有名作家Rとの出会い『表と裏②』
今回の登場人物は有名作家R。そしてその表と裏の理解についてだ。
Rは超がつくほどの売れっ子作家である。
もしも本人がそれを否定しても、世間は否定しないだろう。
実はRから名前を出しても良いと言われていたが、皆の意見を元に名前を完全に伏せることにした。
それに対して少し寂しいと嘆いていたが、それもまた有名であるがゆえ仕方ない。
掲示板で出会った当時、彼はまだ書籍化デビューしていなかった。そのため小説知識の乏しい雄太朗は、彼のことを全く知らなかった。
有名な小説サイトメインで書いてる人。くらいの印象だ。
無知で無謀な雄太朗は、そんな彼に自分の作品を読んで辛口意見がほしいとお願いをした。
彼は、「本当に辛口でいくが、覚悟は良いか?」と警告をする。
ふん、何をいうか! 雄太朗だって真剣に物語を作っているのだ。難癖つけるならつけてみなさい! っと謎の強気であった。
正直、少しだけ後悔した。心が折れて砕け散るほど的確で鋭いダメ出しをされた。
彼は1つのジャンルで、王と呼ばれるほどの実力者であったのだ。
いや、辛口意見を求めたのは雄太朗の方だよ。だが、少しくらいは自分の作品に自信だってある。辛口意見を求めた上で、褒めてほしかったのが本音だ。
ここでは書かないが、Rの辛口評価はほんとうに辛い。しかし、それ以上にとても大切な知識を与えてくれる。
後は受け手のメンタルが耐えられるかだ。
Rは近年、途轍もなく飛躍した。
それは勢いがあるがゆえ、一部は嫉妬し、否定する。実は自分も少し嫉妬していた。
ネットは、その憎悪の捌け口に最適だ。
小説では良くある批判文句。
『絵が良いからだ』
『内容で売れていない』
そんな批判を見つけた時、雄太朗は胸が熱くなった。
批判する人間は、Rが何年前から積み上げてきたか知っているのか? 表だけの情報で、裏を見ようとしない典型である。
Rには積み上げてきた巨大なものがある。
そして今も尚、Rは必死に積み上げている。
嫉妬とは、己を奮わせるためのもの。他者を傷つける感情ではない。
不思議なものだ。
顔も知らないのに、Rが批判されるとそれだけ強い感情が芽生えてくる。
売れっ子となり、多忙な日々を送るR。
物書きとは、なにも物語を書くだけが仕事ではない。
それを教えてくれたのは、Rの日々の努力である。
そんなRは毎朝必ず掲示板にやってくる。
おはようの言葉と、ちょっとした雑談。
それをずっと続けることができるRの生真面目な性格。それが多くに愛される理由だろう。