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第37話 ゴチになります

あと2週間もすればいよいよ年が開ける。そんな年末のいつもと変わらない午後に冒険者のドミニクさんは現れた。


公園に向かおうとする俺を待ち構えて話しかけてきたのだ。さすがにちょっと警戒しちゃうよね?一回話しただけで、まだなんとも言えないけど、この人は結構話のわかる人だったはず。とりあえず話を聞いてみましょう。


「よう。キーン。これから時間あるか?あるならちょっと付き合えよ。この前約束した飯にでもいこう」


「お久しぶりですドミニクさん。時間ならありますよ。ご飯の約束・・・ホントに来たんですね。わざわざすみません。どこかいい場所知ってますか?」


「あぁ、ちょうどいい食堂がある。ゆっくりしても文句言われないところだ。とりあずそこに行こう」


「はい。一応念のために聞いておきますが、今日はドミニクさん一人ですよね?」


あの怒りっぽいエルフ女や偉そうな精霊野郎なんかが一緒ではとてもじゃないがお食事しましょうなんて気分にならないからな。折角のメシがまずくなるわ。


「もちろん今日は俺一人だ。この前はツレが悪かったな。キーンと別れた後も色々大変だったんだ」


それはそれはと適当に返事して、適当な雑談をしている間にドミニクさんお勧めの食堂に到着。夕食にはまだ早い時間なので飲み物だけ頼み、食事はあとですることになった。


「さっきも言ったが、キーンと別れた後いろいろ大変だったんだ。ツレは皆キーンが怪しすぎると言ってな。俺もそれには同意見だったが冒険者ギルドへの報告は止めておいたよ。やっぱりこっちまで面倒事に巻き込まれるのは嫌だったんでな」


ほー。そうですか。俺が怪しいと。その気持ちは十二分に分かりますよ。こんなひょろいガキが魔物を、しかもゴブリンなんていう厄介な魔物を穴に埋めてたんだ。これで変だと感じないヤツがいたら、よっぽどのアホだろう。


だから今更ドミニクさんのパーティーメンバー全員に怪しいと思われたり、何かよからぬことでもやっているんじゃないかと疑われたところで、はっきり言ってどうでもいい。


大事なのはギルドへの報告の部分。冒険者ギルドなんか基本、我関せずの組織だろうけど、余計な情報を流されるのはやっぱりマイナスだもんね。ナイス対応です!ドミニクの兄貴!


「ドミニクさんが心配するようなことは何もありませんよ。世の中広いですからね。11歳の子供が魔法なしでゴブリンを倒すなんてこともあるでしょう。ありふれた話とは言いませんが」


「それはそうだな。・・・精霊族の男をおぼえているだろう?あいつはランカムといって、俺達パーティーのリーダーをしていてな、あの時は相当動揺していが後になって俺に言ってきたよ。俺はあの時恐怖を感じた、と」


「そんなことを言われても僕からはなんとも返事のしようがありませんね」


そんな感情の話されてもねぇ。俺の知ったことではないな。勝手に言わせておけばオッケー。


「わかってる。だがあいつはあれでリーダーとして優秀なんだ。あんなに動揺したランカムを見たことがない。年齢だって100は超えている。経験だって豊富だ。それだけに俺もキーンのことがさらに気になってな。少しでも何かがわかればと思っているんだがね」


精霊野郎の優秀さはともかく、100歳を超えているってのにびっくりだわ。やっぱり長命の種族の年齢って見た目じゃいまいち判断できないのね。


「ドミニクさんの期待にはこたえられそうにありませんよ。さっきも言った通りです。ゴブリンを殺せる子供だって探せばどこかにいるでしょうってね。ただ余計なところで余計な話をしないでいてくれた分はお礼をしなくちゃとは思ってます。こうしてご飯にまで誘って貰いましたしね。一つ面白い話をしてみましょうか?」


どうです?聞きますか?と言うと、聞く聞くと返事が返ってきた。俺はミスリルで作られた銀貨の話をした。昨日詰所に届けられ、今頃は王様あたりに報告が届いているかもしれませんねと。


「とんでもない話だな、それは。キーンはそれをどこで?」


「どこでもないですよ。それを拾って届けたのが僕なので知っているだけです」


ドミニクさんは眉間に皺をよせて何か考え始めてしまった。大方俺のことを気味悪いガキだとか考えているんだろうな。俺もその意見に賛成ですよ。俺だったらこんな子供には絶対関わり合いたくないもん。だって話してたらムカムカするに決まってるもん。


「何が起こるか想像するのも難しいな。謎が多すぎる。キーンはどう思う?」


「さぁ。僕もよくわかりません。単純にコインの偽造なのかな?とは思いましたけどね。でも考えようによっては戦争でも起きますかね?なにせミスリル銀貨ですよ?まぁ形は銀貨そのものでしたけど・・・。とにかく僕はこわかったので拾ってすぐ届けましたが、今考えるとそれはそれでこわいですよね。届けないで、っていうか拾わないで捨ててきた方がよかったのかな?」


うーん。と唸ってドミニクさんはまた考え始めてしまった。まあ、お礼としては十分ですよね?と銀貨の話はそこでやめ、ドミニクさんについての話を聞くことした。冒険者について知るいい機会だ。


ドミニクさんの所属するパーティーはオオトリという名前で世界中を旅しながら生活しているらしい。一つの国に大体1年ほど留まって、狩りや採集でお金を稼ぎつつ戦闘の腕も磨いている。


1年経ってその国の雰囲気を味わったらまた次の国へ。ドミニクさん自身は5年ほど前にオオトリに加入し、ここアロンソ王国以外で4つの国を見てきたとのことだ。基本的には旅をしながら世界中を見て楽しむのが主目的のパーティーらしい。


その後食事をしながらドミニクさんの故郷の話や、冒険者としての話、俺にとってはどうでもいいパーティーメンバーについての話を聞いた。


他国の話や旅の話を聞いているうちに俺も世界旅行とかしてみたいと、興奮しちゃったよ。うらやましいなぁ。けど今の俺の力ではとても旅なんてできないもんなぁ。金も力も時間も全然足りませーん。


「キーン。今日は貴重な情報をありがとな。状況次第ではこの国からすぐに脱出なんてこともあるかもしれない。そうなるともう会えないかもしれないが・・・元気でやれよ。まぁ何も起こらないかもしれないが」


食事が終わってお店を出て別れる間際、ドミニクさんはそんなことを言って帰っていった。他にも何やら言いたそうな顔していたけど、俺から水を向けるようなことはせず、結局そのまま解散となった。


ドミニクさんは何を言いたかったのかな?俺の身を心配でもしてくれたのかな?厄介な事件に首を突っ込んでいる子供の心配か・・・まぁ結局何も言われなかったから知る由もないんだけど。


しかし、冒険者の話しはとても参考になったよ。ゴロツキ集団と言う認識も吹っ飛んだわ。冒険者としての実力と人間性は比例するってことか?いや違うな。ドミニクさんはいい人だったが、他の三人はそうでもねぇし。


さて、この国から脱出か。やはりその辺りまで考えるよな。誰だってゴタゴタに巻き込まれたくないもんな。俺が投じたコインが起こす波紋・・・さてどうなることやら。


何はともあれドミニクの兄貴!ゴチでした!


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