新人冒険者と異世界のソーセージ-2
若干薄暗い洞窟内のような場所なので、時間の感覚がない。
なんせ眠くもならず、疲れもしないのだ。
いや、精神的に飽きてきたりはあるけどな、バジルやレモンのハーブソルトとか出てきてな、レアドロップのおかげでモチベも回復し楽しく魔物を倒し続けれている。
ダンジョンの中は外よりかなり涼しくて、過ごしやすい気温だが、他の冒険者はまだ見かけていない。
まぁ、気温がいいからダンジョンに行こうとはならないか……?
ここのダンジョンはあまり人気が無いって聞いてたしな。
と思っていると、冒険者がやって来たようだ。
3人組の冒険者のようだ。
かなり若いな。年はまだ10代半ばから後半くらいだろう。まだ幼さも少し残る顔立ちだ。
2人は剣を携えた男の子、もう1人は杖を持った女の子だ。
頑張って稼ぐぞー!と男の子が気合いを入れている。
その声に反応してスケルトンが次々と3人の方へ向かっていく。
まずは、ネズミのスケルトンだ。ネズミのスケルトンは動きが早い。
一気に4匹ものネズミのスケルトンが襲って来て、若干パニックになっているようだ。
あーあー、大きな声出すから……
その後からうさぎと人型のスケルトンも襲いかかっている。
ワーワー言いながら焦った様子で剣を振り回す男の子2人。その後ろで若干顔を青ざめながら火魔法を放つ女の子。
なんか、危なっかしいな……
このままでは怪我をしそうなので、女の子の横に行き、フォローをする事にした。
技名をつけるならファイヤーボールといったところだろうか?女の子が放つ火魔法と同じような魔法を横から放っていく。
女の子は、え?という顔をしているが、前で戦う男の子達は気づいていないようだ。
だが、後ろからの射撃数が増えたことで、一度に対峙するスケルトンの数が減り、落ち着いて対応できるようになっている。
俺の火魔法の威力もだいぶ上がっており、当たりどころが良ければ一撃で倒せることも増えてきた。
15匹程が一気に押し寄せて来たが、何とかなったようだ。
「ふぅ、ビビったなー」
「うん、何とかなってよかった!」
「カリンの魔法のおかげだな!」
「おう、助かったぜ、ありがとな!」
「えっと……う、うん……」
女の子は辺りをキョロキョロ見回している。多分俺を探しているんだろうが見えるわけは無い。
おかしいなとは思っているようで、首を捻っているが、男の子達に伝えるのはやめたようだ。
ドロップした塩を3人は背中のリュックに詰めると、次のスケルトンを探して移動を始めた。
今度は静かにしろよ!と入ってきて速攻大きな声をあげていた男の子が注意をされている。
わ、分かってるよ!と返事をしているが、その声がまたデカい……
おいおい、大丈夫かよ……?
俺は心配になって、3人の後をついて行くことにした。
広い洞窟内を奥へ奥へ進んでいくと細いトンネルのような場所がある。そのトンネルを抜けた先に2階層への階段がある。
まだ戦闘が不安定なのに奥へ進んで行くようだ。
女の子は少し不安げに、もう少しここでスケルトンを倒して慣れてからの方が……と声をかけたが、あの声の大きい男の子が聞きゃあしない。
おいおい、マジで大丈夫かよ……
ずんずん先陣切って進んでいく男の子。
もう1人の男の子も止めることなくついて行っている。
その後を仕方なく、辺りを警戒するようにキョロキョロしながらついて行く女の子。
「来たぜ!」
そう言って歩を止めた男の子の視線の先から、人型のスケルトンがカタカタと骨を鳴らしながら歩いてきている。
やぁー!と剣を構えてかけ出す男の子。
相手が一体なら、余裕で対処出来るようだ。
なかなかやるな!
