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第19話 さよなら孤児院

これから再び王都へ向かわなければならない。なんて面倒くさいんだ。あれ?なんか気づいてはいけないことに気づいてしまったかもしれない。もしかしてあれだよね?のんびりスローライフ的なものって今までの生活のことをいうんじゃね?


たとえそれが成人までの限定的なものだとしても、今それを失うよりはいいよな。将来のスローライフのためにいま苦労するか、今が楽しいならそれでいいじゃん的な考えで将来苦労するか。


いま苦労して努力したからって将来間違いなく成功すると決まっているわけではないし、逆もまた然りというのは分かる。そうなってくるあとはおのれの決断ということになるわけだが・・・。


健康優良児たるキーン君は頭の中身が普通のおっさんで出来ているためか、面倒なことは可能な限りやりたくない。普通のおっさんなら将来に向けた努力がいかに大切か、なんてことは分かっていそうなものだが、分かっていてもやりたくないのだ。


やりたくないなんて言っているが、それはつまり出来ないということ。努力する能力がないとイコール。せっかく異世界に転生したんだから成り上がりも夢じゃないぜ!どれだけアドバンテージあると思ってんの?なんて話は聞きたくない。


異世界を楽しみたいというのは間違いないし、そのうち世界旅行とか出来たらいいなとは思うけど、成り上がりとか、ハーレム的なものはどうでもいい。


はぁ。努力する能力がないとかいったけど、これからは学校に通うのだから勉強ばかりの生活になりそうだ。相当な努力も必要だろう。まあ仕方ない。ここで学校の話を断ったら町長様に殺されるだろうしな。


お貴族様のご子息様やら大商人様のご令嬢様なんて連中と楽しい学校生活をおくれるようにイメージトレーニングでもしておこう。


「さすがは○○様!わたくしなどは言われてはじめて気がつきました!」


「○○様のお心遣い、わたくしなどにはもったいのうございます!」


ちょっと、大げさかな?


「○○様。いつもありがとうございます」


「○○様のお気持ちも知らず、申し訳ございませんでした」


言葉の距離感としてはこれぐらいか?できれば一切関わり合いたくないんだけどね。そのあたりは実際学校が始まってからでないとわからないからなぁ。ジャンピング土下座の練習も一応しておくか。これは間違いなく必要になる。


「何やってんだ?それ」


なんだバースじゃん。いつからいたんだ?


「これはジャンピング土下座の練習だよ。貴族様なんかにいちゃもんつけられた時にこの技を使って許してもらうんだ」


「キーン。相変わらず変なやつだなお前は。じゃんぴんぐ・・なんだっけ?」


「ジャンピング土下座だよ。これは他人事じゃない。バースもおぼえておいたほうがいいよ。一緒に練習しよう!」


「おう。いいぜ!なんか楽しそうだな!」


体感で1時間ほど練習していると院長先生がやってきた。


「はぁ。あなた達は何をやっているんですか」


ジャンピング土下座を見てあきれているようだ。


「出発の時間ですよ。もうケビンさんも待っています」


おやもうそんな時間か。楽しくて夢中になって練習してしまった。いよいよ孤児院ともお別れか。次はいつ帰ってこれるかわからない。


昨日のうちに院長先生、孤児院のみんなとは別れをすませている。成人するまで籍はこの孤児院にあるのだから、また適当に帰ってくるよと皆には伝えた。みんなと会えなくなるのは悲しいけど、湿っぽいのはいやだもんね。


「じゃあ、いってきまーす」


手を振りながら、何度か振り返った。目に涙があふれそうになるがなんとか我慢したよ。


大金持ちに成り上がってハーレム作って、また絶対帰ってくるからな!

ってオイ!さっきと言ってること違うじゃねぇか!



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