表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/249

226.彼女とギルド


 トロールを倒して捕まった村人を救出したセイリアは、そのまま依頼を受注したギルドまで帰還した。

 森の外まで村人を送っていったため時間がかかったが……瞬間移動が使えるセイリアにとって移動時間はないも同じ。

 今朝に依頼を受注して、その日の夕刻にはギルドに帰ってくることができた。


「あ、セイリアさん! 大丈夫でしたか!?」


 セイリアがギルドの建物に入るや、顔見知りの受付嬢が走り寄ってきた。

 茶色の髪を後ろで結んだ小柄な女性。年齢はセイリアと同じくらいである。


「ただいま、ルーシャ! 見ての通り怪我はないわよ!」


「よかった……それで村人は? トロールに攫われた人達は無事だったのですか?」


 セイリアがトロールの集落に攻め入った理由は、ギルドから緊急で依頼が入ったからだ。

 森の近くにある村がトロールによって襲われ、村人が攫われてしまったので救援に行って欲しいという依頼である。

 依頼を受けてすぐに急行したセイリアであったが……トロールの集落に到着した時には、攫われた村人の半数が命を落としていた。


「半分も助けられなかった……だけど、生きている人は村に送り届けてきたよ」


「そうですか……」


 セイリアが表情を暗くして報告すると、受付嬢のルーシャもまた沈痛な面持ちになった。


「まさかあんな場所にトロールが出るなんて……最近、増えていますよね。魔物の被害が」


 ルーシャの言うとおり、最近になって魔物の出現が増大していた。

 元々、魔物が多く生息している地域でも明らかに魔物が強化されたという報告が上がっており、冒険者のみならず騎士団までもが討伐に駆り出されている。


「魔物の大量発生……あの地震、ううん、赤い月の夜からだね」


 セイリアが唇を噛む。

 聖剣保持者であるセイリアは魔物増加の原因を知っていた。

 『魔女の復活祀』と呼ばれる赤い月の夜を経て、『破滅の六魔女』が復活したからである。


(ネイミリアは良い子だったけど……他の魔女はやっぱり人間の敵なんだよね。あの地震だって魔女の一人が起こしたって話だし、やっぱり見つけたら戦わなくちゃ……!)


 セイリアは心中で覚悟を固める。

 ネイミリアという魔女と和解して友人になったが……他の魔女とはそうもいかないだろう。

 仮に帝国軍や王宮と距離を置いたとしても、いずれは聖剣保持者としての義務を果たす時がやってくる。

 破滅の魔女を倒して人類を救う。セイリアはそのためにクラウソラスに選ばれたのだから。


「あ……そういえば、セイリアさん。留守中にセイリアさんに会いたいって人がギルドに来たんですよ。王宮から来たらしくて……」


「また騎士団の人達かな? まったく、本当にしつこいんだから!」


 父である皇帝ザーカリウス・ヴァン・アルスラインからは放任されているものの、セイリアのことを王宮に連れ戻そうとしている人間は多かった。

 瞬間移動を使ってあちこちのギルドを渡り歩いて撒いてはいるが……たまに勘の良い者が居場所を嗅ぎつけてギルドや宿に押しかけてくるのだ。


(この町からも移動しなくちゃいけないかな? 食べ物も美味しくて気に入ってたんだけど)


 セイリアはそっと溜息をつく。

 王宮からの使いと顔を合わせれば面倒になるだろう。今日はもう夕暮れだし、明日には旅支度を整えて町を出ようと決意した。


(泊まっている宿は抑えられているかもしれないし、今晩はルーシャの家に泊まらせてもらおうかな? もう夕方だし、ギルドにまではこないよね?)


 そんなふうに思案するセイリアであったが……彼女の予想に反して、背後でギルドの門が開かれた。

 入ってきたのは帝国騎士団の鎧に身を包んだ兵士達。そして、エメラルド色の髪と蒼穹の瞳を持った一人の少女である。


「おお! 見つけたぞ、姉上よ!」


「ええっ!? 貴女は……」


「まったく……こんな辺境の町で冒険者活動とは恐れ入る。帝国中を探し回ることになるかと思いましたぞ!」


 現れたのは見知った相手。セイリアの腹違いの妹。

 皇帝ザーカリウスとエルフの女性の間に生まれた混血児。

 帝国第五皇女――アルクス・ラインマキナ=アマルトゥ・アルスラインだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ版も連載中!
i000000

書籍第2巻 好評発売中!
↓画像をクリックしてみてください↓
i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