伝説を看板にする女
世の中、時々信じられない事を言う人がいます。信じるか信じないかはあなた次第。でもまあ、そういう事にしておいた方が面白い事だってあります。
【伝説を看板にする女】
「そして私がこのときの少女の末裔なのですよ」
「ええっ? まさか。嘘でしょう。
だいたいそれは中国の宋の時代の話でしょ?
あなた、関係ないじゃない?」
会話するのは二人の女性。ここはお洒落な喫茶店。
「いやいや、宇宙は広くてね。どういう因果かこの人の
子孫の一人と結ばれたご先祖様がいらしたの。
縁は異なもの味なものってね」
「目茶苦茶怪しい話だわ」
語っているのはメイといい、金髪碧眼妙齢の
どこか気高い趣をその身に纏う五十歳。
相手はシルク。彼女も同じく金髪で
青みがかったシルバーの瞳輝く五十歳。
二人は会社の同僚で、休憩時間の真っ最中。
メイは、最近入社したばかりでシルクが色々と
案内がてらに連れ立って街を散策してたのだ。
「株式会社 HK(Horse Kick)」
それは恋愛相談所。二人の職場でもある。
相談するのは恋愛で、結婚相談はない。
曰くありげな会社名。あの有名な格言に
由来するのは明白だ。
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて云々。。
二人はオフィスに帰還する。受付女性が駆け寄った。
「お客様です、メイ先生」