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逃走若様 道中記  作者: C・ハオリム
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第3話 「新しい名前はロスタだ」

 「若様、新しい身分って、売っているんですか?」

 「その手の話を大きな声でしない様に」


 僕の心配をよそに、街中を一緒に歩くことができることがうれしいのか、シュマは尻尾はちぎれるんじゃないかって心配なぐらいにブンブン振られていた。

 それが、僕の腰に時折あたるから、ちょっと痛いんだけど、彼女の親愛の情の表れと考えれば、無碍にやめさせる訳にもいかなくて………。

 僕が下手に気を使い過ぎっていることは分かっている。こういう性分なので仕方ないんだけど。


 「教会に行って、洗礼名簿に登録して、新しい身分を手に入れる。そして、それぞれ設定を作る。僕が侯爵の長男じゃなくて、どこかの平民の次男坊になるってわけだよ」


 「若様は次男にはなれません。なるなら次女です。できれば、私の妹ということに………、明日からお姉ちゃんって甘えて頂いてもいいんですよ」


 僕はこれからのことをざっと話すとコレットが何か不穏な事を言いだした。


 「コレットの言うように次男にはなれないね。僕は今は男じゃないから。残念だけど、洗礼を受けた時、生まれた時の記録だからね。兄弟、姉妹の種族が違うと、後で作る時にややこしくなるんだ」


 僕が説明すると、コレットの耳がしゅんと萎れ、さっきまで五月蠅いぐらい振られていたシュマの尻尾がピタリと止まってしまった。


 「貴女たちには、それぞれ作ってもらいますから。若様の安全を確保するには大切な事ですから」


 しょげてしまっている侍女たちにリナは淡々と説明した。


 「分かっているよー。夢ぐらい見ても良いかなーって、無理なのに」


 「私たちは、夢を見る事すら許されないのですね。獣人で、身分も違いますから」


 寂しそうにシュマが言うと、コレットは涙を見せぬようにか空を見上げて寂しそうに呟いた。


 「コレットー、どうこの切なさの表現」


 「素敵です。報われないのを達観しても、諦めきれない感じいいですね」


 「コレットの報われない感じ、想いで変えられない現実感、泣けますよー」


 シュマとコレットは互いに手を取って、それぞれの切ない台詞の感想を述べあっていた。


 君らの切なさより、この姿になってからずっと持続低音のように僕に現実を思い知らせてくれている股間の喪失感からの切なさのほうが酷いと思う。

 元よりなければ、そんな事は気にもならないのだろうけど。



 「ここです」


 リナが案内してくれたのは、大地母神メラニ様の教会だった。その教会は歴史があるらしく、建物は年月の経過と言う暴力の痕跡が力強く主張していた。見ようによれば夜中に立ち入る際には多大な勇気が必要とされるような佇まいであった。


 「こんな所で・・・」


 僕は目の前の教会を見て思わずリナにこぼしてしまった。そんな僕の言葉にリナはにっこりとして答えた。


 「こんなんだからいいんです。こんな所の洗礼名簿が後で付け加えられたり、消されたりしても誰も気にしません。でも、こんな所でも身分証明の書類は出して貰えます。身分証明の書類はどんなところで書かれたかなんて必要なく、教会の神主のサインとスタンプがあればいいんです」


 リナはそう言うと、痛んだ教会のドアを押し開けた。ドアはその行為に文句を言うように大きな軋み音立てた。


 「誰だい? 」


 礼拝堂のベンチに横たわっている影がしゃがれた声を上げた。僕は思わずこの世のものではない何かが出たんじゃないかと飛び上がった。

 もし、男の時だったら確実に縮み上がっていた状況だった。

 

