第11章 プレトリアの真実 魔道の国②
「ルーク様、さすがにそれは」
ロン=スアルに相談してみたが予想通りの返答だった。
「プレトリア州にもちゃんとした法があります。海賊は捕まれば死罪になります。それを一つ一つの事情を汲んで罪一等を減じるにはなかなか難しいのではないでしょうか」
ロンの言い分はもっともだった。シャロン公国は法治国家とまでは言えない部分があるが罪を犯した者が罰せられるのは至極真っ当な話なのだ。
そしてロンとしてはバルバロスの味方をする理由が無かった。それによってルークたちが何か不利に扱われてしまうことの方が重要だった。
「でも一度言い出したらロックは引かないと思うんだ。何かいい方法は無いかな?」
「判りました、少し考えてみます」
ロンのルークに対する態度は本当に慇懃だった。それが何に起因するのか、多分ロンの後ろ盾の存在の意図なのだろうとは予想できるが、今のところルークには何の予想も出来ていなかった。
少し時間を置いた後、ロンが意を決した夜臼でルークの元へとやって来た。船上にはロンの同行者は居ない。ロンは単独で結論を立たざるを得なかった。
「私の一存ではなかなか難しいのですが、私の主であるさるお方のお力であれば何とかなるかも知れません」
ロンは最早主の存在を隠そうとはしていない。ただ実名を挙げることは時期尚早だと思っていた筈だ。
「その主という人はプレトリア州である程度の影響力を行使できる存在だと思ってもいいのかな?」
「そうですね。ある程度ということであれば間違いないでしょう。ただ少し特殊な存在であられるので、その辺りが不安要素でもあるのです」
ロンの話だけでは全く見当が付かない。
「ルーク様にはお話ししておきましょう。私の主の名はリロン=レインといいます」
「レイン?その名前ってもしかして」
「そうです。プレトリア州太守であるバイロン=レイン侯爵様の次男になります」
太守の次男、ということであれば高位も高位だ。州内の影響力で言えば一等だろう。
「それであれば十分なんじゃないかな?」
「それが事はそう簡単な話ではないのです」
プレトリア州の太守の一族にも多聞に漏れずドロドロとした内紛を抱えているのだろうか。跡継ぎではない身であれば、ある程度自由も利くのではないだろうか。
「ただルーク様とはお立場は同じということではあります」
「いやいや、僕はただの養子だから本当の太守の次男さんとは比べ物にならないよ」
「その辺りのことも含めて少しご説明しますのでお時間をいただけますか?」
「判った聞きましょう」
ロンはルークにレイン家の実情を話し始めるのだった。




