私とモンスターと吸血鬼⑤
店員の出血量が増え、アスファルトの地面がどんどん赤くなるにつれ、殺人幇助で逮捕されるかもしれないという恐怖に、どんどん青くなる私の顔色。
すると、そんな私をじっと見つめていた青年が徐に口を開いた。
「先程から、赤くなったり青くなったり……まるで、あの道端に飾られている光のオブジェの様だな」
と、道路で点滅している信号を指差しながら、のほほんとのたまう青年。
その時私は頭の中で、今日何度目かの――自分がブチ切れる音がした。
「誰が信号機よー!!」
お洒落な街銀座の中心で本日二度目の怒りを叫ぶ私。けれど、儚くも別の雄叫びによってかき消される。
「アアアァァァァァ……!!」
空気を震わせ、華やぐ銀座に響き渡る大きな叫び――それは間違いなく、爪で串刺しにされた店員の口から発されていた。
「何、今の声? まるで――」
獣みたいな叫び声。
そう告げようとした私の目の前で、店員の女の顔に、体に、赤い縦の線が真っ直ぐに走っていく。一番下まで線が引かれたかと思うと、店員の顔の真ん中――丁度鼻の辺りに引かれた線から、細くしわくちゃな数本の指が伸びてきたではないか。