 「リナですよ」


 リナはその影に気さくに声をかけると、それはむくりと起き上がった。


 「人が気持ちよく寝ているのに起こすとは、良い趣味しているねー」


 ブツブツいいながら起き上がったのは、エルフ族の艶っぽい巫女だった。


 「巫女様、前にお話ししていた件ですよ」


 「ああ、あの事かい。その手の話なら、ちょいと奥に来ておくれ」


 彼女はそう言うと、面倒くさそうに欠伸をかみ殺しながら礼拝堂の奥にある彼女の生活スペースに僕たちを案内してくれた。


 「そこにかけておくれ、少しばかり散らかっているが、気にするな」


 彼女は、多分食事をしているであろう、ゴミだらけのテーブルをぐっと傾けてゴミを落とすと、乱雑に置かれた薄汚れた分厚いファイルを取り出してドンと置いた。


 「そこの白いのと黒いの、ここに名前と生年月日を書いて送れ」


 「分かったー」


 シュマとコレットが渡されたメモ帳に名前と生年月日を記入すると、彼女はメモを見ながらファイルを繰ってお目当ての項を探した。


 「あった、ここに丁度空きがあったねー」


 「空き? 」


 僕は彼女の言葉に疑問を持って尋ねてしまった。


 「洗礼名簿は、十二分に余裕をもって記載するんだよ。そうすりゃ、こうやって後から書き込むことができるだろ」


 「つまり、最初からこういう事ができるようにしているってこと? 」


 「信仰するにもお金は必要だからねー」


 彼女は悪びれもせず僕の問いかけに答えるとファイルにさらさらと新たな洗礼を受けた者の名前を記入し、そしてそれに基づく身分証明書のカードにサインと教会のスタンプを押した。


 「白いのの名前はシュマ、黒いのの名前はコレット、これでいいかい? 」


 「ゑっ? 」


 巫女の言葉にシュマとコレットは互いに顔を見合わせた。僕は思わず頭を抱えた。


 「新しい名前にしなくちゃいけないのに………」


 「ええ、それじゃ書き直し」


 「名前を考えないといけません」


 僕の言葉にシュマとコレットは小さな悲鳴を上げると巫女に頭を下げた。


 「書き直しをお願いします」


 「そうなると、新たに寄付が必要になるねー。私もあんまり危ない橋を渡りたくはないんだよ」


 巫女はシュマとコレットの申し出に対して新たな登録料が必要な事を告げてきた。


 「リナ、お金は………」


 僕がリナを見ると彼女は黙って首を横に振っていた。


 「こういう事は大っぴらにできませんし、もしバレたら、えらい目にあうんです。お金を払うとなると、抹消料と登録料がいりますから………」


 リナの言葉に僕は深いため息をついた。

 

 「2人とも見た目が変わっているから良いか、同名の人ってわりといるもんだし………」


 僕は自分を納得させるように呟いた。

 今度は僕の番だ。


 「生年月日は同じ、名前は姓はいらないから………。ロスタ、新しい名前はロスタだ。昔、読んだお話に出て来た商人の娘の名前からもらった。これなら違和感はないよね」


 僕は巫女に名前と生年月日を書いたメモを渡すと、彼女に確認した。


 「ロスタ………、あ、行商人の娘から、紆余曲折の末に大きなお店を構えたってヤツだね。この手の名前はあやかりたいって、結構つける人が多いんだよ。ほらよ」


 彼女はさらさらとファイルに書き込んで、カードを作ると僕に手渡してくれた。


 「ここでのことを公にしてもらうと、あんたらにも不都合があるからね。神の国に召されることになりかねないってことを心しておいてくれよ。長居されると困るんだよ。さっさと行きな。では、メラニ様のご加護があらんことを」


 彼女は立ち上がると、僕たちを追い立てるように教会の外に出るように言ってきた。


 「アレだけ寄付したのに、この塩対応………、潰れてしまえ」


 リナは古びた教会に向かって呪詛の言葉を吐いた。それ、神様に喧嘩売ることになるから慎んだ方がいいよ。巻き込まれると大変だから。


 「これで、身分証も手に入りましたから、このまま逃げ切れますよ」


 シュマがカードを掲げてみながら笑みを浮かべた。ふつうなら、これで完了かも知れないけど、ボクには特別とも言える状況がある。


 「これで傭兵の登録をする。傭兵になれば、街に入る時のお金が安くなるし、任務中ならただになる。つまり、行商人リナの護衛と言う任務を受けていれば、払うお金はリナとジャグの分だけ済む。その上、自由に移動ができる」


