傷みものチョコレート
夢の中みたいな、絶妙な現実の渦の中
あの時もらったものは、まだここにあるのです
青空のその奥に潜んでいる雨雲
あの気持ちも、痛みも傷も、ぜんぶ隠してあるのです
見えないだけ、見せないだけ
ズボンのポッケにしまいこんで忘れていたのね
いつかもらったチョコレート、忘れていたの?
あわてて冷やして、知らないふりしたでしょ
もう遅いのよ、味も形も、もう帰らないのよ
缶ビール片手に夜の町をあるいてみても
あなたの姿は見えないし、ビールもなんだか美味しくない
何もしたくない、何もしない、ただ右足は進むの
景色もあたまもぐるぐる回る、脳内現在混乱中
答えはいつだってひとつじゃない
それがいつも正解とは限らない
そんなのは生きてれば気付くこと
誰だっていつかは気がつくこと
隣に見たあなたはいつだって
わたしの様子を横目で見ていたのね
視線の先にあった傷みものチョコレート
ビールはまだまだまずかった