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スライムと異世界のステーキ-2


看板には、マンガ肉のような絵が描かれていたのだ!

誰もが1度は齧り付いてみたいと憧れるあのでっかいマンガ肉……その夢が叶うかもしれない!


店の名前はステーキ屋『肉豪(にくごう)』。看板の通り骨付き肉のステーキが食べられる店のようだ。


良い!最高じゃねぇか!ステーキ、しかもマンガ肉かぁ……ジュルッ


毎日暑いし、ガッツリ肉食ってスタミナつけないとな!……体は無いけど、気分だよ気分!


よし、今日はここにしよう!


俺は急いで先程の少女の後を追いかけるのだった。


◇◇◇


さてさて、やって来ましたステーキ屋!


店内に入ると肉のやけるジューッという音が響き、いい匂いが迎えてくれた。


はぁ、やべぇ、ヨダレ垂れそう……


大きな腹の音を鳴らしていただけあり、この子の体、腹が痛くなりそうなほど腹ぺこだ。


だが、安心しろ!おっちゃんが満腹になるほど食っといてやるからな!


カウンター席も空いているのに、店員のお姉さんは2人がけのテーブル席へ案内してくれた。

まだ店内は()いてるし、カウンター席の希望を出してみると、すんなりと変更してくれた。

どうやら、女性客はカウンター席を嫌がるらしい。


そういや女の子の体を借りたんだったわ……まぁ、いいだろ!

カウンター席からの厨房の眺めは譲れねぇぜ!


席につくと、早速メニューを尋ねると、ロックリザードとミノタウロスのステーキが選べるらしい。

この店、毎日肉の種類が変わるそうだ。だいたいダンジョン産の肉を仕入れているのだそうだ。

今日は滅多に入ってこないBランクの魔物、ミノタウロスが入荷しているからそれがオススメだと言われた。


「ならそれで!あと、エールもください!」


「はーい、少しお待ちくださいね!」


ここの店員のお姉さんめっちゃ綺麗だ、笑いかけてくれる笑顔も最高だな!ちょっとドキドキしちゃったぜ!


魔物はランクが高ければ高いほど、内包する魔力も高い。それは肉にも影響があり、基本的にはランクの高い魔物の肉の方が美味く感じるようだ。

中にはランクが高くてもあまり美味くない魔物や、ランクが低くても美味い魔物もいるようだが。


ちなみにロックリザードはCランクの魔物らしく、こちらも人気なようだ。


こないだ食べていたオークやブラウンホーンブルでDランク、レッドボアでEランク、ブラウンクックやホーンラビットは1番弱い部類のFランクだ。

Fランクでもかなりの美味さだったからな、期待感が高まるぜ!


厨房の中で、お姉さんから注文をきいた臨月の妊婦のような腹のおっさんが、肉を焼き始めた。あの人が店主のようだ。

あの腹はきっと美味いステーキを食って育てたんだろうな……


ジュワーーーーッという音を聞きながら、腹を鳴らして待っていると、後ろのドアから次々と冒険者のような人が沢山入ってきた。

……6人かな?

パーティメンバーで食いに来たんだろうか?

ガタイの良い男が3人、ローブを纏った男が1人、身軽そうな男が1人、綺麗な女性が1人だ。

6人とも20代半ばから30代前半程に見えるので、ベテラン冒険者って感じだった。

やっぱベテランともなれば、高いステーキでもパーティで食いに来たりするんだな!

安い店に比べ年齢層が高めな店内を見て、そんなことを考えていると、お待たせしましたー!という声と共に、目の前に小さな樽のジョッキと、焼きたて熱々が皿に乗せられたステーキが置かれた。

付け合せは無いようで、分厚い骨付き肉だけが皿にドンッと乗っている。

マンガ肉まんまの形ではなく、トマホークのような骨付き肉だった。そのサイズは日本で食べていた物の5倍はあるのでは?思う程の大きさだ。厚みも分厚い!!

はい、と渡されたフォークとナイフでワクワクしながら肉に手を伸ばす。


グサリと刺すとしっかりとフォークを跳ね返す弾力、ナイフを当てると確かな肉の感触、それでいてギコギコしなくてもスウッと抵抗無く切れていく肉。

すっげー分厚いのに柔らかそうだ。


切る度に立ち上る湯気と共に広がる肉の香り。

切れた断面からジュワッと溢れ出す肉汁。肉汁に浮かぶキラキラした脂。


た、たまらん……


は、早く、早く食いたい!


急いで1切れ切り終わると、いただきます!と、大きな口を開けてパクッと1口。



「ん!んん!!ん〜、うっまぁぁぁぁぁいぃぃ!!」


口に入れた瞬間にもう美味い!熱々の肉汁が口いっぱいに広がり、その匂いが鼻から抜けて行き鼻腔までも刺激する。

噛めば噛むほど溢れ出す旨み、シンプルに塩のみで味付けされているので、肉の美味さが最大限に引き立てられている。

その肉本来の美味さの美味いこと!ミノタウロス恐るべし!

噛めばしっかりとした弾力が感じられるのにも関わらず、数度噛めば溶けて無くなっていくような感覚だ。

飲み込みたくないのに、消えていく。

この美味さで満たされた口内を、エールで……ゴクゴクゴクッぷはぁ!

「美味い!!……おっと」


しまった……興奮して確認してなかったが、エールが冷えて無かったわ……


や、(ぬる)いのも美味いんだけど、やっぱ冷えてる方が……なぁ?


