レズパコ2 なまけものさんごっこ
レズパコお馬さんごっこ
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のつづきです。
わたしの普段の行いが良かったせいか、お父さんの誤解はすぐに解くことができた。
下手したら警察沙汰ですよ……。あぶねー。
「……で、なんでまた『お馬さんごっこ』なのかな?」
「たのしーから」
ぱん、ぱん、ぱん
わたしは「される」側だった。
「する」側は絵面的にもヤバイので、なるべく回避している。
そう、あれ以来ユウちゃんは「お馬さんごっこ」にハマってしまい、毎日のようにせがんでくるのだ。
ぱん、ぱん、ぱん
楽しいかなあ……。
「今度はマコちゃんの番ねー」
「はいはい」
ユウちゃんはわたしの周りをぐるりと一周して、例の四つん這いポーズをとった。
結局やってるじゃないかって? いやいや、わたしだって回避する努力はしてますよ?
……三回に一回くらいは。
だって、しょうがないじゃない。
わたしは、小学生の涙に勝てる武器なんて持っていない。たとえ、それが嘘泣きだったとしても……。
「ユウちゃん、やるよー」
「きて、マコちゃん!」
ぱん、ぱん、ぱん
最近では、緩急を付けてユウちゃんに飽きさせない工夫を編み出した。
「どーん。いくよー」
「きゃーあ」
勢いを付けて思いっきり腰を打ち込んだ。
ユウちゃんは私の重さに耐えられず、ぺしゃんと崩れ落ちた。
初めは怪我をさせないか心配だったけれど、何度かやるうちに、完全に力加減をマスターしていた。
「きゃはー! もーいっかいやって! もーいっかい!」
私の身体の下でうつぶせになっていたユウちゃんが、笑いながらせがんできた。
んしょ、と言って四つん這いのポーズを立て直したのを見計らって
「いっくよー」
どーん、と腰をぶつけた。
今度はユウちゃんも力を入れて踏ん張っていたようで、さっきのように崩れる事はなかった。
「うふふー、もっと強くしてもいーよ?」
「だめだめ。これ以上は危ないから」
「つまんないのー」
ぷーっと膨れ面を向けるユウちゃん。かわいい。
「じゃあ、お馬さんごっこはもうおしまいね」
「むー」
とりあえず今日のところは満足したようだ。
わたしは、ほっと胸をなでおろした。
「ねーねー、なまけものさんごっこしよー」
「な、なまけものさんごっこ……?」
新たな動物ごっこシリーズが現れた。
なんだろう。嫌な予感がする……。
「どんなことするの?」
「えっとねー、マコちゃんが四つん這いになってねー」
また四つん這いかい!
「ユウがしがみつくの」
……?
よくわからない。
とりあえず、言われたとおり四つん這いになった。
「んしょ……」
ユウちゃんがわたしの下に潜り込んだ。
仰向けになって、わたしと向かい合う。
これ、端から見たら、どうやってもわたしがユウちゃんを押し倒してる絵面だよね……。
ザ・犯罪ですね、わかります……。
ユウちゃんが上体を起こした。
えっ、ちょっとまって、このままだと、まさか……。
キ……ス、そんなわけはなかった。
両手をわたしの背中に回して、ぎゅっと抱きしめられた。
なんだろう、このシチュエーション……。
わたしが戸惑っていると、ユウちゃんはその体勢のまま両足を私の腰に絡ませてきた。
「できたー! なまけものさんごっこー」
四つん這いのわたしに、ユウちゃんが下から抱きついて宙ぶらりんのポーズだ。
そーゆーことね!
おねえさんわかってた。わかってましたよ。
「わー、すごいねユウちゃん」
この体勢、わりと大変なんじゃないかな。
実際、ユウちゃんは力が強い。
わたしを抱きしめる腕には、かなりの力が込められている。
「えへへー。ユウねー、うんてい得意なんだよー」
うんていかー。懐かしいなあ。わたしもよく遊んだよ。
それよりも、この体勢でユウちゃんに喋られると、吐息が首筋にかかって、すごく、むずむずする。
「ねえマコちゃん、さっきの、お馬さんごっこのやつやってー」
「えっ、あれ、やるの? ユウちゃん大丈夫かな」
「落ちないようにがんばる!」
わたしは、四つん這いになったまま、ゆさゆさと身体を揺らした。
「きゃー、すごいすごい。もっとやってー」
「えーい!」
もうヤケだった。
ゆっさゆっさ、身体を前後に揺らしまくる。
あ、これ、ヤバイやつだ。
ユウちゃんの上半身は、腕の力でぴったりと私にくっついているのだが、下半身は若干の隙間があった。
それを揺さぶるとどうなるか。
ちょうど、下腹部の辺りが、当たったり、離れたり、当たったり、離れたり……。
……何考えてるんだ、わたし。
「もっとやって、もっとー」
ユウちゃんも興が乗ってきたらしく、ヒートアップしている。
これ、ユウちゃんの体重を支えてるぶん、さっきのお馬さんごっこよりキツイ……。
じんわり、と、汗が滲んできた。
ユウちゃんと密着しているので、余計に暑い。
ユウちゃんも、つかまっているのがつらくなってきたのか、だんだん息が荒くなってきた。
首筋に、熱い吐息が……。なんか、ユウちゃん、いい匂いするし……。
もう限界!
わたしは、ラストスパート、とばかりに思いっきり腰を振った。
ぱあん!
そのとき、わたしとユウちゃんの下腹部が、反動をつけて勢いよく当たった。そして、手を叩いたときのように、派手な音が鳴り響いた。
「あはは! すごい音鳴ったねー!」
「マコちゃん……、すごおい……」
あまりにも見事な音が鳴ったので、わたしは笑いのツボにはまってしまった。
ユウちゃんはというと、私から手を離して、くたっと横になっていた。
目も虚ろだし、よほど疲れてしまったらしい。
ユウちゃんがこの様子では、続きをせがまれることもない。
わたしは、ようやく腰を落ち着けることができた。
後日……これに味をしめたユウちゃんは、「なまけものさんごっこ」で良い音が鳴るまで、私にしがみつくことになる……。
書いていたら楽しくなってきたので、続きを書きました。
まだ書き足りないので、あとで連載にしてまとめるかも。