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第56話 ひたすら逃げろ

移動4日目。マルフメン王国との国境地点まできた。すでに山エリアに入っている。さすがに道をはずしての山越えは厳しいので、整備された道に復帰してアタックをかけた。


山の勾配はそれほどきつくないが直線で最短距離を移動なんて出来るわけではないので国境まで結構な時間がかかった。魔物はすでに見知ったものばかりでさして脅威はなし。いや恐いけどね。


できる限り戦闘を避けつつどうしてもという場合のみ戦ったが、「自宅」を使わなくても対処できるレベルの小物ばかりだったので助かった。山での修行がなきゃやばかったな。芸は身を助けるじゃないけど、何事も経験が大事だね。


そして俺のナイフは今日もキレてるぜ!ちゃんとお手入れしてやろう。ピカピカに光った鋭いナイフちゃん。お前の輝きは抜群だぜ。これからもよろしくね。途中薬草や食べられる木の実などを採取しながら先を目指す。


そろそろ日も傾き始めたのでいよいよ国境越えを開始する。そう、密入国だ!流民たる俺は正規の出入国なんてできるわけないからな!一度手を染めたら用意に抜け出すことなど出来ない。それが自分ルールという身勝手の典型。自分の命を守るためには外国へ逃げる必要があるから密入国もやって当然。これこそ俺の採用した自分ルールだ。今後も随時ルール改定がなされることだろう。


さて山道からは外れて軽い崖のような場所を移動。山は木がほとんどなく隠れる場所がないから昼間の国境越えは厳しかった。国境監視の騎士連中に見つかる可能性が高そうなんだよね。見通しいい分、監視所の数が少ないってところが救い。


夜間は魔物の動きが把握しにくいので動きたくはないが仕方ない。いよいよ辺りは暗くなってきた。山なので暗くなり始めるとあっという間だ。一気に暗闇の世界へ。月明かりを頼りに突き進むとしよう。転んだだけでも怪我しそうだなぁ。


「おい。押すなよ?押すなよ?フリじゃないからな?押すな・・・よ?押すなよ!」


あまりの心寂しさに一人で押すなよネタをやってしまう。余裕があるじゃないかキーン?とても小汚い逃亡者には見えないぜ。多分。


ひーひー言いながら、危ないところはゆっくり攻略。なんとか国境を越えたと思われる。マルフメン王国に密入国完了。よし今日はここまでにしよう。ちょっと寒いな。寝るなよ?寝たら死ぬぞ!のくだりはもっと寂しくなりそうだからやめた。「自宅」オープン!





次の日からまた移動開始。とくに事件も起きず無事に最寄の町まで降りることができた。まぁ途中道に迷ったりしてから3日くらいかかっちゃったけどね。こんなもん屁でもないわ!毛皮のマント大活躍です。あったかいよぉ。買っておいてよかったぜ。払った分は働いてもらうぞ?


町に入って食料を買って周辺の町のことを聞く。マルフメン王国はそのほとんどが山岳地帯だが、中央部にはひときわ高い山がそびえている。ニベレビア山というらしいその山は周囲の山と連なって巨大な山脈を形作っている。


ニベレビア山には神殿群があるらしい。ロマンのある響きだ。見てみたい誘惑にかられる。しかしこの山にチャレンジするにはかなりの日数が必要となるだろう。今は先を急ぐためパスだ。いつかまた来ることにしよう。黒い感じのおっさんがまた来たらショック死しちゃうもんな。


ここは当初の予定通り南下してさらに隣国のハンブルン王国に移動することを優先しよう。山を避けて街道を進むとアロンソ国境と平行するような移動になるがこれは仕方ない。スピードを優先させよう。


南西に流れてから適当なところでまっすぐ南に下ろう。鍛錬も兼ねて徒歩でいく。お金に余裕もないし乗り合い馬車は誰かに顔を憶えられてしまいそうだ。手がかりはなるべく残したく。


しかし前回とは違って奴等は俺がどの方向に逃げたかさえ分かっていないはずだ。俺を見つけるのはもうほぼ無理だと思う。あの時山で見つかってしまったのだってありえないくらいの確率だったはず。それとも何か方法があるのか?うーん。


