結果
瞳を開けると、そこには変わらない光景があった。
チェーンの先についている宝石は微動だにしていない。しかし先ほどは透き通るほど綺麗だった宝石がほんの僅かに曇っている。
それは一度、使用された事実を表す。
「は?」
ついそんな声が漏れた。心臓の鼓動が速くなっていく。胸が締め付けられるように苦しい。
……イメージが足りなかったのか?
あり得ないと思いながらもそう考え、もう一度念じようとした。
……いや待て。落ち着け。
一度深呼吸をして精神を落ち着かせていく。
チャンスは限られている。標のペンデュラムには使用回数があるのだ。一回たりとも無駄にはできない。ならば他の物を思い浮かべるまで。
即ち、星剣。
星剣ラ=グランゼルは世界で一つの星剣だ。星がただ一人の使い手を選ぶ。
もう一度目を閉じてラナの星剣を思い浮かべる。
星剣は薄く青みがかったクリスタルの剣だ。氷を思わせる装飾が施されており、光を反射して薄蒼く輝いている。
ラナと手合わせをした時に何度も見ている。イメージするのは容易い。
俺は再び目を開けた。
しかしそれでもペンデュラムは動いていない。宝石の曇りだけが強くなっていた。
「そん……な……」
自分のものとは思えないぐらい掠れた声が口から漏れた。
足元がガラガラと崩れていくような感覚がする。
「レイさん……」
アイリスが心配そうに俺を見ていた。他のみんなも似たような表情をしている。
心臓が握りつぶされたかのように苦しくなる。
頭に「手遅れ」という言葉が浮かんできた。俺は即座に頭を振ってその言葉を掻き消す。
……まだそうと決まったわけじゃない。
迷宮で第六封印が解けかけた時、俺はラナの声を聞いた……気がする。
だからラナは生きている。絶対に生きている。
たまたま。たまたま、今回は相性が悪かっただけだ。必ず方法はある。
ならばこんなところで折れる訳にはいかない。
……俺の思いはこんなものじゃねぇだろうが!
バチンと頬を叩き、気合を入れる。
「……アイリス。一度試してみて貰えるか?」
「……わかりました」
血の繋がった家族ならあるいはと思い、ペンデュラムを手渡す。
アイリスは俺と同じように目を瞑った。俺は一瞬も見逃すまいとペンデュラムを注視する。
すると宝石の曇りが増した。しかしペンデュラムは動いていない。
「くっ!」
奥歯が砕けそうになる程、噛み締める。
目を開けたアイリスの目尻には涙が浮かんでいく。
「……ごめんなさ――」
「謝るな!!!」
急に上げた大声にアイリスが驚いて一歩後退る。
俺は「ごめん」と謝り、アイリスの手を包み込むように標のペンデュラムを受け取った。
その手は震えていた。だからなるべく柔らかい声音を心がけて言う。
「……悪いのはアイリスじゃない。大丈夫だ。ラナを救う方法は俺が必ず見つける」
俺はアイリスの目を見てしっかりと伝えた。
これだけは変わらない。たとえ何度失敗しようが。俺はラナを救い出す。
「……俺は他の方法を探す。少し頭を整理したいから一人にしてくれないか?」
「わかり……ました」
アイリスが頷き、部屋を出る。その後にみんなが続く。
「カナタ。アイリスを頼む」
「……ああ。こっちは任せろ。お前も少し休めよ」
すれ違い様、カナタに小声で耳打ちをすると頷いてくれた。その気遣いがありがたい。
みんなが出ていったのを確認すると俺はソファに体を預けた。
短かッ!
私もそう思います。
なので19時過ぎにもう1話更新しますので少しお待ちください!
一旦切りたかった!
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