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伝説の動物オルラルド  作者: 由梨花
8/8

会長

 地下牢から脱出したナオとカナタとリツとユリファは、亜弥登との合流場所である海岸へ向かった。


【亜弥登、大丈夫か?今そっちに向かってる。何処にいる?】


 リツが思念伝達で呼びかける。


【うん、大丈夫!今海に潜ってるよ。海岸に奴らが沢山いるから気をつけて!】

【じゃあ、俺達も離れた所から海に潜ろう。】

【丁度海に岩山がある。そこで待ってるね。】

【あ、あそこだな。わかった。】





「ぷはぁー。みんな大丈夫かなぁ。」


 一足先に岩山に辿り着いた亜弥登は、顔を出して待っていた。

 暫くすると。


「あ、来た来た!みんなーこっちだよ!」

「亜弥登、無事で良かった!」

「貴方達がナオさんとカナタさんですね!宜しくお願いします!」

「亜弥登くん、宜しくな!」

「亜弥登くん、宜しくね。」


 リツが、


「一度亜弥登の家へ帰ろう。奴らにはここにオルラルドが出たという情報が出回ってるはずだから、亜弥登の町からは一旦捜索が切り上げられるはずだ。」


 と、いった。


「そうだね。父さん達も何か知ってるはずだから聞きたい事も沢山あるし。」

「見られない様に出来るだけ海を潜って進むぞ。」

「わかった。」


 そして僕達は一度家に帰る事にした。





 ーーーーー





 島に着いた僕達は、人数が多いと見つかるリスクが高くなるので、ひとまず二手に分かれる事にした。

 僕とリツとナオの3人、ユリファとカナタの2人に分かれる。ユリファが僕の家を知っているからカナタを案内できるし、ナオは僕とリツで案内する事にした。


 人目を避けてなるべく見つからない様に。

 さっきの町でリツがローブを買っていてくれたので、僕はそれを羽織った。





 僕達は、無事に家へ到着した。


「あれが僕の家だよ。」

「立派な家ね。」

「亜弥登、お前がその姿で出ると危険だから、先にオレが家へ入る。」

 と、リツが言った。

「私も怪しい奴がいないか周りを偵察するわ。」とナオ。


 周りを確認しながらリツが僕の家のチャイムを鳴らした。


「亜弥登!」


 柊が玄関を開けた。

 柊は泣きながら亜弥登の姿のリツを抱きしめた。

「無事でよかったわ。」


 すると尋もやってきた。


「亜弥登!よく帰ってきてくれた。」

「さぁ、中に入って!」


 リツは中に入って行った。

 父さんと母さんは、リツを僕だと思ってる。

 なんだか複雑な気持ちだった。

 今に始まった事ではないんだけど、やっぱり、こっちが僕だよって言いたい。でも、そんな事、言えるはずもなく。

 そんな事を思っていると、家には会長がいた。


「父さん、母さん、なんで会長さんがいるの?」

 会長は亜弥登に気づき、近づいていく。

「亜弥登くん、お久しぶりね。無事で何よりだわ。」

「亜弥登、会長さんから色々と話を聞いていたんだ。」

「父さん、どう言うこと?」

「実は、会長さんにオルラルドを匿う様に言われていたんだ。」

「じゃあ、会長さんはオルラルドがウチにいた事を知っていたの?」

「ああ。」

「だから変な男達がウチに来たんじゃないの?」

「それは違うんだ。」

「どう言う事?」

「その事は会長も知らなかったんだ。どうやら動物愛護協会に悪い事を企んでいる人がいるんだ。」

「副会長の事?」

「なぜそれを知っているんだ?」

「僕達を探し回っているみたいだったから。」

「そうだな。そうだ、リツはどうした?一緒じゃないのか?」

「その前にちゃんと説明して。」

「私から話しましょう。」

 そう言って会長が話始めた。

「実は、副会長の坂城 裕之(さかき ひろゆき)は、貴族の生まれでね、オルラルドの毛皮と瞳で出来た宝石を持っていたの。

 その毛皮と宝石を使ってイーエデンの扉を開けたの。

 そしてオルラルド達を捕まえて何やら実験をしているみたいなの。」

「それって、どんな実験なの?」

「そこまでは分からないわ。でも、オルラルドに発信機を埋め込み捕らえている事は事実。ここには色んな動物が集まるからね。私は尋と柊にもし、万が一オルラルドに出逢ったら、私に言わなくていいが、匿って欲しいって伝えていたのよ。そして発信機も必ず外す様にってね。」

「だから私たちは、リフ達を見つけた時にすぐに発信機に気付き外したんだ。そして、会長にもずっと隠していたんだ。」

 と尋が言った。

「でもね、発信機が反応しなくなった場所を特定した彼らは、ここの町にいると睨んで探し回っていたの。そしてこの山の近くで目撃情報があった。山で目撃されれば、1番近くの動物病院で保護されたはず。そう思った坂城は、亜弥登くんを車で襲わせたんだと思うわ。」