 ボクは今まで温めていた計画を一気に話し出した。サックの街にいつまでも留まるわけにはいかない。いくら新たな身分を手に入れ、姿形が変わったとしても、どこかで真実に辿り着く奴がいる。そいつが賢いか愚かは別として。


 「私たちも傭兵になるのですね。悪を討ち、正義を為したり、不正を暴いたり………、いいですねー」


 コレット、君は読み物に感化されすぎ、ボクたちは目立つとダメなんだからね。


 「若様を身を挺して護るんですよ。………ここは、私に任せて。若様にお仕え出来て幸せでしたって、言うのですよー」


 シュマも何かうっとりとした目で恐ろし気な事を呟いている。そんな事にならないために傭兵になるんだからね。


 「これで、ずっと若様と一緒だ。若様と旅ができるなんて、おいら嬉しいよ」


 ジャグは無邪気にボクにとびついてきた。その笑顔を見た時、なんとなくだけど、逃げ出してよかったと思った。


 「もう、侯爵家とは縁も所縁もないただのロスタだよ。ロスタはちょっとした商人の妾の子で、跡目争いから逃げ出した娘。シュマとコレットは彼女の専属の侍女でついてきている。これがボクたちの身の上だ」

 

 僕は身分証のカードを皆に見せながら簡単な新たな身分の設定を話した。ちょっとばかり真実に似せているところは、あまりにもかけ離れ過ぎた設定にするとぼろが出ると考えたからだ。

 間違っても、超古代の光の戦士の末裔だなんて恥ずかしくてできないからね。


 「傭兵ねー。子供の遊びじゃないんだぞ」


 サックの街の商工会で手続きしようとしたら、担当職員のおじさんがあからさまに面倒臭そうな表情をしてみせた。


 「このシュマとコレットはそれぞれ武術を心得ており、それなりの屋敷で主の警護をしておりました。ここにおられる、若……違う、えーと………ロスタ嬢はとある商人の妾の子で、跡目争いの道具とされる所を逃げ出した次第です。商人の子と言えど剣は使えるように鍛えらています。皆、読み書きと計算ができて、護衛としても商売の手伝いもできる、このような人材は無いと思っています」


 職員のおじさんにリナがボクが作った簡単な設定にちょっと付け加えて説明すると、おじさんは渋々登録してくれて、傭兵の登録カードを発行してくれた。


 「専属の警備もいいが、定期的に商工会で斡旋している仕事もしてくれよ。それがないと登録の取り消しもあるからな」


 職員のおじさんはリナに警備のためにボクたちを雇用するための用紙を差し出すと、リナはそれにサラサラと記載していった。


 「報酬は、その時の出来高って? 」


 リナはしれっと重要な事を記入したことをボクは見逃さなかった。


 「あたし一人の稼ぎで、若様たちとジャグを養っていくんです。決まったお金は払えませんよ。お嫌でしたら………、哀しいですけどここまでになりますよ。若様たちは旅をするための知恵や技術をお持ちですか。街の商人と値段の交渉ができますか? 」


 リナは勝ち誇ったようにボクに訴えかけてきた。確かに彼女の言うとおりだ。ボクやシュマ、コレットが買い物しようとしても吹っかけられたら、そのままの値段で支払ってしまうことは明らかだ。平民と言えどシュマもコレットも屋敷で育ったから庶民の感覚からズレているし、ボクなんかは言うまでもない。


