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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第6章 街道の要所エンセナーダ 暗躍Ⅲ②

 ワーロンはその魔道士とは一度会ったきりで、あとはディアナがワーロンに内緒で事を進めていたらしい。魔道士がどんな人間か全く判らないということだった。


 ディアナも結局相手の都合で勝手に来る魔道士の言いなりになっていただけで、ディアナから連絡を取ることはできないし、次にいつ来るか全く判らないという。騒ぎの真っただ中に来るはずもなく、もう二度と来ないかも知れない。だいたいの風貌を聞き取っても、それを手掛かりに探せるわけもない。普段その辺を歩いているような存在ではないのだ。


 そして、一つの問題は、ディアナがちゃんと若返っていた、とうことだった。効果があったのだ。魔道士はちゃんと結果を出していた。方法は完全に間違ってはいたのだが。ということは、高位の魔道士である可能性が高い。中級や下級の魔道士には到底無理なことだったからだ。例えばルークに同じことができるかと問うと、僕には無理です、と答えた。さすがに数字持ちの様な魔道士ではないと思われるのだが、それでも高位には違いない。数字持ちは別格としても上級魔道士の数は相当数いるのだ。


 それにしても、その魔道士の目的が判らなかった。ただディアナを若返らせるためだけに大勢を攫って血を抜き続けるとも思えない。何か代償を求めるためにディアナの拙い望みを利用した、という事の筈だ。それにしては、ディアナにも何の見返りも求めなかったらしい。いや、これから求める所でグロウスたちが邪魔をしたということだろうか。


 魔道の分類で言うと闇魔道に属するものには違いない。闇魔道の使い手、もしくは闇を司る神カースを信望しているカース教団に所属している魔道士たち。


 相手から接触が無いと追えない、という結論とワーロン、ディアナ夫妻を拘束して後の手配を部下に任せグロウスたちはアクトレス家を後にするのだった。


 用意した馬車で二人を騎士団詰所に連行しようと屋敷を出たときだった。そこにソニー=アレスが居た。


「待ってください、ワーロン=アクトレス卿を連行するのですか?」


 ロックが応対する。


「ソニー、何か用か?」


 正直に事件の内容を言う訳には行かない。


「いや、事の次第は理解しているつもりなんだけど。今更隠しても無駄だと思うよ。」


「どういう意味だ?」


「主犯格の魔道士の心当たりがある、ってことさ。」


 確かにソニーは事件のあらましをしっているようだった。


「判った、君も同行してもらおう。俺たちだけではなくグロウス男爵も一緒だが、いいだろうな?」


 ソニーの立場もある。グロウスの言う通り正式にガーデニア州を訪問するとは伝えられていない。州同士の諍いの元になりかねないにも関わらず声を掛けて来た理由も判らない。本人に聞くしかない。


 騎士団詰所に着くとグロウスは夫妻の手続きで手が離せなかった。仕方なしにロックとルークはソニーの応対を任された。


「それで、どんな情報を持っているというんだ?」


「それより、まず確認させてほしいんだけど。アクトレス卿の奥方は若返りの魔道を成功させていたんだなね。」


「なぜ、それを知っている?」


「素直に認めてもらって助かる。」

 

 まあ元々知っているようなのだ、認めざるを得ない。


「だとすると、それを行える魔道士は多分一人しかいない。」


「一人?」


「そう。若返りは結構難しいんだ。難しくしている要素の殆どは若い男女が結構な数必要だという事だけどね。」


 それが一番の問題だったし、単純に罪に問われる部分だった。 

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