を乱反射させながら飛び散った水を浴びたイガ栗は、見るからに動きが鈍くなっている。
剣で切られた裂け目に、すかさず仲間が両側から剣を差し込みミシミシッバキッとイガを割開いた。
おー!凄い連携だ!
割開かれたイガ栗の中からは茶金に輝く鬼皮を纏った大きな大きな栗の実が出てきた。
拳を2つ並べたくらいだろうか、バスケットボール程のサイズのイガ栗の中にぎっしり詰まっている。
実は1つではなく数個入っているようだ。
すっげぇ!なんて綺麗な栗だ!よし、俺も沢山取るぞー!
気合を入れると、イガ栗の転がっている方へふわふわと歩いていく。
うん、やっぱり俺は気づかれないようだ!
それならあとは簡単だ!
水魔法でイガ栗をちゃぽんと水没させると、重力魔法で軽くし、風魔法で空中に巻き上げ、水魔法で刃物を作ると外皮をスパスパと切り落とすし、中の栗を次元収納に放り込む。
よし!上手くいった!
この方法なら栗に触ることが出来ない俺でも栗の採取が出来そうだ!
試しにやった方法が上手く行き、上機嫌になった俺は、調子に乗って栗をせっせと回収していくのだった。
◇◇◇
この栗のイガ、これはこれで武器に加工されると聞いていたので回収してきた。
俺じゃ売りに行けないから、ライリーかセクリアにでも頼むか……それか次元収納の肥やしだな……
気の済むまで栗の採取をした俺は王都の街へ戻ってきた。
つい無我夢中で、夜も徹夜で採取してしまったが、夜の方が動きが鈍いようだった。
大根は太陽の光を浴びて動いていたが、栗も多少は関係があるのだろうか……?
ちなみに俺は眠くはならないし、夜目も効くようで夜でも栗の採取になんら問題はなかった。なんなら栗の動きが鈍い分、夜の方が捗ったくらいだ。
さてさて、栗が調理してもらえる店はあるかな……?
こういう時は商業ギルドで聞くのが1番だな!
俺は栗の調理をしてもらえる店を探す為商業ギルドを訪れた。
商業ギルドで尋ねると、「爆裂マロンを採取出来たのですか??!」と熱い視線で尋ねられた。
少し……と答えたのが悪かった。商業ギルドの受付のお姉さんに、なんやかんやと言いくるめられて結構な量の栗を商業ギルドに売る羽目になってしまった……
いや、なんでこんな事になったのやら……断っていたはずなのだが、気がついたら……商業ギルドの受付嬢、恐るべし……
受付嬢に、栗をむしり取られただけではなく、ちゃんと情報も聞いてきた。
なんと栗の鬼皮部分、コレがかなりの硬さらしく、鬼皮を剥く専門業者があるのだそうだ。
まずはそこで鬼皮を剥いてもらい、中の渋皮の処理は自分でするのが一般的なのだそうだ。
「え?栗が食べれる飲食店は無いのか?」
「そう……ですねぇ、家で焼くか茹でるかして食べるのが一般的ですよ」
なんという事だ……栗を食べられる店がないなんて……
とりあえず、鬼皮を剥く専門の業者に鬼皮の処理を頼んでいる間にどうするか考えることにした。
◇◇◇
ギュイィィィィーンと、甲高い音を響かせて、電動ノコギリのような機械が動いている。
コレが鬼皮を剥くための機械だそうだ。
機械なんかあったんだな……
そう感心したのだが、この機械、色々なパーツを組み合わせて作られていた日本の機械とは違って、この刃物を魔力で無理やり回転させて使うような機械のようだ。
なんか魔法の力を使ってゴリ押しな感じだ。
なので、かなり高価なのだそう。
なんかの付与魔法や風魔法?土魔法?水魔法?とにかく色々と魔法要素が詰め込まれているらしい。
作るのがかなり大変なようで数が作れず、専門業者などと言うものが存在するのだとか。
せっかく来たのだからと持っていた栗を全部剥いてもらおと取り出すとかなり驚かれた。
普通は食べる分を食べる時に持ってきて剥いて貰うそうだ。
鬼皮に入ったままの栗はかなり保存がきくのだそう。
だが俺にはストレージもあるし問題ない。
全部剥いて欲しいと頼むと、多すぎる栗の量に渋々といった様子で引き受けて貰えた。
さて、栗を手に入れたが、米がないので栗ご飯はできない。
焼き栗も良いが、あの大きさ、あの量だからな……
焼き栗だけでは飽きてしまいそうだ。
半分はライリーとセクリアに差し入れするとしても、残りもかなりの量だしな。
そういやこちらの世界に来てからケーキを食べてないな……
栗のケーキと言えばモンブランだよな……あー、久しぶりにモンブランが食べたくなってきたな。
よし、モンブランを作ろう!
どこで作るか……道具が揃ってそうで、材料も揃ってそうな所があったかな……?
あ!あそこなら!!




