第11章 プレトリアの真実 魔道の国⑨
「ルークと言います。よろしくお願いします。こちらはロックです」
ロックはただ会釈をしただけで何も言わなかった。リロンにいい印象を持たなかったことと、逆にいい印象を持ってもらう気が無いのだ。
ルークも自らのロジックという姓を名乗らなかった。ルークとしても含むところがあるのだ。
「遠い所を良く来てくださいました。お待ちしておりました。心から歓迎します」
リロンの言葉は確かに心から喜んでいる様子ではあった。ただルークは一つ気になっていることが有った。
「先程仰っていました先客とはユスティニアヌス=ローランとシェラック=フィットのことですか?」
リロンは怪訝な表情を浮かべた。ユスティたちとルークたちが知り合いだとは思っていなかったらしい。
「そうです、そうです。お知り合いでしたか」
「ええ、少しだけ。二人はもう帰りましたか?」
今度はロックが怪訝な表情を浮かべかけるがなんとか留まった。
「ええ、つい先ほどお帰りになられましたよ」
「そうでしたか。ここの入る前に偶然外で会ったものですから。街に戻ったらここの話で盛り上がりそうです」
ルークは笑顔でそういった。ロックは最早反応すらしない。
「それで、どうして僕たちをここへ呼ばれたんですか?」
ルークが本題に入る。世間話を拒否したのだ。
「あなたたちというよりはルークさん、あなたをお呼びしたのですが、それは是非ともあなたのお力をお貸しいただけないかと思ったものですから」
「僕の力を?」
「そうです、あなたの魔道士としてのお力をお貸しいただきたいのです」
ルークは確かにある程度は高位の魔道士ではある。ただシャロン公国には数字持ち魔道士の12人を初めルークよりも力のある魔道士は大勢いる筈だ。それがなぜ自分なのか、ルークには全く心当たりがなかった。
数字持ちの魔道士たちはお互いの所在を確認できない欠点があり、またその性質も様々で容易に協力を依頼できる相手ではないことは確かだ。
ただ数字持ちでなくても高位の魔道士は、特にプレトリア州なら大勢居る筈だった。そのための魔道カ学校が数多くあるはずだ。
「僕よりも有用な魔道士はたくさんプレトリアに居るんじゃないですか?勿論リロンさん、あなたも含めて」
ルークは謙遜している訳ではない。本当に理由が判らなかったのだ。




