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富士急
山岡は、同じ個室寝台の別室で
寛いでいた。
愛紗と出会ったので、思い出す。
バスドライバーだった事。
「富士急はいい会社だったな」
どちらかと言えば、業界では大手な方だし
運輸大臣が、経営陣の親類から出ていたりする。
しかし、同族経営的な事は運転手には
及ばず
あくまで安全第一。
勤務も概ね13時間位で、そんなに厳しくない。
ただ、山岳路線や辺地が多いので
腕の悪いドライバーは無理だし、人間性を
求められる。
その代わりに、認められると
仮に辞めてもいつでも戻ってこれるような
暖かい会社。
山岡の所にも、時々電話が来る。
「戻っておいで」
温かさに落涙する事もある。
母を介護している山岡に
仕事を工夫してくれたり。
普通は、A勤務の後中番なのに
それを外してくれたり。
クレーマー対応でも、むやみに
運転手を攻撃しない。
公平なところは、さすが大手で
温かさは、他のバス会社大手には
ない。
他は、大体どこでも
決定した仕事は絶対で、変えるなんて事は
しない。
その代わりにコストが掛かるのだけど。
そのコストが運賃になっていたりするのだろう。
富士急の車両は、比較的新しく
整備もきちんとしていて、綺麗だ。
別の会社に移った時、あまりに違うので
驚いた山岡だった(そこも大手である)。