 「分かった。その代りと言っちゃなんだけど、食事はきちんと支給してもらいたい。雑草を食えとかはなし。これでどうかな」


 ボクは基本的にはリナの申し出を飲んだが、食事に関しては譲れなかった。これは、雇用料が支払われなかったら、あっという間に食い詰めることが目に見えたからだ。


 「………契約します」


 リナは暫く考えてから手を差し出してきた。ボクは彼女の手を力強く握った。これで契約されたことになった。

 ボクの傭兵としてのキャリアがはじまったのだ。

 そのつもりだった。


 「で、嬢ちゃんたち、得物はあるのかい? 」


 商工会のおじさんの言葉でボクは重要な事を忘れていた。

 ボクの浮かれていた心はあっという間に、地底深く落ち込んで行った。


 「そう言えば、そうでしたねー」


 シュマがの自分も失念していたと、のんびりした声で教えてくれた。


 5人もいて、誰も気づかないって………、ものすごい不安を僕は感じた。


 「契約は良いが、商売道具ぐらい準備しろよ」

 

 商工会のおじさんが、冷めた視線を投げてくれた。その視線にボクは力なく頷いた。



 「リナ、何か武器は商っていないのですか」


 商工会から出て、家に戻る際中にコレットはリナに尋ねた。腐っても商人である、その辺りは押さえているはず。

 ………、そう思っていた時もありました。


 「武器は重いし、鎧とかは嵩張るし、種類も多いし、あたしのような行商人は、扱わないですよ」


 リナははつらつと正直にコレットに答えてくれた。元気で正直なのはいいけど………。


 「武器か………、ボクは細身の剣がいいなー、家で使われるあのゴツイ両手剣は重いからダメだ。コレットとシュマは警備訓練で使っていた片手剣かな。防具は胸鎧かなー、できれば盾と弓、槍も欲しい所だよね」


 「若様、まさか、武器代もあたしに負担せよと仰せでしょうか」


 リナがボクの言葉に顔色を失って、彼女の顔面は毛だらけなので実際は分からないけど、多分そうなっていると思う、尋ねてきた。この調子だと、彼女の経済はキツイのだろう。


 「館からはいくばくか持ち出してきたんだ。これで足りるかな? 」


 こんなこともあろうかと、ボクは密かに離れの必要経費を水増しして請求してきたのである。

 そうやって、貯めた現金といっても、そんなに多くはないのを財布ごとリナに手渡した。


 「え、こんなに………、微妙な所ですね。皆さんの剣と胸鎧を購入したら、残りで旅の道具を購入して………、残るのは10日程度の安宿代ぐらいですかねー」


 リナは財布の中身を確認すると、ボクが先ほど欲しいとしたものを全部購入することは無理だと話してくれた。


 「あたしの交渉術をもってすれば、どんな武器でも格安で手に入れられますよ」


 彼女の言葉を信じていた時もありました。現実はとてもとても厳しいものだった。


 「銘のある剣を金貨3枚で………、若様、これ、掘り出し物ですよ」


 「リナ、赤鰯って銘じゃないよ。………よく見ようよ」


 リナは武具屋で店員が「赤鰯ですけど」と言ったのをどう勘違いしたのか、ボクにいい仕事しているでしょ、とまるで投げたボールを取ってきて「ほめて、ほめて」と尻尾をふっている犬のように僕を見つめてきた。

 リナ、君は犬じゃなくて狐だよね………。


 「赤鰯ってのは錆びているってこと。これを整備して普通に使える状態にするにはそれなりの時間とお金が必要だからね」


 ボクの指摘にリナは耳をしゅんと伏せて泣きそうな表情になっていた。彼女なりに頑張ったんだろうけど、これは結果が全てになるから。


 日用品の目利きには問題はないようだが、リナに武具関連の目利きは期待できないことが明らかになった。ボクが不安を感じている時にシュマが彼女に首を傾げながら尋ねた。


 「リナさん、うちに調理用のナイフとか包丁を売ってくれましたよねー。あれ、結構いい感じだったんですよ。どうやってあんないいのを手に入れたんですかー?」


 「実物を良く吟味するんです。名匠とか銘とかは案外偽装されやすんですよ。無銘でもしっかりとした丁寧な仕事をしているのを仕入れていたんですよ」


 「だからあの刃物は使い勝手が良かったんですね。刃こぼれしないし、砥いだら買った時みたいな切れ味になったから」


 商品を選ぶ時の注意点を話したリナにコレットが自分の使っていた刃物の事を思い出しながら、彼女の鑑定眼に誤りがなかったことを話し、しょげているリナを励まそうとしていた。


