第11章 プレトリアの真実 魔道の国⑥
「君たちもここに?」
「ええ、僕はここの所長さんにお話を聞きに来たんです」
「所長というとリロン=レインのこと?」
「そうです。確かレイン侯爵の息子さんでしたよね。ルークさんたちも?」
「俺たちが会いたいと言うよりも向こうから会いたいって言われたんで来た、って感じかな」
「招待されたということですか。凄いですね、僕たちはここに入る許可を取るのに苦労しました」
「入るのに許可がいるのか?」
「まあ所長が所長ですから変な人が来ないように、ということでしょう」
確かに刺客でも入られたら問題だろう。ただ研究内容にも問題があるとは思える。
「私の身分も使えなかったからな」
シェラック=フィットはラング=フィット伯爵の嫡男だった。ラングはグロシア州騎士団参謀長で準将軍に就いている。シェラック本人は参謀の役職だった。
「使えなかったんじゃなくて使わなかった、だろ?」
シェラックは正式な手続きを踏んでプレトリア州にグロシア州騎士団員として入った訳ではない。自ら身分を明かす訳には行かないのだ。
「大変だったね」
ルークは気楽に言う。ルークやロックが居れば、その身分を明かして許可を得ることは容易だっただろう。二人は聖都騎士団やアゼリア州騎士団の正式な団員ではないので身分を偽る必要が無いのだ。
「とりあえず中に入りましょうか」
「いや、僕たちは連れを待っているんだ。一応その連れの紹介でここの所長に会いに来たんだよ」
「そうなんですか。では僕たちはここで」
そう言うとユスティとシェラックは中へ入って行った。
「彼らはどんな用があるんだろうね」
「魔道の研究所なんだから何かの魔道関連だろうよ」
「それは判っているんだけど。彼らが興味がある魔道に、僕は興味があるんだよ」
「そういうものか」
ロックは魔道についてはほぼ興味が無い。ただ剣で対峙した時の相手が魔道士であれば、相手がどんな魔道を使うのか、その対処方法は理解しておかないといくら剣で優っていても勝てない場面も出で来るはずだ。そういう意味ではロックも魔道に興味はあった。ただ自分で覚えようとは思わなかったが。