「なんで僕が襲われたの?」


「もし、この動物病院で保護されていたとしたら、子供の亜弥登くんが1番狙いやすい。その亜弥登くんを助けにくると践んで狙ったんじゃないかしら。そしたら本当にオルラルドが助けに来たもんだから、後はいつ捕まえるか伺っていたのだろうね。」

「なんで会長はそんなに詳しいの?もしかして、会長が僕を襲わせたんじゃないの?」

「何を言ってるんだ、亜弥登!」

「あら、尋、いいのよ。私も伊達に会長していないわ。実はね、ずっと坂城が気になってたの。さっきも言った通り、あの子は貴族の生まれ。元々坂城の曽祖父がオルラルドの毛皮を作らせたの。だからオルラルドを慕う民衆からずっと非難を浴びせられてきた。それは今も続いているの。坂城が陰でオルラルドについて色々調べていたのも気になっていたからね、私の信頼している者に坂城を見張る様に言っていたのだけれど、彼はとうとうイーエデンを見つけてしまった。」

「ずっと見張っていたのなら、イーエデンが襲われる前にどうにかできたんじゃないの?」

「そうね。私の力不足だわ。」

 会長は泣きそうな顔で言った。

 リツは会長が嘘をついている様には見えなかった。

「わかった。信じよう。」

【亜弥登、ナオ、入ってきて。】

【わかった。今ユリファとカナタさんも合流したから一緒に行くね。】


「会長さん、オルラルドを連れてきたよ。」

 と言ってリツが窓を開けた。

「あの子が、オルラルドなの?」

「そうだよ!」

「初めて本物を見たわ。とても立派ね…。」

 会長さんはオルラルドの姿に瞳を奪われているようだった。

 オーロラの様に輝く毛並み、エメラルドグリーンに光る瞳、大きな耳と尻尾。


「リツぅ!無事で何よりだわぁ」

 と母さんが近づいてきた。

 そして両手を広げて優しく抱きしめてくれた。

 まぁ、僕が亜弥登だよって言いたかったけど、今は堪えよう。

 父さんもほっとしていた。

「リツ、亜弥登を守っていてくれてありがとう。」

 父さん…。

 僕は思わず涙を流してしまった。

「なんだリツ、泣いてるのかぁ。」

 と、亜弥登の頭をくしゅくしゅに撫でた。

【亜弥登、尋が…】

 と思念伝達でリツが僕に言った。

【まぁ、今は我慢してあげて】と僕が言った。


「それはそうと、そちらにいる方々は?」

 と父さんが聞いてきた。

「イーエデンでオルラルドと暮らしていた人達だよ。」

 と僕になったリツが紹介した。

「そうなのね!今晩は遅いから、泊まって行って。」と母さんが嬉しそう。


 会長はひとまず帰り、ユリファとカナタとナオは、ウチに泊まる事になった。





「母さん、父さん、おやすみ」

「ああ、おやすみ」

「おやすみ、亜弥登、リツ」


 僕達は自分の部屋に落ち着いた。

 ユリファとナオで一部屋、カナタは一人で一部屋それぞれ空き部屋を貸したが、一旦僕の部屋に集まった。




「亜弥登の家族はいい人達だな。」

 とユリファが言ってくれた。

「飯も美味かったな!」とカナタさん。

「お風呂もとても気持ちよかったわ!」とナオさん。

「外にいた奴らは平気か?」

 とリツが聞いてきた。

「うん、大丈夫だ!イヤフォンとケータイも回収したし、逃げられない様にぐるぐる巻きにしておいたからな。」とカナタが言った。

「そ•れ•にっ、さっきそのケータイに連絡きたから、まだオルラルドは見つかってないって言っておいたわよ。」

 とナオが言った。


 これで暫くは大丈夫だろう。

 さて、あと仲間の人間は、3人。

 イブキ、ミト、イリスだ。

 しかし今の所手掛かりはない。どうやって探そうか。それにオルラルドの居場所もまだわからない。

 しかし、会長の信頼している部下がまだ坂城を観察していると言っていたので、僕達は一旦会長からの連絡を待った。

 少しでも何か情報を掴んだら直ぐに連絡してもらう様に頼んでおいたのだ。


「明日はどうしようか?」とリツが言った。

 リツは1人で学校に行くのもまだ危険なので、家の手伝いという名目で休んでいる事になっていたので、引き続き休む予定だ。


「あっ、そうだ、隣の島は僕が住んでいるこの町よりも都会なんだ。だから、そこに行けば何か情報を得られるかもしれないよ。」

 と僕げ提案してみた。

「そうなのか?」とユリファが乗ってきた。

「うん、隣の島までは陸橋があるから、そこを渡れば通れるしね。」

「でも、奴らにオレ達の顔がバレている。迂闊に動くのは危険だ。」

 確かに。

「だったら、明日はイメチェンの日にしよう!」





 そして次の日。


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