第11章 プレトリアの真実 魔道の国Ⅱ②
「お待たせしました」
リロン所長に連れられてシェラックとユスティが入って来た。ロンは戻って来ないようだ。
「悪いね、こっちに気を使ってもらったようで」
シェラックの様子には何らおかしなところは無さそうだった。
顔を見るまでは何かの精神支配系の魔道を掛けられているのではないかとも思ったのだが、特に変なところは見られない。
「いや、先に入ったのはそっちだし先約なのは間違いないからね」
「僕たちの用事は多分しばらくここに通う必要があるのですよ。それでここで寝起きできると聞いたものですからお世話になろうかと」
魔道研究所には宿泊施設が整っているようだ。普段リロン所長もここで寝泊まりしているらしい。
「そうなんだね。いや、ちょっと勘違いしていた様です、リロンさん。ごめんなさい、二人があまり良くない状況になっているんじゃないかと思ってしまいました」
少し安心したのかルークは心情をそのまま口にしてしまった。
「いやいや、私はそれほど悪どい者ではありませんよ」
リロンの顔は笑ってはいたが、心の中ではどう思っているのか判らなかった。
「本当にごめんなさい」
「では二人にはもどってもらっていいですか?」
「ええ勿論」
シェラックとユスティは部屋から出て行った。
「さて、これで私のお話をさせていただいても大丈夫でしょうか」
「はい、僕の力を借りたいと仰っていましたが」
「そうなのです。ルーク様のお力を是非お借りしたいと思っているのです」
リロン所長の話は単純だった。魔道研究所での新しい魔道の実験に協力して欲しと言うのだ。
「いったい、どんな魔道を開発しようとしておられるんですか?」
ルークの関心はそこだった。州の機関である魔道研究所で扱うのだ、禁忌を犯すような魔道では無いと思うのだが、逆に州の機関だからこそ、ということもある。
そしてユスティやシェラックの目的を想像するに、ルークはあまり良い予感はしていなかった。
ちょうどそこにロンが戻って来た。
「お二人をお部屋に案内しておきました」
「ありがとう、助かるよ」
ロンの方が年上なのだが立場はリロンの方が上なのでロンは相当リロンに気を使っている様子だった。




