第6章 街道の要所エンセナーダ 暗躍⑨
ロックたちがグロウス男爵家に戻っている途中だった。御者を務めていたロック=レパードを呼ぶ声がして慌てて馬車を停めた。
「ああ、やっぱりロック=レパードだ。」
それはソニー=アレスだった。
「ソニー、久しぶりだな、どうしてここに?」
そういえばソニー=アレスがエンセナーダに居るとルシアが言っていたことを思い出した。確か影のガルドと一緒にいるとか言っていなかったか?
「なんだか君たちが厄介ごとに巻き込まれていると聞いて手を貸そうかと来てみたんだよ。」
「それはありがとう。でももう解決してしまったから、礼だけ言っておくよ。」
「なんだ、そうか。まあ解決したのならいいさ。」
「ソニー、一人なのか?アークはどうした?」
「アークは先にアストラッドに戻ったんだ。僕は少しマゼランで用事かあって、それを済ませて一旦エンセナーダに戻って来たんだよ。でも、また直ぐにここも出てしまうけどね。」
「そうか、何だか忙しそうだな。それなのに俺たちに気を掛けてくれてありがとう。」
馬車が泊っているのでルークも顔を出した。
「あ、ソニー、どうとたの?」
「今ロックに話をしていたところだ。まあいずれにしてもよかった。」
「そうだね。あとソニー、老師にもよろしく言っておいてください。」
ソニーは一瞬、あっ、という顔をしたがすぐに
「判った、伝えておくよ。老師が出張る事態にならずに済んでよかった。」
「それは本当に良かった。数字持ちの老師は世俗のことに関わらないで貰えるとありがたいのですが。」
ロスではキスエル老師に散々世話になったにも関わらずルークは恩知らずなことを言った。
「老師たちの意向は計り知れないからね。では、僕はこれで。」
ソニーはそう言うと去っていった。エンセナーダで一人何をしていたのか。「エンセナーダを出る」とは言ったがアストラッドに戻るとは言わなかった。何かを企んでいるのだろうか。そんなに悪だくみが得意なようには見えなかったが。
「ソニーは何をしているんだろうね。」
「判らない。アストラッド州のため、ということは間違いないだろうがな。まあ考えても仕方ない、早く戻ろう、公太子が首を長くしてお待ちだ。」
そこへミロが口を挟む。
「えっ、公太子って、あの公太子?なんでそんな人が待っているの?」
「いいからミロは入って居ろ、って。詳しくは中でルークに聞いたらいいさ。」
ルークは掻いつまんでミロを救出に行くまでの出来事を説明するのだった。




