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第7話 これも日常

結果はロンダの圧勝だった。ビリはバース。まぁ、そうなるわなー。だってロンダは美少女ちゃんだもんなー。と思いながら脳内反省会をする。実際、訪問販売は慣れてない分むずかしかった。


商品である花も珍しいものではないため、セールストークも切れが悪かった。結局いつもの歩き売りに切り替え、心優しい人たちの同情心だかなんだかに訴えながら売り切った。


バースも同じような感じで売っていたようなので、俺達二人の勝敗はもう運みたいなもんだ。前世の記憶があったって所詮こんなものかと落ちこんだが、子供なりの切り替えの良さも発動し、まぁいいやと即時復活。


そんなこんなで日々をなんとなく過ごしていると、ある日院長先生から重大発表があった。


「皆さん。ロンダが院を卒業することになりました」


えー!っとざわつく子供たち。ちょっとしたアイドル的存在のロンダがいなくなると知った年少の子供たちなんかは泣き出す始末だ。


「はい。静かにー。ロンダは大きなお店を持つ商人の方の養子になることに決まりました。とてもいい方で、私もよく知っている人です。将来はロンダにお店を任せたいとも話しておられました。とても良い話なので、ロンダとも何回も相談して決めたんですよ。皆さんもロンダを気持ちよく送り出してあげましょうね」


急にロンダがいなくなると思うとちょっとうるっときたが、なんとか我慢した。バースを見ると茫然自失といった感じで、今にも泣きそうだ。


この院で10歳はキーン、ロンダ、バースだけなので3人でよく一緒に行動していた。それだけにロンダがいなくなるのはひときわ辛い。


相談くらいして欲しかったわなんて言ってはいけない。養子関係の話は他言無用という暗黙の謎ルールが院にはあるから、ロンダも一人で悩んだ末に決断したんだろう。


これまでも何度が養子にと望まれて院を出ていった子供はいたが、今回は特にやばい。ロンダに視線を移すとロンダもこっちを見てうるうるしている。


まったく嫌になっちゃうなぁ。ロンダとはもう二度と会えないんだろうなぁ。と独り言をつぶやく。養子になる子供は遠方の町に移ることが多い。


出身孤児院のある町やその近郊の町に養子に出されることはまずないと言っていい。その方が誰にとっても色々と都合がいいんだろうね。


あれよあれよという間に出発当日になり。ロンダは行ってしまった。バースは泣きながら見送っていた。他の子供達もみんな泣いていた。俺は元気でなと言葉をかけて無理して笑顔をつくった。


「大切な家族がまた一人・・・か」


なんでこの世界に転生したんだろ?なんて急に考えちゃったりなんかしちゃって。お互い頑張るしかないのよね、ロンダちゃん。



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