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魔女の行く末は。  作者: 夜影
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太陽の魔女

私の好きな魔女をテーマとしたお話となっております。

「はぁ〜ぁ、疲れました……。」


春。魔女は一人、畑から野菜を取っていた。人間の都

市から遠く離れているため、食には少し困っていた。

たまにはお肉も食べたいし、牛乳とか、乳製品も食べ

たい。だがしかし、都市に行くなんてリスクが高すぎ

る。兵隊にでも見つかってしまったら即効捕まってし

まうだろう。まぁ、魔女なんだから魔法を使えばいい

んだけれども、それでも、なるべく行きたくない魔女

だった。なんせ、魔女だと言うことを知られてはいけ

ないし、人間が邪悪なものだという認識だからだ。


「こんくらいで疲れるってどんだけ体力ないんだよ。お前さんは。」


後ろから魔女の肩にやってくる。

そう、この子はカラスのノーツ。魔女の使い魔。最初は普通のカラスだったが、昔、死にそうになっていたところを助けて、喋れるようにしてあげた。そしたら懐かれた。


「おいおい、懐かれた、じゃねーぞ。妙な言い方するな。俺はお前さんがひとりぼっちだったから一緒にいてやってるんだ。」


「ちょっと、説明してる途中で口挟んでこないで下さいます?ていうか、ひとりぼっちだからって寂しくはないですよ!」


「へぇ〜?そうですか、じゃあ俺がどこか遠くに行ってもいいんだな?」


「え…………、」


急な問いに魔女は固まる。


「〜〜〜!!嘘だよ!どこも行かねーよ。ったく、真面目に捉えすぎなんだよ、お前さんは。」


「……そう、良かったです。ところで、お腹すいてます?」


「ん?あ、ああ。」


「今日は、久しぶりに都市に行きますよ。準備して下さい。」


「は?おいおい、急だな!?」


「あら、魔女はいつだって思いつきで行動しているの。覚えておきなさい。」


「はぁ〜ったく。」


こうして魔女は人間に見えるように、髪と瞳の色を黒に変え、服装もなるべく地味にして、帽子を深く被る。そして、家の中の壁に魔法陣を描き、都市のなるべく人が通らないようなところに繋ぐ。


「では、行きましょう。肩に乗りなさい。」


「仰せのままに。」


私とノーツは魔法陣の中へと入り込んだ。



通り抜けると、そこは陽の届かない路地裏の様だった。


「無事、着いたみたいですね。」


「そう、みたいだな。」


「じゃあ、私はとりあえず、食べ物を買ってくるから

貴方はそこら辺を散歩してきなさい。」


「俺が一緒じゃダメのか?」


「カラスが肩に乗ってたら気味悪がられるでしょう?人間のフリしないとダメなんだから、そこは我慢して。30分後にまたここに戻ってきて下さい。」


「はいはい、分かりましたよー、じゃあな、気をつけろよ。」


「ええ。」


ノーツを見送った後、私は大通りへと、足を進めた。建物ばかりだから、自分の住んでいる場所と異なりすぎていて、少し自分が浮いている気がする。ずっと家に引きこもっているし、ノーツ以外と喋らないし、会わないしで、人間を見るのも久しぶりだった。

ゆっくりと足を進めると、太陽の光が差してきた。みるみる辺りが明るくなり、目の前の光景に驚愕した。沢山の人、出店、音楽が鳴り響くこの大通りは、すごく賑わっていた。

目がチカチカする。ここは貴族たちは住んでいない地域だからまだ安全と言えるだろう。


私は勇気をだして足を進める。

一歩一歩進む度、緊張と不安が募っていく。やっぱり少し怖い。歳を取らないから、時間の感覚が人よりズレているため、今の時代はどんな人がいるのか分からない。あれは何年、ううん、何十年前だろうか、私が魔女狩りに襲われたのは……。

思い出すのも嫌なくらい、狂気に満ちていた、あの頃の魔女狩りの役人は。手に武器を持ち、それを私に突き刺す。


魔女は銀のナイフで死ぬ。が、それを知らない役人は、あらゆる武器を使って私たち魔女を襲うのだ。銃、剣、槍、斧。銀のナイフ以外を心臓に突きつけられても死なないけれど、痛みはあるのだ。血は流れ、泣き叫んでも終わらない地獄。魔女が何をしたというのか。人より力があるから?魔法が使えるから?自分達とは違う、異質な物を排除する。人間の嫌なところ。


「…………はぁ、」


少し気分が悪くなってきた、どうしようか。

ここまで来たなら食材は買いに行きたいけど…。少し端に寄って座っていようかな…。

私はあまり目立たないような場所にうずくまった。


「おい、お前、大丈夫か?」


しばらくうずくまっていると、声がした。

顔を上げると、そこには金髪蒼眼の美青年が目の前に

いた。


「うわぁ!!!」


「ビックリしたぁ!なんだよ、元気なのか?」


人間!!!!話しかけられるなんて思っていなかった。


「…………、」


「?どうなんだよ?」


声が出ない。怖い。


「…………ぁ、」


「?……もしかして、声出ないのか?」


こくりと私は頷く。


「そうか、驚かせて悪かったな、そりゃあ急に話しかけるのはビックリするよな。来いよ、お詫びに何か買ってやる。っとその前に、」


美青年は私の帽子をとる。


「!?!?」


いきなり帽子を取るなんて!!なんて非常識なの!


「……へぇ〜、可愛い顔してんじゃん?」


「…………あ、」


「あ?」


「……ぁなたねぇ?!!いきなり人の帽子を取るなんて失礼です!!返してください!」


「喋れるようになったか、良かったじゃねぇか。」


「そういう問題ではありません!早く!」



「帽子被る必要なくねぇ?可愛い顔してるのに、隠してちゃ持ったいねぇだろ?」


なんとも純粋な眼差しでこちらを見る美青年に悪気は無さそうだ。


「〜〜〜!!分かりました!その帽子は差し上げます!では、さようなら。」


私はくるりと逆方向を向き、歩き出す。


「え!?ちょ、ちょっと、待ってよ!」


「ついてこないでください。私は急いでおりますので。」


「怒るなって!帽子は返すし!!」


「結構です。貴方がお使いになられては?金髪蒼眼の貴方は人より目立ちそうですし?私は食料を買いに来ただけなので。」


「ほんと、ごめんって!お詫びにその食料買ってあげるからさ!!許して!!」


私は足を止める。


「そうですか。それは有難いです。では、貴方が買ってきてください。買うものはこのメモに書いてありますので。」


「え!一緒に行こうよ!!せっかくだし!」


「…………。」


私は美青年を睨む。


「あー、分かったよ!ここで待っとけよな!!」


そう言って彼は私の帽子を被り、買い物に行った。


「……はぁ、」


深いため息がひとつ。溢れた。

少し彼に腹が立ってしまったとはいえ、結構話せていたから、自分でも驚きがすごかった。

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