第11章 プレトリアの真実 魔道の国⑦
「ユスティは兎も角シェラック=フィットの思惑は要注意だよね」
「何か企んでいるってことか?」
「というかユスティとは別の目的があって、ユスティにはそれを隠している、って感じかな」
「そんなことが判るのか?」
「うーん、判るって言うか、想像できるって言うか」
「シェラックのことだから悪巧みだろうな」
「まあ、そうとは限らないとは思うけれど。ただ彼がいくら自由に動ける身分だとしても、こんなに遠くまで来てグロシア州騎士団に利することではない、なんてことは絶対ないだろうね」
シェラックが元々どんな目的でグロシア州から出て巡検しているのか、なぜ供回りも連れずにユスティと旅を続けているのか。
「お待たせしました」
そこへロン=スアルが遅れてやってきた。バルバロスたちを引き渡してきたのだ。
「手間をお掛けしましたね、ありがとうございました」
「いえいえ、ルークさんたちからお礼を言われるようなことは何もありませんよ」
「僕たちの我が儘ですから、お礼くらい言わせてください」
「私としてはここに来てくださったことで十分お礼をいただいていますので、お気になさらないでください」
「そうだ、さっきここで知り合いに会いまして、先に入って行ったんですが大丈夫ですか?」
「お知り合いに?そうですか、特にそんなことは聞いていませんでしたが。まあザグレブに着いてから連絡もまだでしたから、いいでしょう。今日あたり私が戻ることは知っておられる筈ですから」
ロンに促されて二人は魔道研究所に入る。先にユスティたちが入っている筈だが、あまり人の気配がしなかった。
研究所内は魔道で灯が点いているのだが、なぜだか薄暗い感じがする。ただ、それが建物に合っているので逆にうす気味悪かった。
ロンは何度も来たことがあるのか、迷う事もなく先導してくれる。そして目的の部屋の前に着いた。
「ここで少し待っていてください。所長を連れて参ります」
ロンはそういうと応接室ともいうべき大きなソファが置いてある部屋に二人を置いて出て行った。
「なんだか薄暗い建物だな」
ロックは照明が暗いことだけを感じているようだったがルークはまた別の暗さを感じていた。
「そうだね。独特な雰囲気の場所だな」
長居はしたくない、というのが二人の率直な感想だった。