エールをこっそり冷やしていると、後ろから文句を言う声が響いた。


なんだ?と、後ろを振り向くと、先程の冒険者パーティのようだ。


ガタイが良く、目つきの悪い男が、エールが冷えていないと文句を言っているようだ……

だよな!やっぱエールは冷えてないとなぁ!と思いながら聞いていると、その怒りはだんだんエスカレートしているようだ……



うーわ、そんなにか?そこまで怒らなくても……俺が冷えたエールを流行らしたせいだよな、なんかすまん……

謝り倒している店員のお姉さんが、少し可哀想になってきた、まだステーキを食べ終わっていないが、俺は酒を冷やすバイトとして雇って貰えないか聞くことにした。

そう、以前の反省を踏まえて、まずは料理を堪能してからバイトさせて貰えないか聞こうと思っていたのだ!賢いだろ?

だが、こうなったら仕方がない。

お姉さんの所へ行くと、手を引いて店主の所へ連れていく。

冒険者パーティの男は、おい待て!と言いながら、俺の方を睨んで来たが、親指を立ててグッドサインを送っておいた。

すると、はぁ?!と拍子抜けしたようなアホ顔になっていたので、少し笑いそうになったが、バカにしてんのか?なんて絡まれたら大変なので笑うのは我慢だ!!マジで!笑うなよ俺!!我慢だ、我慢!


店主と店員のお姉さんに酒を冷やすバイトをさせて貰えないかと尋ねるとかなり驚いた顔をされた。

最近は氷魔法が使える人は引っ張りだこで、なかなか捕まらないんだとか。

氷魔法使いに払う給金もだんだん高くなっているそうだ。


マジか……給金まで……


と、とりあえず今日は俺に任せとけ!と出していた酒も席を回って冷やしていく。

次の注文から冷やす方がいい人は少し値段が高くなるみたいだ。


文句を言っていた男も、俺がエールを冷やしに行くと、なんでグッドサインなんか出したのか理解したようで、アホ顔もすっかり収まり冷えたエールをグビクビと一気に飲むと、上機嫌にうめぇ!!!といい顔で笑っていた。


そうだろ!そうだろ!俺が最高の状態に冷やしたエールだからな!!


だが、今日は俺がいたからいいが、他の店でも文句を言われたら大変だ。こいつ短気そうだからな……

俺は男に、氷魔法使いが全店舗に配置できる程はいない事、飲食店で取り合いになっている事などを説明し、冷えたエールがどうしても飲みたい時は店に行ったらまずはエールを冷やして出してもらえるかどうかを確認することを勧めておいた。

男は目つきは悪いが、そこまで悪いやつじゃ無かったようで、キンキンに冷えたエールを飲んで怒りが収まると、次からはそうするよ!と笑っていた。

そしてすかさずエールのおかわりだ。

飲むペース早すぎだろ!


俺はまだ1枚目のステーキ食べ終わって無いんだぞ!ゆっくり飲めや!


心の中で悪態をつきながらも、お姉さんに渡されたエールをどんどん冷やしていくのだった。



店内の客は一気に2~3杯程の酒を一気に飲み干したようだが、それくらい飲むと、ステーキも楽しみつつ飲むペースも落ち着いたようだ。


まぁ外が暑いからな、分からなくもないが、ジョッキのサイズを考えろよ!

多分1リットルは入ってるぞ!それを2~3杯って、飲み過ぎだからな!!どんな胃袋してんだよ!


まぁいい、落ち着いたなら、早速ステーキの続きを食うぞ!


「ん?!んん〜!!」


さ、()めても、美味い、だと?!

マジか!ミノタウロスすげぇな!!

熱々の時より、肉の味がしっかり感じられるようだ。臭みも無く旨みだけが、脂もジュワッと出てくるのにしつこくない。それに、冷めても肉が全く硬くない。

んー、美味い!

熱々も美味かったが、冷めても美味いなんて、最高だ!


次はロックリザードも注文してみるか!


ロックリザード、リザードってことはトカゲか?岩トカゲ?なんか硬そうな名前だな……


と思っていたが、目の前にドンと置かれた皿には美味そうな肉が!


おお!でけぇ!足のモモ肉か?ローストチキンのような形の骨付き肉だ。


美味そぉ……これはかぶりつきたくなるよなー!


ふぅー、ふぅー……と湯気と共にいい匂いが立ちのぼる肉に息を数度吹きかけ少し冷ますとガブリっと齧り付いた。


「ん〜!!!うっめぇぇぇぇええええ!!!」


こ、これが、ロックリザード……美味い!美味すぎる!!


ロックリザードと言うくらいだから硬いのかと思いきや、外の硬い外殻に守られている肉は蕩けるほどに柔らかい。

ステーキとは思えない柔らかさだ。

噛む力など必要ない。舌で触れ旨味を感じている間に溶けていくほどだ。

なんて美味い肉なんだ!

味はあっさりしつつもあとを引く美味さがあり、飽きずにいくらでも食べられそうな味だ。

こちらも味付けは塩だけのようだが、塩だけで十分と思わせるほどの美味さだ。塩をかけることで肉本来の甘味を更に際立たせている。

口いっぱいにロックリザード旨味が広がったところで、ここにエールを……ゴクゴクゴクッ……ぷはぁ!!

あ"ーー、最高だ!幸せ……


「美味そうに食うな!」と、店主の男に笑われてしまった。だが、美味いものは美味い!顔がで崩れても仕方ない。


と、店主の方を見ると何かを捨てた。


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