と思ったのも束の間、倒したスケルトンの後ろから結構な数のスケルトンが歩いてきた。
「うわっ!あの数は無理だ!」
「一旦引くか?」
「おう!」
「きゃぁー、後ろも……」
更に、今通ってきた方からもスケルトンが歩いて来ている。
入ったトンネルの真ん中辺りで挟み撃ちにされたようだ。
「くそぉ!どうする?」
「行く方が危険だ!」
「そうだな、出口がある方へ行く方が良さそうだな!」
「よし、このまま引き返すぞ!」
「うん」
3人は引き返すことを決めたようだ。
来た道を向かってくるスケルトンを倒しながら引き返していく。
トンネルが狭いので、前衛の2人が揃って戦うのにかなり戦いにくそうだ。
女の子は後ろから来るスケルトンを牽制している。
なので俺は進む先、前衛の男の子達が対峙しているスケルトンの、後ろから集まってきているスケルトンをせっせと火魔法で倒して行った。
なかなかリポップが早いなとは思っていたが、2階層へ続く階段がある広場へ続くこのトンネル、進むとこんなことになるんだな。
俺も1層は入ってきて直ぐに、全体を見て回っていた。入口から岩があちこちにある広い洞窟内を調べ、今いるトンネルを抜け、2階層への階段の前にある広場も調べたが、魔物にも俺は見えないので、このように挟み撃ちに合うこともなかったのだ。
苦戦している冒険者の子達を見て、着いてきてよかったなと、安堵のため息を吐く。
全く、先頭の男の子は無鉄砲すぎるだろ。女の子はしっかりしてそうなんだから、もっと大きな声で止めないと……
おじさん目線でそんな事を考えながらフォローするが、体がないので伝えるすべは無い。自分達で気づくのを待つしかないのが少しもどかしい。
そうこうしていると、正面のスケルトンは倒し終えたようだ。
最初の広場に出られた。
はぁ、はぁ、と息を切らし、広場に向かって駆ける男の子2人。
ちょ、おい!女の子を置いてくなっての!!
叫ぶが聞こえはしないので仕方ない。
女の子の方へ向かうと、「きゃー!!」と叫び声が響いた。後ろから襲ってきていたスケルトンを押さえきれなくなったようだ。
もう無理だという表情で、目をギュッと閉じ叫んだ女の子。
その女の子に襲いかかろうとしたスケルトンをすんでのところで、火魔法で吹き飛ばした。
火事場の馬鹿力ってやつか、さっきまでの倍ほどの威力の火魔法が炸裂した。
あっ、ぶねぇ……
ギリギリ間に合ったようだ。
その後ろからもどんどんやってくるスケルトンも火魔法を放ち倒していき、倒し終わり辺りが静かになった頃、恐る恐るといった様子で女の子がそっと目を開けた。
体に痛みが無いことに、ホッと息を吐き、辺りを見回している。
そこに先に行った男の子2人が走って戻ってきた。
何処まで行っていたのか……戻ってくるのが遅すぎだ!
「カレーン!大丈夫かー?」
「悪ぃー、外まで行っちまって……」
おいおい、ビビってダンジョンの外まで逃げて行ってたのかよ……
全員いるか確認していけよな……
女の子にも怪我が無いことを確認すると、辺りに散らばっているドロップアイテムを拾い、入口近くでスケルトンを狩る事にしたようだ。
うんうん、慣れてないうちは安全第一でな!
3人の話を聞いていると、ここのダンジョンへは今日初めて来たようだ。
先輩冒険者に色々話を聞いていたようで、奥までくらい余裕で行けると思ったようだが、弱いと言われているスケルトンだが、他の魔物と比べれば弱い部類に入るって事で、一般の人くらいの力はある。
それが数体相手ともなれば苦戦するのも想像に容易いだろうに……なかなか無茶するなぁ。
先輩冒険者の人ももっと気をつけるように言ってやれよな……それか、自分は余裕だというのを誇張して話したのだろうか?
1~3体ずつ向かってくるスケルトンを順調に倒し、ドロップアイテムをせっせと回収している3人。
先程酷い目にあったばかりなので、反省して無理はしないように話し合って決めたようだ。
この世界、レベルが存在するからな。今度はしっかりレベルを上げてから、先に進む事に決めたようだ。
そういえば、俺もレベルは上がるんだろうか?魔法の威力は上がっていってるけどな……と、すっかりその存在を忘れていたステータス画面を開いて見た。
おお!めっちゃ上がってるじゃねぇか!
表示されていたレベルは42、スケルトンはEランクでレベルは10~30と言われているので、一撃で倒せるようになってきているのも納得のレベルだ。
ステータスでレベルが上がってるのを見れるのも、モチベーション上がるな!今度からは時々確認しよう!
レベルが上がっていることに気を良くした俺は、3人は大丈夫そうなので、2階層への階段近くでスケルトン狩りをする事にした。
近くでやると怪奇現象だからな……ハハハッ……
◇◇◇
数時間後、そろそろ帰るか?と大きな声で男の子が言っている声が聞こえた。
おお、もうそんな時間か?
ご飯を食べに行くなら着いて行って誰かの体を貸してもらおう!と、俺は3人の後を追った。
ダンジョンの外に出ると空が赤く染まっていた。
え、今夕方か?
なんか変だなと思ったら、どうやら俺は昨日の朝から潜っていたようだ。
疲れないし眠くもならないので、時間の感覚が麻痺していたようだ。
3人は朝から潜って夕方だから帰ろうとしていたと言うので気づいたのだ。
疲れないからって、これはやり過ぎたな……と、反省するのだった。




