8.ダンジョン1
翌日、俺たちは何の問題なくダンジョン都市に辿り着いた。
「しばらくの間部屋を借りたいので、どこかいいところを紹介してください」
ダンジョン都市についた俺たちは真っ先に不動産ギルドへ向かった。
不動産ギルドはその名の通り不動産屋をまとめるギルドのことだ。個別の不動産屋に出向いても十分かもしれないが、即日に入居するのならギルドを頼ったほうがいい。
「はい。何か条件はございますか」
「ダンジョンに行くので北門に近いほうがいいです。あとは、トイレとバスは別がいいです。家賃はできれば8万エリスに収まればいいですけど少しくらいなら越えても大丈夫です」
「その条件ならいい所がありますよ。案内しましょうか」
「お願いします」
「こちらの物件は北門まで徒歩5分で、間取りは2LDK。築10年で家賃は月7万エリス。敷金と礼金はありません。防音もしっかりしていますので冒険者の方にもオススメできますよ」
内装を確認する。白の壁紙が一面に貼られていて床はフローリング。リビングも各部屋も十分広い。お風呂も広く綺麗だ。収納も多いし、広いバルコニーもあるので文句のつけようが無い物件だ。
「少し相談してもいいですか」
「勿論です」
不動産ギルドの職員から少し離れてエルマと話す。俺はここでいいと思うが、エルマの考えはわからないからな。おそらくはここで決定だと思うけど。
「わたしはここでいいと思うんだけど、エルマはどう思う?」
「シエルがいいと言うのならあたしも賛成。でも……」
「ふた部屋あるから一緒に寝られないのかなって」
「一部屋は荷物置きにすればいいよ。わたしも今更一人部屋はいらないし」
話を切り上げて職員に声をかける。
「ここにします」
「分かりました。そのように手続きしておきます」
今月の家賃を支払い、入居する。どこの街にもあるファミリーレストランで夕食をとりその日は就寝した。
翌朝、俺たちはこの街での生活に最低限必要なものを揃えるために市場を訪れた。
この街に永住するつもりがないのでそこまで高価なものを買うつもりはない。でも、寝具だけはいいものを買うつもりだ。睡眠にはこだわりがあるし、それに、その、アレをするにも環境は整っているほうがいい。
その他はテキトウだ。中級品を買っておけばしばらく過ごす分には十分だろう。
丸一日かけて生活環境を整え、ダンジョンアタックに備える。
「明日は休養日だからベッドの使用感、確かめよう」
消えいるような声でエルマを誘う。自分から誘うのは初めてなのですごく緊張する。あの男のせいでストレスが溜まっていたのに今までそれを解消する暇がなかった。もう、我慢の限界だ。このままだとダンジョン攻略に支障が出る。
「へっ、うわ」
エルマが俺の唇を塞いだと思うと、抱き上げられる。そのままエルマは何も言わずに寝室まで移動する。
ベッドに置かれると覆いかぶさられる。自分から誘ったのだから何かしようと思ったが、結局はエルマにやりたい放題やられるだけだった。
1日休んでからのダンジョン攻略開始。今日から冒険者なら一度は経験したいと思うダンジョンだ。
ダンジョンでは普通ではあり得ないことが起こる。一番分かりやすい例は倒した魔物の魔石化だ。普通の魔物は倒すとそのまま死骸になり姿形を残すが、ダンジョンの魔物は倒すと魔石だけを残し消える。これはダンジョンに潜ることのない一般人でも知っていることだが、もう一つ、忘れてはいけないダンジョンには不思議な仕組みがある。それは、2回目以降にダンジョンに入るときは前回到達した階層からスタートになるということだ。そのため、ダンジョンを攻略するために無理な遠征を進める必要はないのだ。
「いよいよだね。このダンジョンを攻略してAランクになろう」
ダンジョンにはありとあらゆる魔物が現れる。そのため、ダンジョン攻略者は実質最上位のAランクの称号が与えられる。
俺たちが攻略するこの街のダンジョンはまだ誰も攻略者がいないので、俺たち以外にも初攻略者の栄光を求めてやってきた人たちが多くいる。全員がライバルで、彼らよりも先にこのダンジョンの最下層を目指す。
「うん」
返事をしたエルマの拳に少し力が入った。
ダンジョンは階層が下がるごとに魔物の強さが上がっていく。現在の最高到達点は75階層。魔物の強さはAランク相当だと噂されている。
そして、現在俺たちが攻略しているのは10階層。Dランクの中でも弱い魔物しか出てこないので張り合いもなければお金にもならない。迷路のようなダンジョンを移動する方が時間も労力も使う。
荷物が魔石で一杯になったので一度帰還し、魔石を置いて再びダンジョンに入る。しばらくはこれの繰り返しになりそうだ。
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