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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第11章 プレトリアの真実 魔道の国Ⅱ④

「そして理由はあと二つ」


「えっ、あと二つもあるんですか」


「ええ、まず一つはエンセナーダで関わられた件です」


「エンセナーダで?」


「そうです。血のブランと言えばお判りになられるでしょう」


「血のブラン。その名前には確かに憶えがありますが」


 血のブランは数字持ちの魔道士序列第6位影のガルドの弟子だったが破門されて、その後夢のナイアに操られてエンセナーダで事件を起こしたのだった。


 血のブラン本人はその際身体が試算してしまっていた。但し魔道士のことだ、それが見せかけで逃げ応せている可能性も無くはない。


「ブランがエンセナーダでやっていた実験現場に足を踏み入れられたのですよね」


 確かにルークもロックもその凄惨な現場を見た。リロン所長はまさかそれを、ここで再現しようとでも言うのか。


「見たことは事実ですが、それが何だと言うのですか?あれを再現する手伝いなんてできませんよ?」


「勿論、そんなことをお願いするつもりはありません。ただルークさんが色々と経験や体験をしておられるので、お話を直接お聞きしたいだけなのです」


「いや、僕の話であれが再現されてしまうのであれば、お話しすることはありませんが」


「いえいえ、そんなことは本当に考えていませんよ。後最後に一つ」


「ああ、もう一つありましたね」


「はい。あと一つはサイレンでの件です」


「なるほど。サイレンの件は確かにそちらの要望に叶うかも知れませんが、僕が何かのお役に立てることは無いと思いますよ」


 サイレンの場合は確かに時間を止める魔道を部屋や屋敷に掛けていたのだが、それは閉鎖された空間でないと無理だった。


「いいのです。お話をお聞かせいただくだけで十分なのですよ」


 ルークにはリロン所長の目的がよく判らなかった。協力して欲しい、ではなく話を聞かせて欲しい、というだけなのだ。そんなことで役に立つとも思えない。


 それに加えてユスティやシェラックの意図も掴みかねていた。多分不老や不死を求めていることは間違いないとは思うのだが、それを求めている人は別だろうし、問題はそれを両者が持ち帰っても問題ないのか、というところだ。


 不老不死を実現できたとして、それを他者と共有しようと思う為政者はいるのだろうか。


 不老不死の魔道が完成したとして、多分それを独占しようといずれの勢力も思う事は容易に想像できる。


 自身の不老不死も勿論そうなのだが、他者にそれを提供するための対価は計り知れない富を生むに違いない。


 その術を求めて戦争が起こってもおかしくはないとさえルークは思うのだった。

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