第11章 プレトリアの真実 魔道の国⑧
二人は結構な時間待たされていた。訪れる時間を前もって伝えていた訳ではないので先客があれば仕方ないことだ。
「ルーク」
「何だい?」
「帰りたくなってきたんだが」
ロックは魔道を使えないが何か魔道的なことで負の印象を強く感じているようだ。
「僕も帰りたい」
「じゃあ帰るか」
ロンの手前、勝手に変える訳には行かない。
「駄目だよ、ちゃんと所長さんに挨拶してから出ないと」
「それは判っているんだが、なんだか気味が悪いんだよ」
それはルークも同感だった。今まで人の意に際には結構立合っている。凄惨な現場にも立ち入ったこともある。
ただこの建物にはそれらと比べても全く引けを取らない感覚があった。
「いったいどんな魔道の研究をしているんだろうね」
「良からぬことに決まっているだろう」
ロックの魔道研究所に対する感情は地に落ちていそうだった。
「それにしても遅いな、呼んでおいて」
「いや、確かに呼ばれてきたけど時間はこっちが勝手に来てしまったんだから文句を言ってはダメだよ。ユスティたちはちゃんと時間を指定して来ているんだから、彼らの件が終ってからというのは当たり前のことだよ」
「それは判っているけどな。あの二人の思惑も気になるだろう?」
「それは確かに気になるところではあるけど」
魔道研究所の雰囲気とユスティたちの目的が同種のものならあまりいいことだとも思えない。
「お待たせしました、先客と話し込んでしまって」
そこへドアを開けてプレトリア魔道研究所長のリロン=レインがロン=スアルを連れて入って来た。
リロンはロックたちと同年齢の筈だったが見た目は少し年上に見える。一般的に魔道士が纏うローブを来ていて無精ひげを生やしている所為かも知れない。
「はじめまして、私がここ魔道研究所所長のリロンです」
握手する為にリロンが手を差し出す。リロンはリロンとは名乗ったがリロン=レインとは名乗らなかった。そして魔道研究所所長とは名乗ったがプリ州太守の次男とは自己紹介しなかった。




