金髪蒼眼の君
俺はあの女の子に言われるまま、メモの買い出しをしていた。あの女の子、身長の割にすっげぇ髪が長いから最初は少しビビったけど、綺麗な黒髪で、黒い瞳。この国にいる人達は、髪と瞳の色が「金、黒、茶、灰」の4種類に、別れている。だが、金は貴族が多く、残りの色は平民が多いという。でも、なんかあの女の子の髪の色は不思議な感じがした。黒だけど、黒じゃないような?光の当たり具合のせいだろうか?そういえば、思いつきでこっちの方まで来て、一応の周りの人のような格好をしたけど、顔の方まで気が回ってなかった。でも、不思議だ。
この帽子を付けてると、周りの大人な達は誰も″俺″ってことに気がついていない。
みんな知らないはずはないと思うが、、、
「すみません、この種全種類下さい。」
「あら、珍しいわね、男の子が野菜や果物の種を買うなんて。」
「あはは……」
だって、メモに書いてるから買わない訳にはいかないんだ。それにしても、メモの内容はバラバラ。
"野菜の種、果物の種、あるもの全種類。
小麦粉、牛乳、卵、お肉、ここまで来たら食料の買い出しか、って思うけど、スコップ、ロープ、チョークなど、食料ではないものも、結構書かれている。しかもこれを女の子1人だけに任すなんて、大変じゃないか?
親と一緒に来ればいいのに。
ーーーーーー。
「おっちゃん、これ一つくれ。」
「おお、ぼっちゃん、母ちゃんの買い出しかい?」
「いいや、、、まー、そんなとこ。」
あの子のこと、なんて説明したらいいか分からないから、そういう事にしておこう。
えーっと、これで、最後か、早く戻ろう。
それにしても、なんて人なの。男の人ってこんなものなのかしら。何十年も話してないと、分からないものね。
帽子だって、渡してしまったし、、、
あの帽子は被ると、別人に見えるっていう魔法をかけてあるし、気に入ってる帽子だったんだけど、、、
返すって言ってくれたけど、いいです、って言っちゃたし…、
「はぁ…………。、」
どうも怒りの感情に任せてしまうとダメね。
帽子を被ってないと、やっぱり不安になる。髪と瞳の色は変えているけど、どうしても気になってしまう。人の視線が。
私はまたうずくまった。ふと、彼の顔を思い出す。金髪蒼眼で、すごく綺麗な人だった。
行動と言動は気に食わないけど。
綺麗な金色の髪の毛。私もあんな綺麗な髪ならいいのになぁ。
「羨ましいなぁ。」
ポソッと呟く。
「何が羨ましいんだ?」
顔を上げると、またさっきのように彼の顔が目の前にあった。
「うわぁ!!!」
「っ!……このくだりさっきもやったろ?」
心臓がバクバクしてる。
「……ぁなたねぇ?!!」
「え?!今のは俺が悪いのか?」
「…………いいえ、そうですね、私が悪かったです。それより、買い物ありがとうございます。」
私は荷物を貰おうとすると、彼は荷物を上にあげる。
「……はい?」
「荷物、運ぶよ。こんな大荷物一人で運ぶの大変だろ?」
「……別に、大丈夫です。このくらい。」
「強がんなくていいって。」
「強がってなどいません。早く渡してください。……早く、戻らないと……」
ノーツに怒られる!!!!
「本当にありがとうございました!!!さよなら!!」
私は彼から荷物をぶんどって来た通路を走りながら戻った。
「えっ、ちょっ、おい!!」