ようやく到着
素直に、トイレに行って来て戻ると
斉藤が、コーラを飲んでいた。
事務所の運転課に入って、談笑。
もう、こちらでも顔なじみらしい。
斉藤は戻ってきて「さっきの事故ね、車内だけど
クレーマーじゃないらしい、良かった。」
今はそんな時代になっているらしい。
当たり屋が流行っているのは、地震とかで
失業した人が困っている人が増えたから、と言うのだけど
それもヘンな話で
日本は、そういう人には給付金が出るし
生活保護も得られる。
仕事を探しに行けば、職業安定所で
お金を貸してももらえるし
失業保険は加算される。
その間に探せばいいのだけれども。
実際は、無駄遣いが癖になっている人が多い、と
言う事らしい。
まあ、消費を煽る社会のせいなんだけど。
バスなんかの運転手とは無縁の世界で
贅沢をしようにも、使う時間もないし
テレビ見る暇もない。
消費しようにも、モノがあるのも知らないと言う
そんな世界だ。
「うん、狭い道を走っていて、飛び出してきた車が居て
ブレーキを踏んだら、立っているお客がよろけた、そんな程度。
お客は幸い、サラリーマンでまともな会社員だから、大事にはならないとか」
と、斉藤。
「そうですか」愛紗は、度重なる現実に、打ちのめされる感じ。
がーん、と言う効果音が聞こえるような。
斉藤は「まあ、それでも運転手は、ヘタをすると人身事故扱いで
免許が減点かな。医療費高いと自腹は無理だから」




