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鎧武者

 十の黒刀を冥刀へと戻したところで鎧武者の姿が掻き消えた。


 ……速い!


 だが、まだ追える。

 右側に現れた鎧武者は俺の首を刈り取るべく大太刀を振るった。

 俺は頭を下げる事でそれを回避、身体を半回転させて鎧武者の心臓を狙う。だが無理な姿勢で放った斬撃は難なく躱された。

 距離をとった鎧武者が納刀し真空刃を放つ。

 

 それを冥刀で斬り払い、縮地を使おうとしたところで気が付いた。その時には既に大太刀が納刀されていた。

 続けて無数に放たれる真空刃。俺はそれを的確に迎撃していく。


 ……遠距離だと分が悪いな。


 俺の第三偽剣(断黒)も威力では負けていない。しかし鎧武者のように連発は出来ない。


 ……なんとか懐に入らないとだな。

 

 鎧武者の武器は大太刀と小回りが効かない。加えて体格も大きく、懐に入れば俺が有利だ。


 ……ならわざわざ付き合う必要はない。


 飛来した真空刃を冥刀で弾いた瞬間に二刀へと変化させる。

 続けて前方に闇を放出し、霧状に展開した。

 新たに飛んできた真空刃を縮地で回避しながら前へ。闇霧の中に突っ込んでいく。

 

 そこへ殺到する真空刃。このまま進めば真っ二つというところで、足元にあった闇霧を固めて足場を作る。そして再度縮地。

 そのまま乱舞する真空の刃の中を突き進む。


 どれだけ強力な攻撃も当たらなければいい。


 俺は一瞬で鎧武者の眼前に辿り着く。しかし鎧武者も馬鹿じゃない。懐に入られたら不利だとわかっている。

 背後の触手が蠢き、無数の口を開けた。


「「「「「イル」」」」」

「「「「「ウルス」」」」」

「「「「「カイルタ」」」」」


 炎が、雷が、氷が乱舞する。


「……ッ!」

 

 即座に縮地を使い後退。同時に左手に持った黒刀を鞘に変え納刀、偽剣を放つ。


「第二偽剣、刀界・破天無双」


 無数の斬撃が襲いくる魔術モドキの全てを撃ち落とす。


 ……邪魔だな。


 触手がひたすらに鬱陶しい。真空刃を潜り抜けたとしても魔術モドキがあるんじゃ近付けない。

 とにかく触手から放たれる魔術をなんとかして捌かなければならない。必要なのは手数だ。

 俺は展開していた闇霧を全て黒刀に変える。


 その瞬間、鎧武者が突っ込んできた。


「くっ!」


 周囲の黒刀を放つが、触手によって叩き落とされる。

 黒刀と大太刀が交差する。激しい衝突音を響かせながら二度三度と打ち合う。


 左の鞘も黒刀に変え、ひたすらに心臓を狙う。

 しかしそれを触手は許さない。心臓を守りながらも俺を食い破ろうと迫る。

 大太刀を受け流しながら周囲の黒刀を操作し触手を捌いていく。

 俺も、鎧武者も一歩たりとも退かない。


 その時、触手の口が動いた。


「「「イル――」」」

「チッ!」


 俺は上段から放たれた大太刀を二刀で滑らすようにして受け流す。

 勢いの乗った大太刀は地面を深々と斬りつけた。左手の黒刀を足に纏わせ大太刀を踏みつける。

 そのまま首ごと触手を斬り飛ばした。詠唱が止まる。

 あとは心臓を穿つのみ。


「第四偽剣――ッ!」


 鎧武者が崩れた体勢を利用して掬い上げるようにして蹴撃を放ってきた。


 ……コイツ! 再生を後回しにしやがった!


 鎧武者は再生よりも心臓を壊されることを嫌った。

 俺は偽剣を中断し、その足を斬り飛ばす。その一瞬で俺は好機を逃した。既に首と触手が再生を終えていた。


 今からでは間に合わない。こういう時に深追いすると碌なことがない。俺は後退する。そんな俺を追うようにして触手が迫る。


「第二偽剣、刀界・破天無双!」


 追撃の触手を全て迎撃する。その時には鎧武者が大太刀を納刀していた。


 嫌な予感がした。


 さっきよりタメが長い。見れば腕が肥大化している。


 ……なら!


 闇を集めて大盾を作り出す。下部には太い杭を付けた俺の身を全て覆い隠せるほどの大盾だ。なるべく厚く、なるべく硬く。ほとんどの闇を使う。防御に特化しているならば防げるはずだ。


 俺は地面に大盾を突き刺し、()()()支える。

 直後、凄まじい衝撃が大楯を揺らした。次の瞬間、抜刀の構えをとった鎧武者が目の前に現れた。


「……だよな。俺でもそうする」


 予想通り。近付けないのならば、近付かせればいい。


 大盾の弱点は正面への視界が塞がる事だ。いきなり背後に回られても気が付けない。

 完全な奇襲だ。


 予想していなければ防げない。逆に言えば、予想していれば先手が取れる。


 左腕を強化している闇を操作して小さな壁を作り出す。

 それを鎧武者が構える大太刀の柄頭に添える。これで抜刀はできない。


 触手が口を開けた。黒刀を作っていたら魔術モドキにやられる。

 だから俺は左足を大きく踏み込んだ。衝撃で地面が砕ける。そのまま身体を捻り、右拳を構えた。


 体格差故に心臓(弱点)は狙えない。


 ならば致命的な隙を作る。

 

 身体全身のバネを使い、拳撃を放つ。

 爺から教わった人体破壊の格闘術。魔力で強化していないと己の身体が壊れるという魔術師専用の殺人技だ。

 本来魔力を持たない俺は使えない。だがそれは縮地と同じだ。闇で代用する。


 衝撃波を撒き散らしながら放たれた拳撃が鎧武者の鳩尾にメリ込み、巨体を浮かせた。


「ハァァァアアアアア!!!」


 そのまま思いっきり拳を振り抜く。すると鎧武者が冗談のように吹き飛んだ。

 すかさずに全ての闇を使い、冥刀を作り出す。


 ……これで最後だ。


 突きの構えを取り、縮地を使う。


「第四偽剣、神穿煌!」


 触手が蠢き、口を開く。だがもう遅い。

 神速で放たれた第四偽剣(神穿煌)が、既に心臓を穿ち大穴を開けていた。それだけにとどまらず背後の岩肌をも貫き陥没させていく。


 手応えはあった。確実に心臓を捉えた。鎧武者は脱力して動かない。

 

 俺は冥刀を引き抜くと、首を落とす。

 それから一分間。待てど暮らせど鎧武者が再生することはなかった。


「封印再起動」


 封印が起動し、闇が消えていく。


 ……終わった。


 これで邪魔するものは何も無い。

 俺は石扉へと歩いていく。あの時と同じで固く閉ざされている。


 ……ようやく逢える。


 心臓の鼓動が早くなる。

 扉にかざした手は震えていた。それがおかしくてつい笑みが溢れる。


 ……遅くなってごめんな。いま行くよ。


 心の中で呟いて、俺は扉を押す手に力を込めた。

次回、遂に……!


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― 新着の感想 ―
[良い点] この過去にきたことがある場所に、ようやくたどり着いた感が最高ですね!
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