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毒沼と冒険者と異世界のりんご-2

少し遅い朝食を食べ終わると、ギルドスタッフのおじさんがギルドに戻るのに着いて、俺も冒険者ギルドに向かった。


ギルドの中はみんなかなり忙しそうにバタバタといていた。

あちらでは、冒険者はかなりの人数が集まっており、イカつい顔のおっさんの話を聞いている。

こちらは、配給の相談だろうか?なんの物資がどれだけいるかなど話し合いをしている。

ギルドスタッフもバタバタと走り回っており、いつもは出ている普通の依頼は一時中断されており、緊急依頼のみの受付のようだ。

その緊急依頼がポイズンフロッグの討伐と毒の沼の除去に関する事だろう。


土も毒に侵食されていると言っていたし、沼の水ごと浄化するのは難しいようで、水をぬいて土地を浄化して貰う予定のようだ。

その水を抜く作業をする人手なども集めているようだ。


撤去した毒水をどうするかも話し合われている。


かなり忙しそうだな……さて、何処なら手伝えるかな……?


ポイズンフロッグという魔物は見たことがないので、戦えるか分からない。

変に手を出して、冒険者の人達の仕事を増やしてしまっては手伝いに来た意味が無い。


それなら倒されるのを待って、浄化の手伝いをするのがいいか……?


だが、ダンジョンでアンデッドモンスターを倒すのに浄化魔法を使っていただけで、地面や沼に浸透してしまった毒の浄化などしたことは無い……


ついて行ってみても役立たずって可能性も……

いやいや、とりあえずやれる事をやるしかないな!


現場まで向かう人はいないかと冒険者ギルド内をキョロキョロ見て回っていると、見た事のある顔を発見した。


お!いつか体を借りてた……名前は、なんて言ったか……?


仲間に、「アンドレそろそろ行くぞ!」と声をかけられているのを聞き、そうだった!そうだった!アンドレだ!と思い出した。


王都に来た初日に、俺が人に憑依出来ることを発見するきっかけになった青年だ。

茶色の短髪にがっしりした身体。

最近ボアに追いかけ回されている新人を見たせいか、かなり屈強そうに見える。


最初の印象より強そうだなぁ……


そろそろ行くぞと声をかけられギルドを出ていったという事は、ポイズンフロッグの討伐に向かったのだろうか?

よし、こいつらについて行くことにしよう!



◇◇◇


4人が乗り込んだ馬車は、冒険者ギルドが手配した物で、行きは馬車に冒険者が乗れるだけ詰め込まれ、帰りはポイズンフロッグの死体を乗せてもどってくるのだそうだ。

かなり大きめの帆馬車で、馬が2頭で馬車を引いている。

それが何台も何台も毒の沼が出来た場所と王都を往復するようだ。


場所は山を1つ超えた先だと聞いていたが、冒険者の足で王都からは歩いて5~6時間程かかる場所のようだ。

みんな荷物が多いとは思っていたが、日帰りは無理だと判断して野営の準備をしてきているようだ。ギルドや国からの補給物資も多く積み込んでいた。




そして今は毒化した沼から少し離れた場所に野営地を作り終わったところだ。

昼は馬車に揺られながらパンや干し肉で簡単に済ませていた。またあの質素なメシだ……冒険者のメシはコレが普通なようだ。


今から沼の様子を見に行くようだ。


ガサガサと茂みを抜けると……


あ、あれか?


見るからに毒、といった見た目の沼だ。

水は紫色になっており、時おりコポコポと水中から浮いてきた泡が水面で弾けている。


うーわ……すっげぇ色……


沼の周りの地面も、紫に染まっており、草木も枯れてしまっている。


うおぉ?!


石まで紫だと思ったら、あれがポイズンフロッグのようだ。

ゴツゴツした紫の体表、ギョロりとした大きな目、なんて大きな……2mはありそうな体高だ。


デッケェ……


あのサイズなら、屈強な冒険者でも2~3人ぐらいは丸呑みにされてもおかしくなさそうな程だ。


先に到着していた冒険者達が岸に近い場所のポイズンフロッグを相手に戦っている。

だが、剣や弓はなかなかポイズンフロッグの皮膚を貫通出来ないでいるようだ。

ヌメっとして、ブヨっとしてるから、刃物が効かないのだろう。

その上、刃が通らない長い舌を伸ばして応戦してくるポイズンフロッグ。

舌が触れた場所はヌメっとした粘液が絡みついている。


ヒェッ、キモっ……


あんなので舐められでもしたら、身体中ベッタベタのベットベトだ……

それならまだマシで、舌に体を絡め取られて丸呑みにされる可能性もある……なかなか厄介そうだな。


確か……馬車の中で冒険者達が火が弱点だと話してたっけ。

アンドレ達はまだ様子を見て作戦を練っているところだな。


ちょっと俺の火魔法がどのくらい効果があるのか試して来よう!


ふわふわと戦闘中の冒険者に近づいて行くと、ポイズンフロッグに火魔法を放った。

技名をつけるとしたら火矢(ファイヤーアロー)といったところだろうか。

先を尖らせ貫通力を持たせた火魔法はまっすぐポイズンフロッグに向かって飛んでいき、その広い背中に突き刺さった。


ギュォアアアア……


カエルが鳴いたとは思えないような汚い声を上げて火矢(ファイヤーアロー)が刺さったポイズンフロッグはドタバタと転げ回っている。


おお!効いてる!


何処から火矢が飛んできたのか分からないが、これはチャンスだと見た冒険者は一斉に畳み掛け、見事にポイズンフロッグを倒した。


すげぇ!冒険者カッコイイな……


華麗な剣さばきでポイズンフロッグを倒した冒険者達、だが、1匹倒したくらいでは、ポイズンフロッグは居なくならない。

まだまだそこら辺中にワラワラといるのだ。


だが、すぐに次のポイズンフロッグを倒しに行かず、今倒した死体を麻布で巻いて縛っている。


体表面の粘液に含まれる毒をこれ以上地面に浸透させない為のようだ。


これは手間だな……


一体ずつ倒したら馬車に運ぶ冒険者を見ながら独り()ちる。

何とかもっと簡単にサクサク倒していけないものか……?


……この沼、沸騰させたり出来ないかな……?


いや、さすがに無理か、かなりの広さだしな。


……試すだけならいいか。


火球を火魔法で作り沼の中へ落としてみる。


ジュッッ ゴポゴポゴポッと火球を落とした場所の水が沸き立つ。


おお!……でもこれだとカエルが逃げ出して毒の被害が拡散するか……


結局、冒険者が戦っているポイズンフロッグに火魔法を放ち、あちこちで戦う冒険者達の戦闘を手伝って回ることにするのだった。


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