恋と船人
出会うまでは 海の上でした
深い海の 夜を超えていく
船は淡い恋の 魅惑の波に揺すられて
長い夜の旅は 右に左に 上へ下へ
偶に海に落ちては 溺れ傷ついて
鯨に掬い上げられ
彼等の歌を慰めにして 再び帆を張るのでした
そうして船の扱いに慣れていくと
夜が明けていったのです
星が淡く海を照らし 月が水面に溶けて
朝の光が海の上を駆けてゆく
光の先には 島 プカリと浮かんでいた
プカリと浮かぶ
あまりの呑気さに 気が抜けて
プカリと浮かぶ
あまりの優しさに どれだけ安堵したか
それはあなたとの出会いに
とても似ていると思うのです。
恋を振り返る時の気持ちを喩えるなら何だろうと思いながら書きました。