猫嵐との出会い『表と裏①』
掲示板に集まった人の中には、何名か凄い人物が紛れていた。
猫嵐はその1人である。
彼はとある小説サイトで、長い間ランキング上位に居座る気高き修羅だ。
超長編の続編を公開すれば、一瞬で大量の評価ポイントを獲得する。
そこから得たリワードと呼ばれる広告収益で生計を立てる、筋金入りの物書きだ。
どうだろう? 物書きだけで生活する。ここだけ聞けば、楽に聞こえて羨む人も多くいるだろう。自分もその1人だった。
ネットとは、表面の情報だけで物事を決めつけることが多い。
ならば、そこに裏の情報を与えてみよう。
彼は好きで物書きになったわけではない。
世の中の不況。それに巻き込まれ、否応なしにその道を歩むこととなったのだ。
それにリワードだけで生活をするのは、決して甘いものではない。超上位陣の彼ですら、年間の収益はサラリーマンの平均よりずっと下である。
まとまった収益を得るには、コンテストや書籍化で一攫千金のみ。
しかし、その道は超上位陣の彼ですら容易にたどり着ける場所ではない。
そんな精神状態のまま、君は毎日どれだけの文章を書けるだろうか?
彼のノルマは、毎日休むことなく最低10000字以上。時には20000字近い文章を書く。
その上で、ランキング上位に鎮座するクオリティーを延々と保つのだ。
もう一度聞こう。物書きだけで生計を立てる。君は本当にそれを羨ましく思うだろうか?
ネットとは、面と向かって人と話すわけではない。
だからこそ表面からの情報が重要視されがちだ。
だが忘れないでくれ。表には必ず裏が存在することを。