私とモンスターと吸血鬼③
「ってこれ私のクリスマスプレゼントじゃない! しかも壊れちゃってるし!」
元クリスマスプレゼントの変わり果てた姿に愕然とする私。
すると、それを半壊させた張本人が――さらりと長めの髪をかきあげながら呟いた。
「む? これは、投げる為の物ではなかったのか? 私はてっきり、そういう使い方のものかと」
「そんな訳あるかーっ! 見たら分かるでしょ、あれは置物! オブジェよ、オブジェ!」
「……ふむ、そうか。 オブジェだったのか。すまない」
純粋に頭を下げるイケメン吸血鬼と、怒りに吠えまくる女子高生(私だが)。
そんなシュールな光景の中、先程壁に叩き込まれた店員が音もなく身を起こし、私達の背後から忍び寄ってくる。
気配に気が付いた私が振り返った瞬間、風を裂きながら振り下ろされる店員の両腕。
ご丁寧なことに――いつ取り出したのかは分からないが、両手には鋭く尖ったナイフが握られていた。
(やばい、終わった……!)
頭を抱え、強くぎゅっと目を閉じる私。
しかし、直ぐ耳元でヒュッという風を切る様な音が響くと同時に。
「ギャッ!」
店員の短い悲鳴が聞こえてくる。
(えっ……? 今の、一体どういうこと……?)
疑問に思った私が、恐る恐る目を開けてみると――想像を絶する光景が広がっていた。
あの吸血鬼の青年が、私の背後から鋭い爪を伸ばし、店員の肩や腹を串刺しにしていたのだ。
「怪我はないか? レディ」