第11章 プレトリアの真実 魔道の国⑩
「ご存知かもしれませんがプレトリア州という所は剣士よりも魔道士が重用されているシャロン公国でも珍しい州です」
「そうお聞きしています」
「ここに居るロン=スアルはプレトリア州では有数の剣士になります」
正直なところロンの剣士としての腕前は大したものではない。
「騎士団もあるんじゃないんですか?」
「騎士団は勿論ありますがプレトリア州騎士団の主力は魔道士部隊なのです」
プレトリア州はシャロン公国の中でも異彩を放っている。騎士団所属の魔道士部隊は別格として州登録の魔道士ギルドが数多く散立しており、単純に魔道士の数としてはシャロンで一倍多かった。
プレトリア州に量ではなく質で辛うじて匹敵するのは単独の街ではあるがシュタールのみであった。魔道士の人数では他の追随を許さない。
「確かにプレトリア州には多くの魔道士が居ます。他の州の魔道士とは比べ物にならない領と質を誇っています。ただ、今それが飽和状態といいますか、頭打ちになってしまっているというのが現状なのです」
「頭打ち?」
「そうです。この魔道研究所は今までにない新しい魔道を研究している場所になります。火、水、風、土の四大魔道は低位から中位、高位魔道までほぼ研究し尽されていて新しい魔道はかれこれ十年以上編み出されていないのが現状なのです」
既存の魔道士やその弟子たちでは新しい魔道の開発には不向きだと言うのだろうか。それをルークに求めようとしていると?
もしそうだとしてもルークが他の選択肢無しで選ばれる理由が弱すぎる。
「四大魔道の新しい開発を手伝う為に僕が呼ばれたと?」
「いえ、そうではありません」
ルークはリロンとの会話を交わす間にロックにも念話を送っていた。
(ロック、気が付いているかい?)
(ああ、こいつは嘘を吐いている)
(ジェイに探るように言ってくれない?)
(判った、ジェイ、居るだろ?)
(探るまでもない。シェラックともう一人はまだこの建物の中に居る。囚われているようだな)
(やっぱりね。ユスティのことはちょっと判らなかったけどシェラックがここを出ていないような感じはしていたんだ)
「というと、僕は何の為に呼ばれたんですか?」
「ああ、気が付かれてしまいましたか」
リロン所長はルークたちが「シェラックたちが帰った」という嘘を見破ったことに気づいたのだった。




