表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/249

10.身勝手な裏切り

 レイドールの拳がテーブルに叩きつけられる。木製の簡素なテーブルが真ん中から真っ二つに割れた。


「ふざけるなよ! 人を虚仮こけにするのもいい加減にしやがれ!」


 それは魂の奥底から放たれた怒号であった。

 レイドールが辺境へと追放されたのは、そもそも聖剣ダーインスレイヴの保持者として選ばれたことが原因である。

 それなのに、その追放した側の人間が聖剣の力が必要になったから帰って来いとのたまっている。その勝手な言い分は、とてもではないが感情を抑えられるものではなかった。


「人の人生を何だと思っていやがる! 俺はお前たちの都合のいい玩具じゃねえんだよ!」


「殿下! どうか落ち着いてください!」


 剣の柄に手を伸ばすレイドールに、メルティナの護衛達が慌てて止めに入る。

 しかし、右からレイドールを抑えようと前に出てきた騎士へと、目にもとまらぬ速さで放たれた抜き手が喉に突き刺さる。


「ぐげっ!?」


「黙っていろ! 斬り殺されたいのか!」


「ひっ……!」


 メルティナの護衛をしている二人の騎士。その一方が喉を強打されて仰向けに倒れる。もう一方は剥き出しの激しい殺意をぶつけられて、凍りついたように立ちすくんだ。

 護衛の騎士は訓練を積んでおり、決して弱くはない。それでも、開拓都市でさんざん実戦経験を積んだ今のレイドールであれば素手でほふれる程度の腕でしかない。

 ましてや、貴族令嬢であるメルティナであればなおさらである。片手で細い首を絞めて、ニワトリのように命を奪い取ることができるだろう。

 レイドールは護衛の二人が黙ったのを確認して、右手で剣の柄を握り締める。


「メルティナ……心して答えろ。お前は俺に戦えというのか? 俺を王都から追い出したお前達のために、命懸けで戦えというのか?」


「殿下……どうか心をお鎮めくださいませ。これは貴方のためでもあるのですから」


「ほう……説明してみやがれ。俺が自分を抑えていられるうちにな」


 立ち上がったレイドールに睥睨へいげいされていながら、メルティナの瞳は瞬き一つすることなく怒れる幼馴染みを見上げる。

 その決意に引き締められた唇を見て、レイドールの頭がわずかに冷える。


「国王陛下は、レイドール様が聖剣保持者として戦場に立つのであればどのような願いでも叶えるとおっしゃっています。王族としての地位を取り戻すことはもちろん、このような辺境ではないもっと恵まれた領地を得ることも可能でしょう」


「はっ、そんなことかよ!」


 五年前であれば一も二もなく食いついた提案であるが、残念ながら今のレイドールにとってはなんら魅力のない話である。

 すでにレイドールは辺境の開拓都市を新たな故郷として定めており、今さら王都に帰りたいなどとは思っていなかった。ましてや、他の領地に移されるなどもっての外である。


「言いたいことがそれだけならお帰り願いたいものだな。人の領地をこのような辺境呼ばわりとは言ってくれやがる」


「そういうつもりではなかったのですが……本当に王都に戻ってはいただけませんか?」


「くどいぞ、俺の理性があるうちにここから消えろ!」


「そうですか……それでは仕方がありません」


 メルティナが目を伏せて、諦めたように溜息をつく。

 レイドールは鼻を鳴らして退出を促すために扉を開けようとするが、メルティナがどこからか取り出した宝石のようなものを見て目を剥いた。


「お前っ……!」


「このようなことはしたくありませんが……殿下のことを拘束させていただきます」


「くっ……!」


 メルティナが握り締めているのは赤い宝珠。それはあらかじめ魔法を閉じ込めて、時間差で発動することができるマジックアイテムであった。


 メルティナの手の中で赤い宝珠が粉々に砕け散る。

 宝石の中から巣穴を突かれた蛇のように鎖が飛び出してきて、レイドールの身体へ巻きついて縛り上げた。


以下の作品を投稿しています。こちらもどうぞよろしくお願いします。

・毒の王

https://ncode.syosetu.com/n2436hp/


・異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?

https://ncode.syosetu.com/n4591hn/


・悪逆覇道のブレイブソウル

https://ncode.syosetu.com/n8818gp/


・失格王子の後宮征服記 魔力無しの王子は後宮の妃を味方にして玉座を奪う

https://ncode.syosetu.com/n5257hk/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ版も連載中!
i000000

書籍第2巻 好評発売中!
↓画像をクリックしてみてください↓
i000000
― 新着の感想 ―
[一言] タイトルが身勝手な裏切りとかでメルティナが主人公を捨てたのかでもそもそもメルティナが国家とかへの忠誠とかだろで国益の増進のためにで裏切りとかではだろで国家のためで私利私欲とかではだし、少なく…
[気になる点] どんな願いでも?王の首級でも?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