ところで銀貨がいっこうにミスリル化しない。これはもうあれだ、ダメぽだな。「自宅」保管の食料や水、その他の雑貨だって何の変化もない。このまま放置しておくけどもう期待できなそう。一体あのミスリル化銀貨ってなんだったのさ。


まったくもってよくわからんな。「自宅」は相変わらず謎仕様。俺をからかって楽しんでるのか?神様的な何かさんよぉ。助かってるから不満はないけどね。文句言ってさーせんした。




町を出発して3日かかって街道の大きな分岐地点に着いた。聞いた話ではここから西へ行くとコラリオ方面。南東へ行くとハンブルン王国。街道はコラリオ方面と東に抜ける方面しかなく、ハンブルン方面の道はかなり細く怪しい。


どこまでちゃんと続いているのかわからないがとりあえずこの怪しく頼りない道を使うか。ハンブルンへだってどうせ密入国するんだから、遠回りしてまで大きな道を使う必要もない。キミに決めた!


国境を越える前にまた装備の点検もしておきたいな。魔物はほとんど「自宅」でやり過ごしていたけど、そろそろお金になりそうなものを狩りたいところでもある。何か適当なのがいたらハントしよう。


細道に入ってからまるまる1日かけて国境付近に到着。オッケーこれでハンブルン王国だぜ!と思ったのも束の間、俺の目の前にはかなり大きい川が流れている。


流れはそれほど速くはないけど、川幅が150メートルはありそうだ。おい、聞いてないよー。どうやって渡ろうか?僕お船とか持ってないよ?泳げってか?そりゃないぜオイ。


ここ国境地帯だぜ?そんな派手に水泳してるヤツがいたらマックス目立つだろ?警備兵に矢で射られちゃうよ?いい的だぜ?そんな狩猟の獲物にはなりたくない。


ならば夜にでもひっそりとちゃぷちゃぷ進むか?問題は川に棲む魔物。水のなかだと「自宅」に逃げ込むのにも時間がかかる。ワニ的なものでもいたらジ・エンドだな。


自然はいつだって人間に厳しい。こんなところで足止めを食うなんてな。しばらく様子を見てみるか。川を渡る動物なり魔物でもいればいいんだけど。


30分ほど観察してみたが変化なし。クソ。この川は事実上の国境線。マルフメン王国から南へ抜けるには絶対にこれを渡らなければならない。橋なんて探してもどうせ使わせちゃもらえない。小船でもないかな?ちょっとだけ貸して欲しい。まぁ国境の川にそんなもんあるわけないか。


川上、川下どこかで川幅が狭まってるところないかな?見える範囲では・・・なし。仕方ない。そこらで魔物を捕獲して川へ落として反応をみよう。道を戻って魔物を探し、「自宅」でコボルトを捕まえてから川の真ん中付近へこそっと落とす。


コボルトは特に怪我もなく岸に戻ってきた。あの様子なら魔物の心配はなさそうだ。よしいい仕事をしたなコボルト君。キミはこのまま見逃してやろう。俺は服も含めて荷物を「自宅」にしまって川を泳いで渡った。全裸だよ?体がひえるぅ。


とにかくこれでようやくハンブルン王国だ。アロンソ王国とは国境を接していない国。これで身の危険はかなり遠ざかったかな?うん。そうだと信じたい。そろそろ一度どこかで腰据えてお金稼ぎをしたい。


移動を繰り返すにせよ、拠点を作るにしても頼れるのはゼニ。お金があれば大抵のことはできる。ハンブルン王国についてもあまり知識がないからまずはどこかの町で情報収集からだな。狩りにぴったりの場所を探そう。今俺に出来るのはそれくらいだもんね。守銭奴キーン、いま行きます!


服を着てまた移動開始。川沿いを歩いて街道っぽいものを見つけそれを辿って国境最寄の町に到着。見つけはしたがその町には寄らず街道をとりあえず東に進んだ。一応まだ追手がこわい。密入国者でもあるしね。


そこから1日歩いたところで小さな町に到着。ひとまずここで食べ物を補給しよう。怪しくはなるが顔はまだ見せたくない。フードを被って町に入る。


長かった逃避行も少しだけお休みできるかな?俺は町の食堂に入って大きく息を吐いた。人生まだまだ長いんだよなぁ。こんなんで大丈夫かしら?


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