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9、孤児院の子供と異世界の炉端焼き-1

「うぉおぉおぉおぉぉぉぉぉ!!!!!つ、つ、ついに、ついに、キターーーーー!!!!!」





夏も終わりかけ、残暑が残る今日この頃。


俺は定期的にドライイーストを『麦の()』に届けつつ、ダンジョンにひたすら潜っていた。

食パンもバゲットも街中で大流行りしており、バターロールは貴族の人がよく食べているようだ。カールトンに食パンの本来の形も伝えていたが、何処かの鍛冶師に作ってもらったようで、先日行ったら四角い形になっていた。街中にいる人はもうほとんど黒パンは食べていないようだ。街を出る人は日持ちがする黒パンを持って行くのである程度の量は作られているようだ。それからスポーツドリンクも街中でかなり飲まれているようだ。暑さで倒れる人は毎年かなりおり、亡くなる人も多いらしいのだが、今年はスポーツドリンクの効果もあってか倒れる人も少なく、亡くなった人はほとんど出ていないそうだ。良かった良かった!


ゾンビが出る階層は15階層で終わりだったようだが、それより下がなかなか強い魔物が出てきて思うように進めなかった。

何に苦戦したって、16階層から魔法を使う魔物が出てきていたのだ。

いや、当たんないんだけどな!すり抜けるんだ!なんで知ってるかって体験したからだ。避けきれなくてな、体があったら死んでたかもな……ハハハ……

まぁ、すり抜けるのは分かってんだけど、怖ぇんだよ!!悪いか!!!

どうしても魔法がこっちに飛んでくると、ビビって体は硬直するし、避けようとしてもかなりのスピードで飛んでくるので、上手く避けられない。そこまで運動音痴でもなかったんだがな……

俺の事は見えてないはずだ。闇雲に放つ魔法に当たるとか……悲しくなるぜ……

まぁ実際体が貰えたら避けないといけないんだし、練習と思えば……


それから、魔物が強くなるとまた一撃では倒せなくなって、思うように調味料も集められなかった。

やっぱ調味料は数揃えときたいじゃん?街に行っても手に入んない物もあるしな!

それで、15階層までは順調だったのだが、16階層からはそれはもうなかなか次の階層に進めず、苦戦してたって訳だ。


だが、今日やっと20階層に到達した。

赤い目の鬼の様な魔物を倒すとドロップしたのは、念願の醤油だった!


これは叫ばずには居られないだろう!!


あぁ……ついに、ついに見つけた!ちゃんとドロップしてよかった……


各階層で調味料ばかりがドロップしているので期待してはいた。だが、ドロップする保証はなかった。やはり醤油や味噌はドロップしないのかもしれない。階を降りる度、違う調味料がドロップすると嬉しい半面、絶望に近い感情が燻っていた。

それがついに、ついにー!醤油が出たのだ!

これは喜ばずにはいられない。


あぁ、長かった……


この世界の暦も1年は12ヶ月で、一月は30日と地球と似ている。

1月が春から始まるのが少し違うが、覚えやすい。

俺がアルナイルに落っことされたのは2月(春)位だったようだ。今はもう6月(夏)の終わりだ。約5ヶ月。こんなに醤油を口にしなかったことがあっただろうか?いや、無い!ここまで恋しく思うとは……

醤油は日本人にとってなくてはならない物だと改めて実感した。



よし、俺の醤油よ待っていろ!全て取り尽くしてやるからなー!!フハハハハ


ギラギラした目で魔物を見据えた航平を、見ることが出来ないはずの魔物達だが、一斉に航平がいる方を向いた。背筋がゾクッとするような嫌な予感を感じたとか感じなかったとか……。



◇◇◇


いやぁー、大量!大量!!


俺は機嫌よく、降りてきた階層を1階に向けて戻っている。

ゲームだと、階層の何処かに地上に戻れる転移魔法陣なんかがあるもんだが、20階層まで行ってもまだ見かけていない。

迷路のようになっているので、探せばもしかしたら何処かにはあるのかもしれないが、俺はまだ見ていない。

無理に探そうとも思わない。何故って、使えない可能性の方が高いからだ。なんせ俺は霊体だからな……頑張って探して見つかったのに使えないなんてことになったら落ち込まない自信が無い。

だが問題ない!階層を跨がなければ壁も通り抜けれるのだ!

さらに最近は早く移動する手段も思いついた!

まず、フワッと浮き上がり、行きたい方向と真逆に風魔法を最大出力で飛ばす!

すると、反動で後ろにビューンと移動できるのだ!いやぁ、思いついた時は俺天才じゃね?って思ったわ!

まぁ、そんな感じで、移動にはそこまで困っていない。階段の位置も良くてな、どこの階層も入口と出口が対角線上にある。つまり、急いでいる時は階段の方を向いて真っ直ぐ飛んでいけば反対の階段に到着出来る。

まぁ、自由気ままな霊体生活なので、急いでる事なんか無いんだけどな。


なので、戻る時も通路を通って魔物を倒し、ドロップ品を回収しながら戻っている。

次元収納(ストレージ)に入れておけば調味料が痛むこともないし、塩味に食べ飽きて味変しようとすると周りの人にも取られてあっという間に減るからな……

ハーブソルトや胡椒、バターや水飴なんかは売ってくれと頼まれたりで、山のように持っていたのが無くなった時もあったほどだ。

気づいたら全て無くなっていて、かなりの衝撃を受けたのを今でも覚えている。

なので出会った魔物は出来るだけ倒し、調味料は全て回収するようにしている。


だが、今日は早く地上に戻りたくて急ぎ気味だ。

なんて言ったってついに醤油味の物が食べられるのだ。

今から楽しみでしょうがない。


何を食べに行こうか……店主に頼んでちょろーっとアレンジして貰うのにいい店がいいな!肉じゃが、照り焼き、すき焼き、きんぴら、煮物、牛丼、焼きおにぎり……あ、いや、米が無いわ……はぁ……米も早く見つけたいよな。

米がないと焼きおにぎりは勿論、牛丼なんかの丼系も全滅だもんな……


そんな事を考えつつダンジョンを駆け上がっていく。



ふぅ、やっと着いた!

今日もダンジョンの外は日差しが眩しいぜ!


最近は、北にあるここのパントリーダンジョンも調味料を求めて来る人がかなり増えている。

冒険者ギルドでドロップ品の調達依頼がかなり出ているようだ。


ということは、街中で美味いもんが食べれる店が増えてるってことだろうな!

食いに行くのが楽しみだ!

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