 「リナ、剣を包丁と同じ観点で見てくれないかな。乱暴だけど刃物と言う事ではどちらも一緒だ。ボクたちが使うんだから、頑丈さと持ちやすさが重要だと思うんだ」


 ボクがリナにそう話すと、彼女の今まで伏せていた耳がピンと立ち上がり、その目は獲物を狙う肉食獣の目になっていた。


 「武具ということで、舞い上がっていました。基本は同じなんですね。お任せください」


 今更なことに気付くリナに不安感と同じぐらいの頼もしさを感じ、腹を括って彼女に任せることにした。



 「こうやって見ると、イイ感じですよ」

 家に戻ると、ボクをはじめシュマ、コレットは購入したばかりの剣を見たり、佩いてみたりしてその感触を味わっていた。特にシュマは手を護るより、敵対者をぶん殴ることを目的としたようなヒルトを痛く気に入ったようだった。


 ボクは細身の剣を振ってその重さと使いやすさを確認していた。ボクは、優男だったけど、ブッコワース家の嫡男として剣術の稽古は欠かさずさせられていたから、剣に関しては素人ではないことは自負している。、その稽古もここ最近はさぼりがちだったけど。


 「悲しいことをお伝えします。このお買い物で、あたしたちの持ち金が危険な水域達しました。お食事の質を落としても7日ぐらいしか食事代が持ちません。旅道具はありますが、旅のための食料を購入しなくてはなりませんから、実質、4日ぐらいですね」


 ボクたちが新たに手にした剣に浮かれている時、リナが真剣な表情で話し出した。

 偉大な戦士を跪かせるのは、強大な敵ではなく、彼の経済である。

 これは、有名とされる傭兵が語ったそうだけど、それは正しいと思う。特に、今は彼の気持ちが良く分かる。

 残念ながら、ボクは偉大でも何でもないけど……。


 「リナ、今あるお金は商品の仕入れなどに使ってくれないか。仕入れが終われば次の街に向けて移動する。できれば、館のあるアーレイの街から遠ざかりたい。もう、館じゃボクたちがいないことに気付いている頃だろうから」


 ボクはリナたちに今後の大雑把な動きについて伝えた。


 「じゃ、サックの街の特産品を仕入れて、明後日の朝にナンガの街に向かいましょう、その後、何が山脈を超えれば海に出られます。遠回りにはなりますが、追っ手をまくためですから」


 ボクの言葉にリナがすぐさま反応し、早速何を仕入れるかブツブツ言いながら考えだした。

 シュマとコレットも旅に必要となる物をリストアップしだした。

 ボクは彼女たちの行動を頼もしく思いながら見ていた。


 「若様、リボンの結び方、髪の梳かし方教えてあげる」


 女の子らしい服に着替え、しっかりと髪を整えたジャグがニコニコしながら僕の手を引っ張った。

 

 「うん、分からないことだらけだから、お願いするよ」


 ボクは、ジャグに考えもなく簡単に答えてしまった。

 これは、言うほど簡単ではなく、覚悟のいるモノだった。

 ジャグからの半ばスパルタ的な教育を受け、ボクは、女の子としての身だしなみについては、剣術の稽古よりきついことを身をもって知ることになった。


この世界では、冒険者なる職業は無く、それに該当するのが傭兵となります。

傭兵は戦争だけではなく、護衛、捜索、配達、採取など肉体的に危険のある仕事を請け負う人たちの総称です。

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